日本について書かれた古代中国の書『魏志倭人伝』には、弥生時代の日本人を「盗みかすめず、訴え事は少ない」と表現している。
当時の日本人は(も)、他人のものを盗んだり争うことが嫌いだったらしい。
ただ魏志倭人伝には「その法を犯すと、軽い者はその妻子を没収し、重い者は一家及び宗族を滅ぼす」とも書いてある。
中国人が評した日本の治安の良さは、弥生人の“民度”の高さを証明するものはなくて、厳罰をチラつかせていた結果かも。
魔除けとして身体に入れ墨をしているとか、当時の日本人についてくわしく知りたかったら 魏志倭人伝 をクリックですよ。
このときから飛鳥、奈良、平安、鎌倉…と時代が移り変わり、約1700年の月日が流れたいま、とてもガッカリなニュースを発見。
共同通信の記事(2021/2/25)
「踊り子」備品紛失相次ぐ 近く引退の旧国鉄車両、盗難か
東京とわが静岡(の伊豆半島)を結ぶ特急「踊り子」などで使われる車両の備品が、次々と失踪する謎事件が起きている。
この車両は旧国鉄時代の「185系」で近く引退する予定だとか。
もうすぐ役目を終えるこの車両から、行き先表示幕や号車札などのパーツが消えていることが発覚し、JR東日本が「業務中になくすことは考えづらく」と説明するように、何者かによって盗まれたとしか考えられない。
この件でコナン君は不要だ。
記事には、「駅や車両基地に停車中の列車から収集や転売目的で備品が盗まれる事例は後を絶たない」とある。
JR東日本は警察に被害届を提出したというから、“何者か”は備品をかかえて震えて眠れ。
こういう悪事を働くのは撮り鉄じゃなくて『盗り鉄』。(と状況証拠から判断する)
そんなヤツはごく少数で、多くの鉄道好きは常識と良識をわきまえていて、他人に迷惑かけることなく列車やレール、その周囲の自然を愛でている。
と断りを入れてから、ネットの反応をみてみよう。
・盗んだパーツ眺めて嬉しいのかね
頭おかしいわ
・これが日本人の民度です!
・マニアとか言わなくていい。
窃盗犯。
・誰だよ、「マナーが悪いのは撮り鉄だけ。他のジャンルの鉄ヲタはマナー良いよ」とかほざいてたのは・・・
・伊豆の白田で毎年春に撮り鉄たちと会うが
礼儀正しいしJR運転手も減速してあげる優しい世界なんだが
なんでこんなに撮り鉄て嫌われてるの
鉄道に限らず、どの分野にも暴走するファンやマニアがいて、そんな一部が業界全体に迷惑をかける。
ニュースになるのは問題を起こすバカだけで、それ以外の善良な人が背後に山ほどいてもふつうは誰も気づかない。
だから見える一角だけで山が判断されてしまう。
話はややそれるが、日本でベトナム人犯罪が起こると「それはその人間の責任です!『ベトナム人=犯罪者』と見ないでください!」といった在日ベトナム人の書き込みをよく見る。
フランスの英雄・ナポリタンはこう言ったという。
「真に恐れるべきは、有能な敵ではなく無能な味方である」
これはどの世界にも当てはまる。
徳川幕府が崩壊して明治時代になったとき、モース(1838年 – 1925年)というアメリカ人の学者が日本にやってくる。
彼はモノを盗もうとしない、日本人の正直さをすごく気に入っていた。
人々が正直である国にいることは実に気持がよい。私は決して札入れや懐中時計の見張りをしようとしない。錠をかけぬ部屋の机の上に、私は小銭を置いたままにするのだが、
「日本その日その日 03 (モース エドワード・シルヴェスター)」
誰でも自由に入れる状態なのに、貴重品がなくなることはなかったという。
モース
東京大学の教授をしていて大森貝塚を発掘したり、日本に初めてダーウィンの進化論を本格的に紹介したことで知られる。
ここ数か月の間に、ベトナム人・ロシア人・アメリカ人・バングラデシュ人・インド人・スロバキア人・タンザニア人を富士山が見える名所『さった峠』に連れて行った。
そこにはこんな無人販売所がある。
彼らの中で初めてこれを見た人は、「わたしの国だったらすぐに全てが消える。こんな信頼は自殺行為」とビックリし、前にどこかで見た人は「これだからボクは日本が好きなんだ」と笑顔を見せる。
日本を訪れた外国人が「見ろよ、これが日本なんだぜ」とSNSで紹介し、それに寄せられたコメントを見ると、無人販売所は日本人の民度を無言でアピールしていることがわかる。
3世紀ごろの中国人が「盗みかすめず、訴え事は少ない」と書き、現代の外国人が「だから日本が好きなんだ」と称賛する治安の良い日本を次世代に残すためにも、『盗り鉄』みたいな犯罪者はなくしていかなきゃ。
そうではなくて無人販売所が消えていったら、それは日本終了のお知らせだ。
> こういう悪事を働くのは撮り鉄じゃなくて『盗り鉄』。
そうですか。それはきっと、一種の「病気」なのでは?
日本人としての常識やプライドを失念した行動を執ってしまうのです。