ルール厳守!の日本人が招いた悲劇・女子高校生圧死事件

 

こういう朝日新聞の記事のようなコトって、海外でもあるんかな?(2020/10/21)

自衛隊の3等空佐、食堂でパンと納豆を多めにとったら停職10日に

航空自衛隊那覇基地にあるセルフ方式の食堂で、40代の3等空佐が「配食の量が少なく感じたため」と、パンと納豆を1人当たりの分配量を超える量を何度か取ったとして停職10日の処分をくらった。
でこれにネット民の反応は?

・糞どーでもいい
・規律は大事よな
・その場で食していたならOKだろ
家へ持って帰っていたらアウトだな
・少佐にまでなってこんなので停職って頭おかしいやろ
・満足できる量をたべさせてやってよ
・内部抗争の予感

 

日本にいる外国人に「日本人はどんな人たちだと思う?」と聞くと、「きまりをよく守る」「ルールに超厳しい」という答えが国や宗教に関係なくよく返ってくる。
パンと納豆を多めにとったら停職10日、さらに全国報道されるなんてことを知ったら、外国人なら「日本マジかっ!」と驚くのでは?
ルール厳守は手の平と甲のようなもので、見方によっては長所にも欠点にもなり、「まさにそれが日本人なんだ」という結論にいたる。

こうした「きまりはきまり」という感覚は、自衛隊のような公的な職業ほど厳しく守られる傾向が強いと思う。
基本的にはそれでいいんだが、その意識が強すぎて、とんでもない方法で生徒を”殺害”してしまった教師がいる。
知人のアメリカ人にとっては学校内の銃乱射事件より、こっちの方がずっと衝撃的だ。

 

 

1990年7月6日、神戸にある県立高校で事件は起きた。
その日の朝、遅刻ギリギリの女子生徒が猛ダッシュで走ってくる。
一方、学校には3人の教諭が校門のあたりで遅刻指導をしていた。
そのなかの一人は時計を見ながら、「4秒前~!」などとハンドマイクを使って大声で生徒に向かって言う。

そして8時30分のチャイムが鳴ると39歳の男性教諭Hは、生徒の列が途切れたのを確認すると、重さ約230キログラムの鉄製の校門を全身の力で思い切り閉めた。
すると生徒の悲鳴が聞こえる。
「なんだ?」とHが頭を上げて前を見ると、一人の女子生徒が頭から血を流したまま地面に倒れている。

門と門柱との間に頭を挟まれた女子生徒は頭蓋骨粉砕骨折を負い、搬送先の病院で死亡が確認された。
でも学校は「平常運転」で予定されていた試験を時間通りおこない、Hも試験監督を務めていた。

 

事件があった高校の現在の校門

 

15歳の高校生が教師の閉める校門に挟まれて死ぬ。
そんな前代未聞というか空前絶後の事件に、日本中が大きなショックを受けた。だけじゃなくて、海外でも考えられない出来事として報道された。

いまネットを見たらアメリカのAP通信にこの記事がある。(August 7, 1990)
15歳の少女の頭蓋骨をつぶした(crushed the 15-year-old’s skull)この事件で、日本の教育制度はあまりにも厳しすぎる、厳しい校則やカリキュラムは個性を窒息させる、日本の教育を傷つけるといった批判や反発を招いたとある。

Her death caused an outcry by critics who feel Japan’s acclaimed secondary education system is far too rigid. (中略)Critics say tough school regulations and rigid curriculums suffocate individual differences and hurt Japanese education.

Girl’s Death in Gate Causes Debate of School Practices

 

後に有罪判決を受けたHは「校門指導を正義だと思っていた」と自分の指導を正当化する。
校長も「もし10分早く起きていたら、この事故は起こらなかったでしょう。今からでも皆さんには人生の習慣を改善してほしいと思います」などと言って“ルール厳守”を強調した。
これは卑怯な論点ずらしだ。
生徒が10分、1時間遅刻しても、ズル休みしたとしても教員は生徒の頭蓋骨を破壊してはいけない。
ソレとコレとはまったく別なのに、当時も「時間内行動」というきまりを守らなかったから、とこの生徒を非難する声があった。

 

もう30年も前の事件だからボクはすっかり忘れてたけど、ちょっと前に、高校で英語を教えていたアメリカ人からこの話を聞いて思い出した。
そのとき彼はこんなことを言う。

「銃の乱射で生徒が死ぬことは大きな悲劇だが、アメリカではそう驚くことでもない。「またか…」と悲しくなるだけ。でも、日本人の同僚の先生からこの事件を聞いたときは、本当に信じられなかったね!でも、ルールやきまりを超重視する日本人らしいとも思ったよ」

そうは言うけど、こんな出来事は日本の歴史でこの一件だけで、例外中の例外中の例外だから一般化しないでほしい。
でも、「ルール厳守」の観点から亡くなった生徒を非難する声は確かにあったし、日本人はルールやきまりに超厳格という指摘は間違いなく当たっている。

 

 

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今も昔も外国人が感心する、日本人の「ゆずり合い精神」。

 

1 個のコメント

  • 日本人の特徴として、「ルールをよく守る」ことに加えて、「人権尊重という感覚が、他の西側先進国に比べて希薄」という点があげられます。他の先進国において「差別に対する目が厳しい」「死刑廃止が進んでいる」のは、根本的には「人権尊重」に関して日本人よりもずっと意識が高いことと関係があります。
    生徒にルールを守らせるために苦痛や危害を加えたり、危険な目に合わせるなんてあり得ない。安全を十分に確認しないまま危険行為により生徒を死亡に至らしめたその教諭は、有罪判決が当然です。また、そのような観点に全く触れることなく自分たちの立場を守るためだけの言及が第一であったその校長も、教育者としての資格はありませんね。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。