【時間感覚】“日本慣れ”した外国人が逆にビックリすること

 

ほんじつ6月10日は「時の記念日」。

「欧米先進国のように日本人も時間をきちんと守って、生活の改善・合理化をしよう!」ということを目標に、大正時代の1920年に制定された。

明治の日本人は現在の逆で時間にゆるゆる、かなりマイペースに行動していた。
だから「時計を持たない生活」とか「時間の約束で人を縛る習慣がない」といった日本人の印象は、当時の訪日欧米人が共通して持っていた。
20世紀になり、日本の社会が近代化しても人々の時間感覚は以前とあまり変わらず。
実業家の渋沢栄一は例外的な日本人で、「仕事の約束を二週間も前に決めている」と評判だったという。
いまでは二週間後の約束なんて小学生でもしているようなことだけど、この時代の日本でそれをすれば、「あいつは違う」とまわりから一目置かれたらしい。

そんなことが今日の産経新聞のコラム「産経抄」に書いてある。(2021/6/10 05)

これではイカンということで、日本人に欧米人並みの時間厳守の感覚を身につけさせるため、大正9(1920)年に「時の記念日」がつくられたのだ。
この日が選ばれた理由は、日本で初めて時計によってトキを記録した日が天智天皇10年4月25日(現在の西暦671年6月10日)だったから。
水時計が設置されて、時を知らせる鐘が打ち鳴らされたと「日本書紀」にある。
これ以上のことは「時の記念日」を見てくれ。

 

 

時間に拘束された生活を送る西洋社会とは対照的に、アフリカの人たちはもっとゆったり・リラックスした生活を送っている。
あまり時間に厳格ではない(というかテキトーな)アフリカ人のライフスタイルを含めて、この時間感覚を欧米では「アフリカ時間」と言う。

This also includes the more leisurely, relaxed, and less rigorously scheduled lifestyle found in African countries, especially as opposed to the more clock-bound pace of daily life in Western countries.As such, it is similar to time orientations in some other non-Western culture regions.

African time

 

仕事やイベントが計画どおりに進まないから「アフリカ時間」を批判する欧米人がいれば、時間に縛られないこういう生き方こそ人間らしいと支持する人もいる。
アフリカ時間には長所も短所もあって、アフリカ人の中でも賛否両論に分かれるというけど、まぁ日本人の知ったことではない。
明治・大正時代の欧米人から見れば当時の日本人はこんな時間感覚の持ち主だっただろうしで、令和の日本人がそのころの日本人と一緒に仕事をしたら、きっともれなくブチ切れる。

 

時は流れて現代の訪日欧米人が驚くことは、日本の社会では何もかも時間に正確なこと。
仕事の会議はもちろんプライベートでの待ち合わせでも、5分前行動を実践している人が当たり前のようにいる。

ただ、その厳格な時間感覚を面倒くさく思うこともある。
中学校で英語を教えていたイギリス人が生徒から、いまの時刻を英語で何と言うか聞かれて「It’s five o’clock」と答えたら、「まだ5時になっていません。2分前です」と言われた。
「そうか。その通りですね」と笑顔で言い直して、後日ボクと会った時に「あれはイギリス人の感覚なら『5時』だ。イギリスならそれでみんな納得する。日本人はホント細かいネ」と文句を言っていた。
その中学生は彼の不正確さが気になったのか、それとも「4時58分」の英語を聞きたかったのかは分からない。

英語版ウィキペディアで「日本の交通」の項目をみると、日本文化として「時間厳守(Punctuality)」についての説明がある。

Japanese railways are among the most punctual in the world. The average delay on the Tokaido Shinkansen in fiscal 2018 was 0.7 minutes. When trains are delayed for five minutes, the conductor makes an announcement apologizing for the delay

Rail transport in Japan#Punctuality

 

日本は世界で最も正確に鉄道が運行されている国のひとつ。
2018年の東海道新幹線の平均遅延時間は0.7分だった。
列車が5分遅れると車掌は謝罪のアナウンスを流し、そして鉄道会社は「遅延証明書」を発行することもある。

「日本の常識は世界の非常識」の具体例がこれで、こういう日本のフツーを「まるで別の惑星の話だね」とあきれる外国人もいた。
イギリスの鉄道会社に日本並みの時間厳守を求めたら、職員が怒ってストを起こし電車が動かなくなるというイギリス人の指摘は、きっと世界中の国で当てはまる。

ただウィキペディアには、日本の乗客は電車が時間どおりに運行されるのを当然のことだと思っていて、これが鉄道職員に強いプレッシャーを与えているという弊害も指摘している。
107名が死亡し、562名が負傷した2005年の「JR福知山線脱線事故」でもこれが大きな原因だと指摘された。

 

日本に長く住んでいると、外国人も日本の時間厳守の感覚が当たり前になって、1分単位で正確な電車の運行にも何も感じなくなる。
そんな外国人、特に欧米人に、昔は時間にだらしない日本人に欧米人がストレスを感じていたこと、欧米社会を目標に日本が「時の記念日」をつくって国民に時間厳守の感覚を身につけさせたことを話すと、一周回って「マジで!」と逆にビックリする人がよくいる。
とっくの昔に欧米を追い抜いて、いまでは日本人の背中が見えないという意見に、反論できる欧米人はいないはずだ。

 

 

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1 個のコメント

  • 日本の列車のダイヤ厳守には、さすがのドイツ人でも驚くらしいですよ。東海道新幹線なんか、山手線並みの短い間隔で運行しながら350km/hのスピードて疾走しているんですからね。しかも、新幹線はじめ日本の鉄道は、列車の停止時のドアの位置までホームに表示してあって、これがまた外国人には大ウケだとのこと。日本人が「この位置に新幹線のドアが来る」と予言しても、「ウソだろ!」と最初は絶対に信じない外国人が大半なのだそうです。
    だけど最近日本で増えている「ホームドア」って外国にもあるのでしょう? 正確に停止できなかったら使えないと思うのですが、どうしているのかな?

    なお日本並みに列車のダイヤが正確なのが、海外では唯一、スイスがそうらしいです。さすがは日本と並んで、時計で名を成した国ですね。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。