日本・中国・イタリアの食文化:耳の形をした麺・パスタ

 

食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋…と日本にはいろんな秋がある。
今回は食と学問の秋ということで、「耳」をキーワードに海外の食文化を紹介しよう。

 

むかし台湾旅行でブラリ立ち寄った食堂で「なにを食べよっかな~」とメニューを広げたら、そこには「猫耳朶」という言葉があった。

いやいや、人類は猫の耳なんて食べないだろう。
マテマテ、中国には犬・ヘビ・カエルなどいろんなものを食材にする文化がある。だからひょっとしたら…。

と恐れおののいたら、実は「猫耳朶」は麵料理のひとつだったでござる。
小麦粉を水で練った生地を小さく切って指でつぶすと、猫の耳のような形になるからそのまま「猫耳」と呼ばれるようになったとか。
これをスープの具にして食べるのが、「猫耳朶」(マァォアドゥオ)という中国料理だ。
リアルの猫耳じゃなくて、小麦粉のカタマリだからまったく問題ない。

 

画像:Shizhao
もう少しで台湾人を許せなくなるところだった…

 

日本でも栃木県佐野市に「耳うどん」という郷土料理がある。
これは「猫耳」と同じく小麦粉を水で練ったもので、なんの耳をイメージしたのか知らんけど割と大きい。
佐野市では魔除けとして耳うどんを食べる習慣があるらしい。

 

 

中国・台湾に「猫耳」、日本に「耳うどん」があるようにイタリアには「オレッキエッテ」というパスタがある。
これはイタリア南部のプッリャ州とバジリカータ州を代表する耳形のパスタだ。

作り方は「猫耳」や「耳うどん」と同じく小麦粉を…と書こうと思ったら、下の動画でおばちゃんが「flour(小麦粉)ではなくて、durum wheat(デュラムコムギ)を使うことが重要」と言っている。
この2つの違いはよくワカラン。

 

 

形が小さな耳のようだから、イタリア語の「orecchia(耳)」と「-etta(小さい)」を組み合わせて「Orecchiette(オレッキエッテ)」の出来上がり。

Orecchiette (pronounced [orekˈkjɛtte]; singular orecchietta; from Italian orecchia ‘ear’, and -etta ‘small’) are a pasta typical of Apulia, a region of Southern Italy. Their name comes from their shape, which resembles a small ear.

Orecchiette

 

イタリア料理の「オレッキエッテ」は、中国料理の「猫耳」と形と大きさがそっくり。
パスタの真ん中を押して凹部を作るオレッキエッテの形は、これはもともと食料不足に備えた保存食だったことを表している。
この形にすることで空気に触れる面積が大きくなり、早く乾燥させられるから保存に適している。
たしかに上の動画のオレッキエッテも備蓄用に見える。
また長い航海に出るときには、これを大量に船に積んだという。

「猫耳」は凹部を作ることで、熱を全体へ効率的に伝えられるという話を聞いたことがあるのだが、「オレッキエッテ」のように保存食の意味もあったのかも。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。