「台湾の人たちって、ひょっとしたら日本人よりも日本のことが好きかも」
そんなことを思ってしまうのは、たとえば2018年にロシアでサッカーW杯が開催されたとき、お天気お姉さんが日本代表ユニフォームを着て天気予報を伝えているのを見たときだ。
当時これが話題となってネットで拡散されていたから、日本人が視聴した台湾の天気予報はこれが過去最多のはず。
日本のテレビ番組では、スポーツニュースのキャスターが代表ユニを着ているのは見たことあるけど、天気予報では記憶にない。
知人の台湾人に見せたら、彼はこれを知らなくて「台湾人は日本が好きだから、単純に応援しているのでしょうね」と事もなげに言う。
さて、きょう3月11日は、約1万6千人の犠牲者をだした東日本大震災からちょうど10年になる日だ。
この未曾有の大災害についてはニュースを見たり、ここをクリックして確認してほしい。
これは明治以降の日本の地震被害としては明治三陸地震(死者・行方不明者21959人)を超えて関東大震災に次ぐ日本第2位の規模となった。
「困ったときの友こそ真の友」ということばは英語にもある。(A friend in need is a friend indeed)
他人の痛みを自分のものと感じて、手を差し伸べてくれる人こそ本当の友人。
これは民族や宗教に関係なく、古来から人類に共通する感覚で日本の場合それが台湾さんになる。
10年前の震災の翌日、李登輝元総統は日本語で「日本の皆様の不安や焦り、悲しみなどを思い、私は刃物で切り裂かれるような心の痛みを感じている」とメッセージを出した。
そういえばいまの蔡総統もよく日本語でツイートする。
この終わりに、台湾メディアの華視新聞とYAHOO奇摩が台湾人を対象に行ったアンケート調査「2011年の最高に幸福な出来事」の結果を発表した。
それによると第1位は、「東日本大震災に対する台湾からの義援金額が世界でもっとも多かったこと」。
その理由について華視新聞の記事(2012年12月31日)は、これは『台湾人の愛』で、受けるよりも与える方が幸福ということを示した。この愛が台湾人を幸福にさせたと報じた。
*ちなみに2位は野球の王健民選手がメジャーリーグで活躍したこと、3位は映画『Seediq Bale』(セデックバレ)が海外で注目されたこと。
日本への義援金ではどこが「世界最多」だったのかは議論があるから、くわしいことは「東日本大震災に対する日本国外の対応」を見てくれ。
4月15日には140億円を超えて台湾が世界一だったけど、アメリカからの義援金は5年後に約750億円に達したといわれるから、最終的にはアメリカだ。
ただ人口は2,300万人、年収は日本の3分の1~2分の1といわれる台湾から約250億円の義援金が届けられたのだから、(あまり細かく金のことを言うのもなんだが)一人当たりの金額なら台湾が間違いなく世界一位だ。
日本に対する愛も、台湾人が世界ナンバーワンといえる。
そしてこれがとても台湾人らしいのだが、このことを2011年でもっとも幸福な出来事に選んだのだ。
このニュースを知った日本人がどう思ったかは、ここで書くまでもない。
困っている人に手を差し伸べること、物資を送って助けることを中国のことばで「雪中送炭」(せっちゅうそうたん)という。
*雪の寒さに苦しんでいる人に燃料となる炭を送ること。
2016年に台湾で大きな地震が起きたときには、「今度はわれわれの番」と多くの日本人が進んで支援した。
先ほどの天気予報について、知人の台湾人は「このときみんな日本に感謝しました。だから日本代表のユニフォームを着てるのを見て、怒る人なんていませんよ」と言う。
隣人が雪中にいると知れば、炭を送り合うのが日本と台湾の関係だ。
台湾の支援に対し、日本人の有志が台湾紙で感謝を伝えた。
下は岩手県の人たち。
2021年のことし、東北の人たちが感謝を伝えるこんな掲示物を作成し、いまは台北メトロの中山駅に貼りだされている。
知人の台湾人がよくこの駅を利用するから、感激して写真を送ってくれた。
そんな大事な隣人がいまピンチ。
台湾産パイナップルの90%以上を輸出していた中国から、いきなり輸入停止を告げられてしまった。
義を見てせざるは勇無きなり。
いま日本では『恩返し』が始まっている。
では最後に、さっき見つけた蔡総統のメッセージ動画を貼っときますね。
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> 第1位は、「東日本大震災に対する台湾からの義援金額が世界でもっとも多かったこと」
ほんとに頭が下がります。台湾の人たちには、いくら礼を言っても足りない。
中国本土の意地悪なんかに負けないで下さい。台湾加油!
(明日も近所の中華屋でパイナップル入り酢豚を食べることにしました。)