つい最近、台湾の蔡総統がツイッターで、日本にこんな感謝のメッセージを投稿した。
すべて日本語で書くなんて、総統、これは相当感激してるわ。って書いてみた。
そしてある市民は平伏する。
感謝の気持ちを伝えたいということで、この日に限って、日本人なら無料にするかき氷屋があったらしい。ちっ。
これまでコロナ対策の超優等生だった台湾。
日本はその背中を追いかけるだけだったのに、最近になって台湾で新規感染者が激増爆増。
それでワクチン接種が必要不可欠になったものの、いままで対策がうまくいっていたこともあって、台湾はワクチンをほとんど用意していなかった。
日本では「台湾」と書いて「とも」と読む。
友人のピンチに日本が黙っているわけない。
きょうワクチン124万回分を載せた日本の航空機が台湾に到着し、「日本国!!ありがとう!!JAL!!ありがとう!!この御恩は我々台湾人は一生忘れません。」となったわけだ。
東日本大震災が起きて日本が困っていたとき、台湾さんは約200億円の義援金を日本にくれたし、きょねんマスクが必要だったときには医療用マスク200万枚を送ってくれた。
だから友だちならアタリマエ。
ことし3月、大震災のときの支援に感謝する日本人の巨大なメッセージボードが、台湾の中心都市・台北の地下鉄構内にはり出された。
しかし、中国にはそれが不愉快らしい。
朝鮮日報の記事(2021/06/02)
台湾のワクチン不足が中・日の外交戦に飛び火
中国は台湾を自国の領土の一部と考えている。
日本政府や国連もその主張を認めていて、この認識は国際社会の常識でもある。
でもその「1つの中国」の原則に不満を持っている台湾人や、中国の立場に反対する人は世界中にいる。
台湾でも意見は人それぞれだ。
大ざっぱにみると、若い人の間では「台湾は台湾、中国とは別」と考える人が多くいて、年が上がると「1つの中国」を支持する人が増えていく。
それで知人の台湾人が年配の人と口ケンカになったと言っていた。
そんなデリケートな「台湾問題」についてくわしいことはこの記事を。
中国は自国のワクチンを送るとよびかけていたけれど、台湾はそれにそっぽを向いて、日本の差し伸べた手を笑顔で握った。
もし日本が事前に中国政府の「許可」を取ってから、台湾にワクチンを送っていたのなら、きっと日中の「外交戦」なんて事態は起こらなかった。
それをしないで日本と台湾が、中国の頭ごなしに交渉や支援をしたから中国としては腹が立つ。
もちろん日本の台湾援助はそれを覚悟してのこと。
ところできょう6月4日は天安門事件が起きた日なんだが、まぁ偶然だろうけど、もし日本があえてこの日にワクチンが台湾に届くよう送ったとしたら、なかなかの挑発だ。
「干ばつに降る恵みの雨」とよろこぶ台湾の態度のほうがもっと挑発的かも。
とにかく中国としては、目の前で日台の蜜月を見せつけられて気分をかなり害したに違いない。
台湾と中国の複雑な政治的対立は双方との接点があるのなら、一般の日本人だって無縁じゃない。
まえに日本にいる台湾人と中国人を静岡にあるお寺へ連れて行ったとき、境内に梅の花があったから、それぞれの国花を聞いたら、台湾人は「梅ですね」、中国人は「たぶん牡丹です」と答える。
これは「1つの中国」と矛盾する結果だから、それはそれは微妙な緊張感に包まれました。
これはワタクシの失敗。
最近ネットである日本人が中国人と韓国人、それと台湾人でオンラインの日本語勉強会を開こうとした。
中国人がいるのに台湾を「国」としてカウントし、「日中韓台4ヵ国」と表記するわけにはいかない。
それで主催者の日本人が「日中韓台3ヵ国+1地域」という表現にしたところ、中国人が猛反発して絶対に認められないと言いだす。
かといって、「日中韓」にしたら今度は台湾人が怒りだすのは明白。
なんだかんだと揉めて、結局は「日中韓3ヵ国+1」で落ち着いた。
その日本人は勉強会を始める前に突然現れた台湾問題というハードルというか、“山”を登り切って疲れ果ててしまった。
ということで、中国人と台湾人と同時に会う日本人はマジで気をつけよう。
一般の日本人が中台の政治対立を知るのは、五輪に参加する台湾代表選手の背中に「Taiwan」ではなく、「Chinese Taipei(中華台北)」と書いてあるのを見るときぐらいか。
これも知らなきゃ、そのまま終わるけど。
こちらもどうぞ。
台湾が国際大会に出場する時、
呼称は「チャイニーズタイペイ」
国歌演奏では正式の「中華民國國歌」ではなく
「中華民國國旗歌」を強要されます。
日本で例えたら、
オリンピックで
国名を「倭」
国歌演奏で「ひのまる」(♪白地に赤く
日の丸染めて
ああ美しい
日本の旗は)
を強要させられるようなもの。
> 主催者の日本人が「日中韓台3ヵ国+1地域」という表現にしたところ、中国人が猛反発して絶対に認められないと言いだす。
> かといって、「日中韓」にしたら今度は台湾人が怒りだすのは明白。
> なんだかんだと揉めて、結局は「日中韓3ヵ国+1」で落ち着いた。
ははは、その結果では、中国人の勝ちですね。なぜかというと、「日中韓3ヵ国+1」では「台湾」という名前の漢字がどこにも出てないじゃないですか。台湾が気の毒だ。
その主催者の日本人は間抜けですよ。最初から「日中韓台」とだけすればよかったのに。順番は領土・人口の大きさの順番(この場合日本は主催者だから特別)という客観的序列を明示して、もし中国人が抗議してもそれを黙らせるべきでしたね、「これで不満があるなら辞めろ」と。
こういう機転とリーダーシップを利かせられずに、ただ「悩んで疲れてしまう」のが、日本人に外交交渉力が足りない証拠ですよ。おそらくいい大学を卒業して語学の成績も優秀なのだろうが、実務能力に乏しい。外務官僚と同じです。
> 中国は台湾を自国の領土の一部と考えている。
> 日本政府や国連もその主張を認めていて、この認識は国際社会の常識でもある。
うーん、「常識」という言い方には疑問ですね。
それはブログ主さんが「国際社会」とはどういう場を指していると考えるかによりますけど。
私の認識だと次の通りです。
「それまでの中華民国(台湾)に代わって中華人民共和国(中国)が国連安保理常任理事国になったときから、日本も国連もその主張に同意しており、現在でもその考えが正式見解とする国は多い。」
なお、米国の一部であるハワイを日本国が直接支援しても何ら問題ではないように、中国政府が自国の一部と主張する台湾地域を日本国が直接支援しても何ら問題はありません。
台湾を国交を結んでいる国は例外的少数です。
常識としてはこの反対です。
私が言いたいのは、「常識」とは必ずしも「多数意見」のことではない、ということです。「常識」とは、「多数意見」である場合が多いが、それだけではなく、その社会の構成メンバーから「基本的に備えるべき認識である」とみなされている必要があるからです。
ま、それはともかく、どうやら台湾に続いて、ベトナムとマレーシアにも日本政府からワクチン支援の実施計画が調整中で近々実施に至る運びであるとのこと。素晴らしいことだと思います。
「単なる政治ショーに過ぎない」だの、「自国民への接種も満足にできない国が生意気に」だの、「自国で余ったAZワクチンを外国に押し付けているだけ」だの、ぶざまな非難を浴びせてくる国の言うことなんか無視すればいいことです。