インドの季節(気候)。北ヒマラヤ・西砂漠・東洪水・南常夏

 

今日の一言

(花見を見て)入り乱れて行きかうすべてが、何という静粛で整然としていることだろう。乱暴な行為もなければ、酔漢の怒鳴り声もしないー行儀の良さが骨の髄までしみこんでいる国民だ(ベルツ 明治)」

「日本絶賛語録 (小学館)」

 

 

これを書く前に、思い出したことがある。
シーク(シク)教徒の友だちが、子どもへのお土産でポケモンの絵がある服を買っていた。

前回書いたけど、シーク教は、「偶像崇拝」が禁止されている。

偶像
偶像という語には「人形」「人間に似せた物」などいくつかの意味があるが、ここでは木材や土、金属など具体的な物質で形どられた像のうち宗教的対象をかたどったものをさす
(ウィキペディア)

イスラム教の国では、この偶像崇拝がとても厳しいところがある。
サウジアラビアやカタールでは、「ポケモン禁止令」が出されている。
詳しくは、この記事で。

ピカチュウ(ポケモン)の進化は、「反イスラム教」だから禁止です。

シーク教の彼がポケモンのデザインがある服を買ったというのは、シーク教では「ポケモン禁止令」は出されていないということか。
「偶像崇拝」と一言で言っても、その程度は宗教によって違うし、同じイスラム教の中でも違うから、ややこしい。

 

 

 

インドはとても広い。

 

面積は東西ヨーロッパを合わせたのと同じくらいで、日本の約9倍になる。

様々な宗教があって、前回書いたように、シク(シーク)教徒もいればヒンドゥー教徒もいる。
でも、インドでは宗教だけではなくて、季節や気候も場所によってすごく違う。
今回は、そのことを書きたい。
で、また、シーク教徒のインド人とヒンドゥー教徒のインド人2人と、富士山に行ったときの話になる。

そんな彼らと富士山に行ったときは、ちょうど秋で紅葉が始まりかけていた。
赤や黄色に色づいた葉に、インド人も興奮気味の様子だった。

 

それは、いいけど、インド人はとにかく写真撮影にかける時間が長い。
そんな彼らを見て、ふと思った。
そういや、インドに秋ってあるのだろうか?

「オレが住んでいるデリーに秋はないな。日本には、四季があってうらやましいよ。春は桜で秋は紅葉がある。目に見えて季節を感じることができる」

と、シーク教徒が言う

他の二人も「そうそう」と、うなづく。
二人のうちの一人が、インド南部の「バンガロール(ベンガルール)」の近くの出身だった。
「インドの南には、夏しかないよ。ケララ州だったら、一年中、Tシャツでいられる」

ちなみに、このバンガロールは、インドのシリコンバレーと呼ばれるハイテク都市でもある。

 

Bangalore_India

バンガロール(ウィキペディア)

1947年にインドが独立したあと、バンガロールは国営の重工業、航空産業、宇宙産業、防衛産業の工場群が置かれた。

さらに、インド経済自由化後のバンガロールにおけるハイテク産業の確立と成功は、インドの情報通信産業(IT産業)を成長させる原動力になった。

バンガロールは「インドのシリコンバレー」と呼ばれるまでになり、インドの2004年のソフトウェア輸出の35%を占めるに至っている(ウィキペディア)

 

「でもインドは広いから、場所によって気候が全然違うんだよ」
確かにインドは広い。 だから、季節や気候も違う。
当然、北海道と沖縄以上の違いどころではない。
このヒンドゥー教徒の出身は、常夏の南だけど、インド北部のヒマラヤの近くになると気候が、まったく違う。

 

ちょっと話がそれる。
このヒマラヤという言葉は、聞いたことがあると思う。
では、このヒマラヤの意味はご存じだろうか?
これはサンスクリット語で、「雪のある所」という意味になる。

ヒマラヤ山脈Himalaya「雪のある所」 サンスクリット語のhima「雪」とalaya「居所」からなる

(地名の世界地図 文春新書)

IMGP1402

インドのヒマラヤの氷河

 

さらに、脱線してしまう。
このサンスクリット語という言語について。

インド=ヨーロッパ語族に属するインドの言語。梵語とも呼ばれ、古代インドでは共通語として活用された。現在でもインドの公用語の一つになっている。

(世界史用語集 山川出版)

 

日本の「お経」には、このサンスクリット語(梵語)のものもあるから、知らないけど聞いたことがある人は多いはず。

「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」「南無法華経(なむほっけきょう)」の、「南無」は、サンスクリット語で、インドのあいさつ「ナマス・テ」の「ナマス」と同じ。
お経の他にも、このサンスクリット語由来の日本語はたくさんある。

 

そのヒマラヤのふもとに、「ザンスカール」という小さな小さな街がある。
ボクが大好きなところで、思いで深い街だ。いつか、書きたい。
そこに住んでいる人から聞いた話では、この場所は、冬になると雪に囲まれてしまい、他の場所へ移動することもできなくなるという。

「インドで白川郷みたいなところがあるんだ!」と驚いた。

ザンスカールでは、雪が溶けるまで、じっと家の中で待っているだけだったという。水が凍結するから、冬の間はシャワーも浴びることができなかったらしい。
今は、違うけど。

 

この記事の上の写真が、ザンスカールの子どもたち。
良い表情してるでしょ?
そうかと思えば、西のラジャスターン州では、雨があまり降らない。
ウィキペディアによると、ジャイサルメールという都市では、一年間で雨が降るのは、14.4日だという。
日本は、平均で117日だから、十分の一以下になる。

このラジャスターン州には、タール砂漠(大インド砂漠)が広がっている。
ここでは、ラクダツアーが観光客に人気があって、ボクもこれをしたことがある。これはすごく良かったから、ぜひみなさんにもおススメする。

 

IMGP5457

これは、砂漠の近くの村人

 

世界が、黄色い砂と青い空というしかないという体験は、日本では絶対にできない。 ボクが行ったときには、なかったけど、今は日本人が経営するHOTEL TOKYO PALACEという良い宿があって、ツアーも手配してくれるらしい。

 

さらにインドの東になると、まったく様子が変わる。
西ベンガル州では、モンスーンが大量の雨を降らせるため、洪水が問題になっている。
この辺だと、ボクはコルカタ(旧名 カルカッタ)には行ったことがある。
年間降水日は、101.5日というから、東京よりは少ない。

でも、コルカタ排水がとても悪い。
雨が降ると、すぐ地面が膝の高さまで水で埋まってしまう。
「これがインドかあ」と思って、水面をよう~く見ると、ゴキ○リが浮かんでいた。
やぱり、これがインドかなあ。

 

コルカタの街

 

一つの国にいろんな宗教があれば、気候もある。インドは、本当に多様性に富んだ国だ。だから、面白くて7回も行ってるんだけどね。

とはいえ、ふつう、日本人がイメージするインドといえば、インド北部のデリーの辺りだろう。

デリーの辺りでは、夏だけではなくて、冬がある。 1月にデリーに行ったときにインドの寒さを身に染みて感じた。 朝晩の冷え込みが予想以上に寒くて、ユニクロで買ったダウンジャケットがとても役立った。
「インドは暑い」というイメージで行ったら、とんでもない目にあった。

ちなみに、タイも冬は意外に冷える。
タイ北部のチェンマイでは、凍死したという事件も起きている。

 

このインド人3人にインドの季節を聞いたところ、インドでは一般的に、季節は二種類しかないという。
雨が降らない乾季と雨が降る雨季の二つ。
それか、夏や冬の二つ。
次回、このうちの夏について書きたい。
地獄の暑さについて。
あまりの暑さで、インドでは夏になると高速道路が溶けるという。
日本の高速道路とは、だいぶ違う。

 

むか~し、このバンガロールの場所に違和感を覚えたことがある。
何でデリーやムンバイとかの大都会からこんなに離れた場所に造ったのか?
そういや自分も。という人がいたら、これを見てください。

ごめんなさい!インドを誤解していました① 「感謝されるインド」とは?~ダライラマ亡命~

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。