マリーアントワネットの処刑とは別の悲劇:「ケーキを食べれば」なんて言ってない。

 

いま韓国がとんでもないことになっている。

パク・クネ大統領の支持率が、今までの韓国の大統領のなかでの最低記録(5%)を更新し、「歴代最低」という不名誉な大統領となってしまった。
くわしいことこの中央日報の記事(11月4日)をどうぞ。

朴槿恵大統領支持率5%…歴代最低

 

22日の今では、朴槿恵大統領は大統領でありながら「容疑者」になっている。

現職の大統領が、犯罪の容疑をかけられる。
韓国が建国されて以来初めてという、前代未聞の事態だ。

今の韓国社会には若者が怒りと絶望があふれている。
「もう、こんな朴大統領には韓国をまかせることはできない」と、大統領の退陣を求める100万人デモがおこなわれた。

 

国民の怒りが向けられているのは、パク大統領だけではない。

その「共犯者」とされる、パク大統領の友人の崔順実(チェ・スンシル)容疑者もそう。

でも、韓国の若者が特に怒りを感じているのは、チェ容疑者の娘で名門女子大学に通っている「ユラ氏」という女子大生だ。

前回の記事で書いた「金のスプーン」の特権階級に生まれた女の子で、今通っている名門大学には親の金と権力をつかって不正に入学したとされている。

一般の韓国人は、「ヘル(地獄の)コリア」と呼ばれるほど激しい競争社会を生きている。

そんな韓国人にとってこのユラ氏は、韓国社会の不正と不公平の象徴だ。

このユラ氏が以前フェイスブックに書き込んだとされる一言が、韓国の若者の怒りに火を点けた。
これがその言葉。

「能力がないならお前の両親を恨め。金も実力だよ」

金のスプーンの特権階級に生まれ、親の金と権力で不正に名門大学に入学する。
そして、一般の韓国人には「能力がないならお前の両親を恨め。金も実力だよ」と言う。

マンガのような展開だけど、これは今の韓国で現実におきていること。

 

中国で馬は成功のシンボル。
だから日本の群馬県が大好きという。

 

このユラ氏の言葉を知ったとき、ふとマリーアントワネット(1755~1793)を連想してしまった。

フランス革命で、夫の国王16世と同じく処刑された「悲劇の王妃」。

このときマリーアントワネットのこの一言が民衆を怒らせた。

「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」

パンすら食べられない民衆に、高価なお菓子を食べられるわけがない。

マリーアントワネットはあまりに高い身分にいたから、そうした庶民の事情がまったく分からない「おバカ発言」をしたとされる。

 

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マリーアントワネット(ウィキペディア)

 

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王妃マリー・アントワネットのギロチン処刑(ウィキペディア)

 

でも実は、マリーアントワネットはそんな言葉を言ってはいない。

しかし、これはマリー・アントワネット自身の言葉ではないことが判明している

(ウィキペディア)

 

10年ぐらい前までは、これはマリーアントワネットの言葉だと広く信じられていたと思う。

ボクは、高校の世界史の授業でそう習った。
この言葉のせいで、マリーアントワネットは「身分の高い愚か者」という悪いイメージが定着していた。

マリーアントワネットにしてみたら、実際には言ってもいない言葉を「言った」とされて、数世紀にもわたって悪いイメージをつけられたことになる。

これは、処刑とは別の「悲劇」だと思う。

 

おまけ

あまりにも高い身分にいて、庶民の気持ちをまったく分かっていない。

そんな言葉を言った人は、中国ならいた。
それが「晋の恵帝」という皇帝。

当時天下は荒乱しており、民衆は餓死したが、それに対し晋の恵帝は「肉粥を食べればよいではないか?」と答えたというものである(及天下荒亂、百姓餓死、帝曰「何不食肉糜?」)」。

(ウィキペディア)

「貧乏人は麦を食え」と言った昭和の政治家・池田勇人も似たようなものか?

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。