禁酒法時代の米国:各種悪を取り締まる「Gメン」の始まり

 

日本全国の小売店にとって、“最悪最悪”と言っていい存在が万引き野郎(または女)。
万引きの対策費は商品の値段に上乗せされているという話を聞いたことがあるから、もしそれが本当なら国民の敵でもある。

そんな悪を撲滅するため、全国のお店で活躍しているのが「万引きGメン」だ。

 

 

ヤフーで「Gメン」と入れると、

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と関連ワードがいくつも出てくる。
X-MENとは「EXTRA-MEN」(生まれつきの超能力者)という意味なんだが、「Gメン」とは一体何のことなのか?

話はアメリカで1920~30年代にかけて、酒を飲むことが違法になる禁酒法の時代にさかのぼる。
仕事が終わった後の一杯を法で禁止するなんて、葛城ミサトさんにとっては悲報この上ない。
そんなことで人間の酒への欲求を止めることはできないから、店頭から酒が消えると酒の密造が流行り、人びとは闇酒を飲むようになる。
結果的に、爆笑が止まらないほどギャングは大儲けした。

【1920年代のアメリカ】永遠の繁栄・禁酒法の理由・世界恐慌

 

そんな禁酒法時代に密造酒の製造や武装強盗、そして誘拐とやりたい放題の犯罪を犯した有名なギャングにマシンガン・ケリーがいる。

 

ジョージ・R・ケリー
マシンガンを持って数々の悪事をはたらいたことから「マシンガン・ケリー」と呼ばれた。

 

そんなケリーにも、日本語でいうと年貢の納め時がきた。
ケリーの隠れ家が特定されて1933年9月26日の早朝、FBI特別捜査官と地元警察が踏み込んで、ケリーとその妻キャサリンを逮捕。
この逮捕劇の際、ケリーが丸腰で出てきてFBIにこう叫んだという。

「”Don’t shoot, G-Men! Don’t shoot, G-Men!”(撃つなGメン! 撃つなGメン!)」

Gメンとは「政府の役人(Government Men)」を指すフツウの言葉だったのに、この事件からFBI特別捜査官を指すようになった。

これでGメンは「悪を見つけ撲滅する正義の集団」といった意味になる。
日本では1975年から放送が始まった刑事ドラマ『Gメン’75』が爆発的にヒットして、「Gメン」の定義がきまった気がする。
それでいまではすっかり日本語として定着し、万引きGメン、麻薬Gメン(麻薬取締官)、公害Gメン、下請けGメン(中小企業庁の取引調査員)といった各種Gメンが誕生し、悪を摘発して日本の平和や国民の暮らしを守っている。
とっさに「Don’t shoot, G-Men!」と叫んだマシンガン・ケリーも、こんな未来は想像できなかったはず。
日本でも「Gメン」の元ネタが禁酒法やマシンガン・ケリーということを知っている人は少ない。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。