「日本には何をしてもいい」の認識を育てる韓国の歴史観

 

たしかに日本に対して中立的で、一般的な韓国人でもこんなステレオタイプのイメージをもっている人は多い。
中央日報(2022.04.08)

韓国人なら日本を特別に憎んだり嫌ったりする人でなくても、日本を少し見下げる傾向がある。長く大陸の先進文明を島国に伝授した半島国の立場で、16世紀末と19世紀末の侵略は、普遍的な国際道義以前に生意気で恩を仇で返すものと感じられる。

韓半島と日本の国力が初めて逆転、壬辰倭乱を呼ぶ

 

この前半部分については、思い当たることがある。

日本が好きで日本語を学んでいて、その集大成としてワーキングホリデーで東京へやって来て、一年住んでいた韓国人の女子大生と奈良を旅行した。
法隆寺や東大寺を見た彼女が強調していたのは、朝鮮半島にあった国が古代の日本へいろいろな先進的な文化を伝えて、日本を発展させたということ。
この韓国人は日本が大好きで、悪意や敵意のようなネガティブな感情は1ミリもない。
慰安婦問題や竹島問題については対立することは分かっていたから、彼女の口からそんな話題が出たことは一度もなかったことを考えると、これは、日韓で共通する正しい歴史として話しているのだろう。

そう思ったんでこんな話をしてみた。
日本は朝鮮半島の国から進んだ文化を受け入れた事実はあるが、7世紀末になると日本は自分たちの方が上位にあると考えて、マウントをとろうとしたから新羅と対立するようになった。
これは歴史的事実で「詳細 日本史研究(山川出版)」にはこう書いてある。

「新羅を従属国として扱おうとする日本との間で時に緊張が生じた」

くわしいことはこの記事を。

韓国の人には悪いけど、古代日本人は「新羅より上」と考えてたんだ

古代において、日本が韓国(新羅)を属国とみていたという認識はこの韓国人の真逆。
あってはならない歴史だったようで、「それはあり得ません!当時の国力から考えて絶対おかしいです」と強く強く否定する。
こんな経験があったんで、日本を憎んだり嫌ったりしていないフツウの韓国人でも、「日本を少し見下げる傾向がある。」という指摘には完全同意、「イグザクトリー(ですよねー)」としか思わない。

 

それから時代が流れて、豊臣秀吉の朝鮮出兵や日韓併合のころの日本の動きが「生意気で恩を仇で返すものと感じられる。」ということも、韓国人的にはそう感じるんだなーということは分かる。
韓国には韓国の歴史認識があるのは当然だ。でも、こんな歴史認識を土台に、現在の日本観を形成するのはホントにやめてほしい。

朝鮮日報が指摘したように、そういう意識が日韓関係を悪化させているのだから。(2016/09/11)

日本を幅広い観点から理解するのではなく、歴史の延長線上でばかり考えることに完全に慣れ切ってしまっているのだ。韓国人は「日本は韓国に対する加害者だから、韓国は日本に対して何を言ってもやっても問題ない」と考えている。

日本はいくら侮辱し続けても韓国の友好国であり続けるのか

 

この報道の後、韓国政府は慰安婦財団を解散に追い込んで、日韓合意を実質的に破棄してしまった。
「日本は韓国に対する加害者だから、韓国は日本に対して何を言ってもやっても問題ない」という考えは現在の韓国にも強くある。
「古代の韓国は日本の上位にあって、すばらしい文化や文明を教えてあげた。にもかかわらず、日本は後になって我が国にヒドイことをした」という歴史教育を受ければ、自然とそんな認識が身についてしまうのだろう。
とはいえ日本が韓国の教育に干渉することもできないから、このギャップは永遠に埋まらない。
違いを前提に付き合っていくしかない。
ただ、「日本はいくら侮辱し続けても韓国の友好国であり続けるのか」はもうすでに限界突破している感がある。

 

ちょうどいま台湾の情報を紹介してくれている Hsu Hsu さんが、大正時代に建てられた日本時代の建物を修復して、再利用するとSNSで報告しているのを見た。
着工式には台南市の市長も出席したという。

 

 

 

日本統治という同じ過去を持っているのに、台湾と韓国では日本に対する見方がまったく違う。
教育の力、恐るべし。

 

 

こちらの記事もどうぞ。

国 「目次」 ①

韓国 「目次」 ②

韓国 「目次」 ③

 

1 個のコメント

  • 日本に対する韓国人の無意識的優越意識は確かにあります。
    上の文で韓国の女子大生が持っている考え通りです。日本による植民地時代のある韓民族の指導者は、わずか2千年しか経っていない歴史を持つ日本が、5000年の歴史を持つ韓民族を理解することはできないと言いました。
    日本によって支配される屈辱を経験しながらも日本を無視する優越感を持っていたのです。
    しかし、百済滅亡時に日本から大規模な支援軍を送った事実や、『三国史記』の『新羅本紀』にも倭がよく登場することから、韓国人が一般的に考えるように、当時の日本は未開の国ではありませんでした。
    しかも現在、韓国の湖南地方の一部に日本の古墳時代に作られたもののような前方後圓墳が発見され続けていることは、当時の主従関係を離れて韓日関係が持続的に行われていたことを示しているのです。
    韓日関係が改善され、韓日古代史に関する研究が活発に行われることを願っています。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。