「わが国が本気で攻め込んだら、あんな国などあっという間に落とすことができるわ」
と、ロシアのプーチン大統領はガチで考えていたようだ。
ロシアの国営メディアがつい先日、勝利を前提として「ロシアと新たな世界の到来」という記事を間違って配信してしまい、すぐに気づいて削除するお笑いみたいな出来事があった。
でも、すぐに魚拓をとった誰かが世界中へ拡散する。
その記事の内容からすると、プーチン大統領(ロシア政府)はウクライナに攻め込めば、2日で首都キエフを制圧し、ゼレンスキー政権を崩壊させて勝利宣言ができると考えていたらしい。
でも、この見通しは大ハズレ。
1週間以上が過ぎたいまでもキエフはウクライナのものだ。
ウクライナの想像を超えた善戦によって、逆にプランを崩壊させられたプーチン大統領はいま異常なほど激怒し、周囲に当たり散らしているという報道もある。
でもやっぱり、ロシア軍とウクライナ軍との差は圧倒的で絶望的だ。
徹底抗戦をしても、あと数日でキエフが陥落するという見通しが欧米メディアにあって、そのことについては誰よりもウクライナが危機感を強めている。
それで西側世界の協力を求めたゼレンスキー大統領は、ウクライナが陥落すれば次はあなた方だと警告する。
AFP(2022年3月4日)
ウクライナ陥落なら「次はバルト三国」 ゼレンスキー大統領
ゼレンスキー氏は記者会見で「(ウクライナの)次はラトビア、リトアニア、エストニアだ」と言って、「同情するなら金をくれ」じゃなくて、「空を封鎖する力がないのなら、戦闘機をくれ」と欧米諸国に要請した。
では、名指しされたリトアニアの人たちは、いまこの事態をどう見ているのか?
ラトビア、リトアニア、エストニアのバルト三国はロシアの脅威と常に隣り合わせ。
リトアニアにいる知人に現地の様子を聞いてみると、こんな返事がきた。
「In Lithuania, some people are panicking, and stacking food and gas, as if a war would be coming, but others try to stay calm.」
リトアニアでは、戦争が起こるのではないかとパニックになって、食料やガスを買いだめする人もいるけど、同時に冷静になろうとする人もいる。
ゼレンスキー大統領の警告はけっして誇張ではなく、バルト三国の人たちにとっては、言われなくて分かっている現実的な危機らしい。
でも彼は、戦争にはならないと考えていて不安はないという。
「I’m not worried about the war in our country or other Baltic states as it won’t be a war against Lithuania, Latvia or Estonia, it would be a war against all NATO, and that would be WW3 with a high chance of nuclear weapons being used.」
ロシアがリトアニア、ラトビア、エストニアに戦争を仕掛ければ、それはNATO全体に対する戦争を意味する。そうすれば、核兵器が使用される可能性の高い第3次世界大戦になるだろう。
リトアニアは小国でもそこに手を出せば、西ヨーロッパを敵に回して全面戦争になるから、いくらプーチン大統領でもそこまでのリスクを負わないと彼は考えている。
ボクもそれを願っているし、それ以前にロシア軍がウクライナから早く撤退してほしい。
ただ、事前の想定と目の前の現実がまったく違っていることで、プーチン大統領の精神状態はいまちょっとおかしいという報道をよく見る。
追い詰められた氏が、これから何をするか予想がつかないという底知れない不安はある。
いま見たニュースでは、ロシア軍の総攻撃を受けてウクライナにある欧州最大の原発で火災が発生し、これが爆発すれば、チェルノブイリの事故を大きく上回る被害(一説には10倍)が出るとか。
ホント何してくれてんの。
それにしてもウクライナは国土を蹂躙(じゅうりん)されないよう、NATO加盟を推進していたのに結局は遅かった。
間に合ったバルト三国はとりあえずは安心だ。
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