韓国の不正問題:修能(大学受験)のカンニングで国が大騒ぎ

 

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11月25日の韓国紙「中央日報」の記事。

韓国がいま、中国に危機感をおぼえている。

サムスン電子の屈辱…中国の華為に押され「その他のメーカー」に転落

サムスン電子の面子に傷がついた。世界のアンドロイドスマートフォン市場で、これまで守ってきた営業利益1位の座を中国の華為に明け渡した。サムスン電子は「その他のメーカー」に落ちた。ギャラクシーノート7の生産中止のためだ。

 

ギャラクシーノート7の生産が中止されたため、サムスン電子のメンツが傷つけられたらしい。

とはいえ日本でも、シャープが外国企業に買収されてしまって勢いはないけどね。

 

 

韓国の新聞を読んでいると、「もう、こんな時期になったのか」と感じさせてくれるものがある。

春には「桜の起源は韓国だ」と言いだし、秋には「今年こそ、韓国人のノーベル賞はあるか?」とワクワクしだす。

2016年は韓国人の受賞どころか、中国人が受賞して韓国は茫然自失となってしまった。

このことが、先ほどの記事のあせりをさらに強くさせているのだろう。

 

それはいいとして、これまでは、桜とノーベル賞の報道が韓国の季節の風物詩だった。

でも最近は、これに加わって冬の到来を感じさせるものが増えた。
韓国では、冬が始まるころに修能(大学修学能力試験)がおこなわれる。
修能は、日本のセンター試験にあたるもの。

 

この日の韓国では、警察も役所も航空会社もこの試験に協力をする。この韓国が国をあげての大騒ぎも、冬の風物詩になった。

韓国の大学入試騒ぎに見る「学歴偏重社会」

試験に遅刻しそうな学生を乗せてサイレンを鳴らしながら試験場まで疾走する警察の白バイやパトカー、受験生が試験場に移動する時間帯に合わせて増便運行する電車、交通の混雑を避けるため出勤時間を午前10時に変更する役所などがそれである。

 

この大騒ぎの理由は単純。
この試験で人生が決まるから、だ。
韓国社会では、出身大学によってすべてが決まってしまうといわれる。
この時期、受験で失敗して自殺する受験生がよくニュースになる。

 

上の記事の写真を見ると、白バイに乗っている受験生がヘルメットをしていない。
受験生には特別ルールが適用されるらしい。

このへんは日本なら厳しい。

「受験会場に時間どおりに到着するということも、受験資格の1つ」という考え方が一般的だろう。

パトカーで受験会場まで運んでくれるなんて、ありえない。

電車が止まったなら仕方がないけど、受験会場をまちがえたり寝坊したりして遅れたのなら、「仕方がない」で終わる。

韓国でも、前から「受験生を甘やかしすぎる」という批判の声はあるけど、このオール韓国で受験生を応援することは変わっていない。

 

韓国の場合、ルールはルールだけどそこに情が入る。
情を考えると、ルールを曲げてもよしとされるところがある

韓国人に言わせると、日本人はルールや決まり事に厳しすぎるらしい。
時間や仕事の態度も厳しいし、息が詰まるという。

 

 

前にイギリス人と話をしていたときに、「カンニング」という言葉が通じなくて困ったことがある。

調べてみると、カンニングは日本人が使っている和製英語だった。
もともとは英語の「cunning(カニング)」で、ズルいとかずる賢いという意味の言葉。
日本人の言うカンニングは、英語だと「cheating(チーティング:不正行為)」になる。

 

誰だって試験に受かりたい。
だから、カンニング(不正行為)起こることがある。
それは日本でもあるし、気持ちまでなら理解できる。

でも、韓国で2004年におきたカンニング行為は、あまりに規模が大きかったため社会的な事件となった。
このときの試験が、「これで人生が決まる」といわれる先ほどの修能(センター試験)。

この修能で集団カンニング事件が起き、約200人が捕まって韓国中が大騒ぎになった。
個人ではなく、集団が計画的にしていたことも衝撃的だった。

韓国全土に衝撃。携帯電話カンニング事件を追う

首謀者のほかに「選手」と呼ばれる成績優秀者、お金を出して解答を教えてもらう不正受験者、学校の外で選手と不正受験者を中継する「アシスタント」がおり、選手が試験会場から送った正解を、アシスタントが整理して不正受験者たちへ送るという仕組みになっていた。

 

集団カンニングにかかわった学生は、このために2、3カ月も前から準備や練習をしていたという。

ここまで入念に計画され組織化されていたとなると、学生による不正行為というより、犯罪者グループによる組織的犯行といった方がいい。

 

このカンニング事件が、韓国社会に与えた影響は大きかった。

この事件では携帯電話のメールが使われていたため、携帯会社が文字数や保存日数といったメールの仕組みまでもまで変える事態になっている。

 

 

日本でも、カンニングがバレて問題になることはある。

でも、ほとんどはその学校や試験をする組織の中での問題で終わる。

韓国のように、政治家が国会で取り上げて携帯会社のメールのやり方まで変えてしまうような大規模な不正行為は、聞いたことがない。

韓国は、良い意味でも悪い意味でもやることが大胆で驚かされる。

 

でも、不正行為を韓国だけでしていたなら、国内問題ですんだ。
これを外国の会場や外国の試験ですると、国際問題になってしまう。
韓国はそれをしてしまった。
そして今では「カンニング大国」として世界に知られるようになってしまった。

そのことを次回書きます。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。