中国旅行で2日間お世話になった日本語ガイドに、日本人と中国人の価値観や行動の違いについてきいてみたら、「それはメンツですね」と即答。
その40代のおっさんガイドは、中国人にとってメンツは“命”と言う。
お金がなくなっても何とかして生きていけるけど、メンツを失ったら中国人は死んでしまう。もしくは死んだ方がマシ、というのが彼の意見。
中国人のこんな『メンツ至上主義』は、歴史的に他国を中国と対等とは考えず、ワンランク、ツーランク下とみる中華思想に由来するとガイドは話す。
日本人は面子(メンツ)という中国語をそのまま使っている。ということは、これは日本にはなかった概念だったかも。
上海に住んでいる日本人からも、中国人はメンツを超大事にしているから、その点を考えて付き合わないと大きな失敗するという話を聞いた。
メンツを傷つけられた中国人は、泣き寝入りや放置は絶対にしないらしい。
韓国メディア・中央日報日本語版のこんな記事を見て、そんな話を思い出した。(2021.05.04)
一歩遅れてこれを問題視して宋学氏を問責したのは、結局最近の「屈辱」に対するスケープゴートを探して責任を転嫁しようとしたものではないかと囁かれている。
「足組み屈辱」の遼寧…メンツ潰された中国、2年前転役将軍も処罰
遼寧とは中国海軍の空母のこと。
先日、米海軍と海上自衛隊の艦船に包囲され、監視されているような状態の中を遼寧が航行し、米国駆逐艦「マスティン」の艦長が甲板で両足を伸ばして座り、足の裏を遼寧に向けている写真が公開された。
これを含めて、元中国海軍の専門家が「今回の遼寧空母編隊が北方から南下しながら米国と日本軍艦の干渉に支離滅裂な対応をして国際的な恥をかいた。加えて習主席は海軍の装備にずっと不満を持っていた」と指摘する。
こうした『屈辱』によってメンツをつぶされた中国側は、海軍の副参謀長だった宋学氏を罷免したという。
宋氏にそこまでの落ち度があったのか不明だけど、とにかく犠牲(スケープゴート)にされた。
理由はこれだけじゃないから、くわしいことは記事を読んでくれ。
もちろん中国政府が「メンツがつぶれたから罷免してやった!」と言うはずもなく、これは韓国メディアの想像。
でも、中国ならそんなことがあってもおかしくない、むしろそれが当然という見方は国際社会にあるだろう。
日本人と中国人の価値観や行動基準の大きなちがいとして、よく指摘されるのがメンツ。
中国語学習サイトの『中国語スクリプト』もそんな日中の価値観のちがいにふれて、中国ではメンツが国家を左右しているように見えるという。
それで中国で国家的イベントが行われると、国民からは「メンツプロジェクトをやっている」とやゆする言葉が聞かれるとか。
諸外国も中国と付き合う時はメンツを重視していたようだ。
中国政府のメンツ重視に対しては、これまではアメリカもそれなりに気を使ってきたように見えます。中国政府が国民の間で保っているメンツをもしアメリカがつぶせば、外交的に難しくなるからです。
でもトランプ前大統領にそんな配慮を求めるのは無理。
中国人にとっては命より大事なメンツを軽視するような言動をしていたから、米中関係をよけい複雑にさせたらしい。
「足組み屈辱」を見るといまもその影響が残っているかも。
でも個人的な付き合いで、いらない摩擦を生むのは無意味で疲れる。
中国の広州で3年間はたらいていた知人の日本人は、何があっても相手のメンツを傷つけないよう気を付けていたと言う。
中国人の従業員や友人との間でトラブルが起きて、そいつに100%の非がある時でも、相手に「逃げ道」を用意しながら問い詰めた。
こういう時に相手のメンツをつぶしてしまうと、逆恨みされて、あとで何をされるか分からない。
メンツを奪った相手を中国人は許さない、と彼は考えて付き合っていた。
上海では一見すると近未来のような高層ビルが林立している一方、少し裏道に入ると、「ここは昭和ですか?」と思ってしまうようなコンクリートの建物に人々が住んでいて、50年ぐらいの時差を感じた。
あの都市構造にも中国人の見栄やメンツが表れていると思う。
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「面子」ですかぁ。ま、中華思想というか、「正当な上下関係とは何か」を徹底的に追求する儒教思想にも合致する、いかにも中国人のやりそうな思考様式ですね。あと、何でも「善悪」で評価したがるところとか。
「面子」「見栄」「虚栄心」とは相手あっての考え方であり、「誇り」「自尊心」「自信」とは違うものです。
その点では、日本人の方が少し進んでいます。キリスト教国でもないのに、その根本的価値観に近い感覚を有している「日本人」という民族は、西側世界の中でも特異な存在だと思いますよ。
その「面子にこだわる伝統的価値観」こそが、今の若い中国人たちに「誤った自信」を植え付ける。その結果として、南シナ海、台湾海峡、東シナ海への膨張・侵攻は避けられないでしょうね。
できることなら、「近代的な価値観に目覚めた」少数派の中国人たちに頑張ってもらいたいところ。
欧米諸国は、「第二次大戦直前の英国のナチス・ドイツに対する『楽観的性善説と事なかれ主義』こそが、戦争を招く結果となった」ことを忘れないでほしいものです。(でも無理なんだろうな、結局は。)