【英語とクリケット】インド人、英国支配の“残滓”を有効利用

 

韓国紙・朝鮮日報のコラムによると、100年以上のイギリスによる植民地支配の傷跡が大きかったインドでは、この2つの置き土産で頭を悩ませた。(2020/08/23)

独立当時、インドの建国の指導者たちは植民地時代の二つの大きな残滓(ざんし)をどのように清算すべきか深く悩んだ。英国の帝国主義が移植した英語とクリケットだ。インドの指導者たちはこれらを逆に国家統合の遺産として継承した。

地球上で最も奇妙な独立記念日

 

残滓とは「残りカス」といったネガティブな意味の韓国語で、韓国社会にある日本統治の影響をひっくるめて「日帝残滓」という。
三三七拍子、朝会、運動会、修学旅行、幼稚園といったものや「家族、注意、請願、交通、博士、倫理、想像、文明」といった言葉、貨幣単位の「ウォン」などが日帝残滓にあたる。
「残滓」はあくまで韓国人の表現で、イギリスの影響すべてををインド人が憎しみを込めてこう言うとは思えない。
ただ置き土産も残滓も、ニュアンスは違うけど意味は同じなので、ここではこの表現を使うことにする。

 

韓国人は基本的に「日帝残滓」を消すけど、インド人は「英帝残滓」を国家統合の遺産として利用した。
イギリスが伝えたクリケットを国民的スポーツにして、国際大会でかつての宗主国であるイギリスを破ると「インドの国民は歓喜し、一つになる」という。
*サッカー日韓戦で日本に勝つと、韓国国民もこんな状態になる。

またヒンディー語とイングリッシュを合わせたインドの英語、いわゆる「ヒングリッシュ」は共通語になって言語の違うインド人同士のコミュニケーションツールとなり、またインド経済を成長させる要因になった。
植民地時代の“残滓”を利用して多民族・多宗教・多言語の国民をまとめ、統合と発展の象徴に進化させたことで、「インドは大国なのだと思う」と韓国人記者は書く。

 

広大なインドには、多種多様なコトバがあることは紙幣を見ればわかる。
そこにはヒンドィー語や英語のほか合計20ほどの言語があって、下の紙幣でタテに並ぶ文字はすべて「200ルピー」と書いてある。ってインド人が言ってた。

 

 

インドでは一般的にヒンドィー語が使われているけど、南部ではこれを話せない人が普通にいる。
日本のレストランで南北のインド人と一緒にご飯を食べたとき、南インド人はヒンディー語がダメで、北インド人は南部のタミル語を話せなかったから、彼らは当然のように英語で話を始めた。
イギリスの置き土産である英語がなかったら、彼らは同じインド人同士なのに、意思の疎通を図ることはできなかった。
ここが日本との決定的な違いで、日本人なら「会話は英語のみ」となったらお互い黙り込みそう。
社会にある日本語を見つけては「日帝残滓」と削除する韓国と違って、インド人は英語を積極的に利用して社会を豊かにしてきた。

 

クリケットは野球に似たイギリス発祥のスポーツで、世界には3億人以上の競技人口がいるという。

 

画像:Pulkit Sinha

 

インドを旅行していたとき、日本でいうバッティングセンターがクリケットになっているのを発見。
ワンバウンドするボールを羽子板のようなバットに当てるゲームがあって、大人にも子供にも人気で、インドの各地にこんな娯楽施設があるという。

あるとき路上でクリケットをしているインド人の集団がいて、ぼ~っと眺めていたらそのうちの一人と目が合って、「オマエもやるか?」と誘われたから、「やらいでか」と一度だけ打席に立たせてもらった。
そしたら予想を超える大アタリ。
勢いよく高く上がったボールは窓ガラスを直撃して割ってしまった!
というアニメ的な展開にはならず、しょうもないごゴロに終わる。

話を聞くと彼らは近くの職場で働く同僚で、休み時間にこうやってクリケットを楽しんでいるという。
別の地方から来て言葉が話せないインド人もいるけど、クリケットのルールならわかる。
だからみんなでこのスポーツを楽しんで仲良くなり、その地の言葉を学ぶこともあるらしい。

英国の帝国主義、「英帝残滓」である英語とクリケットを、現代のインド人は国家・国民の統合のために本当に有効的に利用している。
韓国もそうすればいいじゃん。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。