3世紀、古代ローマで兵士に結婚を禁じた皇帝に逆らって、愛する男女を結ばせたキリスト教のバレンタイン司祭が2月14日に処刑された。
それいまのバレンタインデーの由来になっている。
てな話はこの記事を見てもらおう。
そんなバレンタインについて、まえにイギリス人とアメリカ人と話をした。
日本のバレンタインデーは「Valentine’s Day」という英語を借りてるだけで、実際にはお菓子メーカーやデパートなんかが始めた「チョコレート大作戦」の商業イベントだから、欧米とはやってることが違う。
そのへんは、日本人に英語を教えている彼らのほうがよく知っていた。
「“気持ち”と言っても社内には、女性社員が男性社員にチョコを渡すのを当然とする雰囲気があった。これは一種の”パワハラ”になるということで、ウチの会社では義理チョコのプレゼントが禁止された」
そんな話を生徒から聞くと、「これは確かに欧米のバレンタインとは別ものだ」と彼らは思うらしい。
日本人は無宗教だし、日本のバレンタインはキリスト教とは関係ないからとボクが言うと、「でもあれも、元々はキリスト教のイベントじゃなかったんだけどね」とイギリス人。
異教の祭りである古代ローマのルペルカーリア祭(ルペルカリア)を、キリスト教が奪ってしまったのが現在のバレンタインデーだと。
バレンタインの「元ネタ」になったという、その祭りは一体どんなものなのか?
ルペルカーリア祭
これは結婚や豊穣・繁栄のための祭りで、毎年2月15日に古代ローマで行われていた。
でも、これはキリスト教の祭りじゃない。
391年にキリスト教以外の信仰や祭りが禁止されたというのに、ルペルカーリア祭はアナスタシウス皇帝の時代まで、キリスト教徒の民衆によって定期的に行われていたという。
Despite the banning in 391 of all non-Christian cults and festivals, the Lupercalia was celebrated by the nominally Christian populace on a regular basis into the reign of the emperor Anastasius.
繁栄のための祭りという性質もあってこの祭りの期間中は、いまの日本でいうと不純異性交遊というか、若い男女による淫らな行為がよくあったから、「このままではローマの風紀が乱れてしまう。」と、校長先生のようなことを思ったローマ教皇ゲラシウス1世はルペルカーリア祭の廃止を主張した。
でもローマ上院は、この祭りはローマの安全と幸福(Rome’s safety and well-being)のために不可欠であると抗議する。
教皇ゲラシウス1世がこの祭りを廃止したという説もあるけれど、詳しいことはよくワカラン。
ただ5世紀に、2月14日のバレンタインデー(祝日)を定めたのはゲラシウス1世で間違いなさそう。
The feast of Saint Valentine of February 14 was first established in 496 by Pope Gelasius
ルペルカーリア祭では動物が生贄(いけにえ)として殺されていたから、バレンタイン司祭が祭りの前日である14日に処刑されたことにはその意味があったという。
そんなことから知人のイギリス人は、「バレンタインデーの起源は古代ローマのルペルカーリア祭にある!」と主張する。
アメリカ人は「知らない。でも、そうなんじゃないの?」と興味なし。
ではホントに、ルペルカーリア祭がバレンタインデーの起源になったのか?
日本語版ウィキペデアは「この祭りは現在のバレンタインデーの源流である。」と断定してるし、「世界大百科事典」にも「これがバレンタイン・デー(2月14日)の起り」と書いてある。
でも一方で、英語版ウィキペデアの「Valentine’s Day」では否定も肯定もしていない。
「No evidence has been demonstrated to link St. Valentine’s Day and the rites of the ancient Roman purification festival of Lupercalia」
ルペルカーリアの祭りと、バレンタイン・デーとを結びつける証拠は見つかっていないという。でも、無関係だとは書いてない。
だから結局、「古代ローマのエロ祭りがバレンタインの元ネタになったという説や可能性がある」が正解だ。
でも、その可能性は高そう。
YouTubeには、ルペルカーリア祭をバレンタイン・デーの起源として説明する動画が山盛りある。
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