日本にいるスペイン人が桜の写真と一緒に、こんなメッセージをSNSに投稿してた。
「¡Llegó la primavera!」
このスペイン語には「Spring is here!」という英語があったらから、寒く殺風景な冬が終わって、ピンクに彩られた町の様子を見て「春がきた!」と実感したらしい。
サクラと花見は日本の春の絶対条件で、これがない春は異世界の日本だけ。
では海外ではどうなのか?
アメリカ人、ドイツ人、ポーランド人、イギリス人に「春の風物詩」を聞くと、みんな「イースター」をあげる。
約2000年前に処刑されたイエス=キリストが、3日後に復活したことを祝う祭りがイースター(復活祭)。
「死からよみがえった」というのはキリストが行った奇跡の一つで、最後の審判の日には、全人類も同じように復活するとキリスト教では考えられている。
キリスト教の成立にとって、その根幹に関わる重要な出来事だ。
イースターは基本的に「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」と決められているから、年によってその日は変わる。
きょねん2021年は西方教会では4月4日で、東方教会だと5月2日だった。
西方教会とは、ざっくりいえば西ヨーロッパのキリスト教のことで、東方教会はギリシャや東ヨーロッパなどで発達したキリスト教のこと。
ことしのイースターは西方は4月17日で、東方は4月24日になる。
南米のチリにモアイ像で有名なイースター島がある。
18世紀にオランダ人がこの島を見つけたとき、その日が復活祭だったからそれを島の名前にしてしまった。
ポリネシア系先住民の言葉だと、「広い大地(大きな端)」を意味する「ラパ・ヌイ」と呼ばれているけど、世界的な知名度でいえば圧倒的に「イースター島」だ。
オーストラリアにある「クリスマス島」の由来も同じで、西洋人(たぶんイギリス人)の船が1643年12月25日にこの島に到着したことにちなんでこの名前がつけられた。
デカいものだと高さ20m、重さ90トンに達するモアイ像。
島民が祭祀を行うために、こんな像をいくつも立てたと考えられている。
イースターといえば、こんなカラフルなイースター・エッグ(復活祭の卵)がお約束だ。
西洋の歴史や文化にくわしいアメリカ人に聞くと、中に生命を宿していて、やがてそれが出てくる卵は死から復活するイエスに重ねられて、イースターのシンボルになっている。
仏教の場合、シャカは燃やされて灰になったから、こんな「復活」なんて発想はありえない。やっと輪廻の苦しみから解放されて涅槃に行ったはずなのに、またこの世によみがえったら仏の顔も一度で激怒する。
で、なんで卵のカラに色を塗るのか?
日本のサイトを見ると、この理由についてイロイロ書いてあってどれが正解かよくわからん。
こういう外国文化に関すること、とくにキリスト教に関することは英語版ウィキペデアの説明が信用できると思われるので、ここではそこにある説を紹介しよう。
the Christian custom of Easter eggs was adopted from Persian tradition into the early Christians of Mesopotamia, who stained them with red colouring “in memory of the blood of Christ, shed at His crucifixion”.The Christian Church officially adopted the custom, regarding the eggs as a symbol of the resurrection of Jesus
キリスト教のイースター・エッグの習慣はペルシャの伝統から、メソポタミアにいた初期のキリスト教徒に取り入れられた。「キリストが磔(はりつけ)になった時に流した血を記念して」、彼らは赤色で卵を染めたという。キリスト教会は卵をイエスの復活の象徴とみなし、この習慣を公式に採用した。
ということで、はじめは赤色で塗られていたのが、しだいに遊び心(?)が出てきてカラフルになっていったらしい。
いまでは欧米の人たちはイースターや春の訪れを祝うために、創造性を発揮して卵をキレイにデコレートする。
このコンセプトはキリスト教の文化圏では共通しているけど、そのやり方には地域によって違いがあるらしく、東ヨーロッパのポーランドからアメリカへ移住した人からこんな話を聞いた。
ポーランドのイースターエッグは卵に小さな穴を開けて、中身をすべて出してカラッポにしてから自分の好きな色を塗る。
でもアメリカでは卵を茹でてから着色して、みんなのイースターエッグを見たあとに食べてしまう。
この人の感覚としては、ポーランド人は宗教に真面目で、気にいったデザインのイースターエッグがあれば家にずっと飾っておくけど、アメリカ人は「お楽しみ」や「消費」を重視している。
ドイツやイギリスでは復活祭の日、大人が庭に隠しておいたイースターエッグを、子供が探して見つけるというイベントをよくする。
無宗教で教会にはまったく通っていないイギリス人が知人にいて、彼女も復活祭の日には、自分の子供に「イースターエッグ探し」をさせているという。
その人はこれを宗教行事ではなくて、イギリスの伝統や文化と考えているから、こういう遊びをとおしてイースターに触れさせて、子供にこの日がどんな日かを学ばせている。
宗教心のある人なら、その起源と同じようにキリスト教の祭りとしてイースターを祝うし、信仰心ゼロの人でも、自国や民族の大切な文化として次世代に伝えている。
つまり、どんな欧米人にとってもイースターは春の風物詩だ。
イースター島の人たちがイースターを祝うのかは知らない。
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