【異世界】試合後に暴動が始まる海外と、掃除を始める日本人 

 

幕末に開国して明治になると、たくさんの外国人が日本を訪れるようになった。
当時の日本人を見て「行儀やマナーがいい」、「清潔である」、「礼儀正しい」といった感想をもった外国人は多く、例えばドイツ人の医師ベルツは花見をする日本人にこう感嘆する。

入り乱れて行きかうすべてが、何という静粛で整然としていることだろう。乱暴な行為もなければ、酔漢の怒鳴り声もしない — 行儀の良さが骨の髄までしみこんでいる国民だ

「逝きし日の面影 (平凡社) 渡辺 京二」

 

大勢の人間がいて酒が入っていても声を荒らげることなく、秩序を保って行動する日本人にドイツ人は強い印象を受けた。

そんな外国人の感想は今も変わらない。

『THE ANSWER』の記事(2022年12月1日)

「建物を壊さず暴動を起こさない」 W杯で目撃した日本人の国民性に米国人作家が衝撃

カタールで行われているサッカーW杯でアメリカ人の作家が試合後、スタジアムの掃除を始める日本人サポーターを見て「心地良い衝撃」を受けたと称賛。
また、ロッカールームをピカピカにして、感謝の気持ちとして折り鶴を置いて去った日本代表チームには「犯罪現場を綺麗にしたようだ」と感嘆する。
*他国のロッカールームは汚すぎて、泥棒が入った現場のように感じたらしい。

これがその作家の声。

「日本のファングループは暴動を起こさない。建物を破壊したり、パトカーに火をつけたりはしない。街も荒らさない。なんと日本のファンはゴミ袋を持ってスタジアムを綺麗にしたのだ。衝撃的だ!」

ただこのニュースを見て、「圧倒的じゃないか、わが民度は!」と誇りに感じる日本人は特に見当たらない。

・こういうのはもう飽きたから
W杯優勝しろよ
・アメリカ人はサッカーを何だと思ってるのかw
・が、渋谷は例外
・暴れて何でも壊して火を付けて略奪するのがおかしい
・ジーコがPK外して家を無茶苦茶にされたのを思い出したわ…
・それ大阪や浦和で言ってみ

 

日本でも戦前の1933年(昭和8年)に東京六大学野球の早慶戦で「リンゴ事件 」、戦後は1952年にプロ野球の試合で「平和台事件 」といった乱闘事件が発生したことはある。
でもここ数十年、スポーツ観戦でそんな暴動事件なんて聞いたことない。

「いやいや、たかがスポーツの試合で暴動を起こすほうがおかしい」という日本の常識は、海外ではあまり通じない。
インドネシアでは最近、サッカーの試合結果に観客が怒って暴れ出して、最終的には170人以上の観客が亡くなった。

日本のサッカー観戦で、インドネシア人が見た“衝撃的光景”

「いやいや、それは発展途上国の話でしょ」なんて発想も通じない。
インドネシアのケースはちょっと異次元としても、先進国でも試合に怒って暴れ出す人はいる。
世界中の人たちを受け入れて、いろんな価値観や考え方を認める「寛容」で有名なベルギーでも、W杯の試合でモロッコ代表に負けた後、サポーターが暴れ出して車や建物に火をつけたり破壊したりした。

 

 

以下、この暴動を見た外国人を紹介しよう。

ベルギーを住みやすい国と考えていた南アフリカ人はこう思った。

・but then you see these things and I guess it’s not only our country that is broken. The whole world is currently in a very weird and self destructive state.
こんな事態を目の当たりにすると、壊れているのは南アフリカだけではないようだ。世界全体がとても狂っていて、自己破壊的な状態にある。

・as a person from Belgium regarding football (morocco vs Belgium) this would always have turned out as riot in Brussel since people from Belgium are too proud and Moroccan’s too expressive regardless of who won.
サッカー(モロッコ対ベルギー)に関してベルギー人はとてもプライドが高く、モロッコ人は表現力が豊かなので、どっちが勝っても、ブリュッセルで暴動になっていたでしょう。ベルギー出身のわたしはそう思います。

・Such civilized people.
なんて文明的な人たちだ。

・Belgium, the most tolerant and educated country in Europe 😂😂
ベルギー、そこはヨーロッパで最も寛容で教育熱心な国 😂😂😂

・As an American Veteran who was stationed in Germany, it was quite common in France, England, holland, and Belgium for their locals to do that on the streets after a win or loss of a soccer game. People are pretty passionate about even their local teams there.

ドイツに駐留していたアメリカの退役軍人のわたしに言わせてもらうと、フランス、イギリス、オランダ、ベルギーではサッカーの試合の後、人々が街中でこのようなことをするのはごく普通のことでした。
地元のチームに対しても、人々はとても情熱的なのです。

 

程度の差はあれ、外国人がこんな状況に慣れてしまったことが分かると、試合に勝っても負けても、スタジアムの掃除を始める日本人を見てどれだけ驚いたか想像できる。
スポーツの結果で暴れ出して、モノを壊して火をつけることがおかしいと、日本人なら思うだろうけど、海外の外国には「行儀の良さが骨の髄までしみこんでいる国民」のほうが衝撃的かもしれない。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。