サッカーの試合で“推し”のチームが負けると、サポーターが激怒して大声でヤジを飛ばす。
これなら日本でもよくある。
ピッチにペットボトルを投げ込むとか、選手の乗ったバスを取り囲んで動けなくしたということも過去にあった。
でも、インドネシアで起きたこんな騒ぎは日本じゃあり得ない。
インドネシアのサッカー1部リーグの試合で、負けたチームのサポが大激怒してピッチになだれ込む。
ここまではギリ分かるとして、なんでこうなった?
NHKニュース(2022年10月2日)
インドネシア サッカー場 試合後に暴動で174人死亡
ちなみにこの試合で決勝ゴールを決めて、相手チームにトドメを刺したのは日本人選手だった。
1か月ほど前ウクライナで、ロシア軍が鉄道駅にミサイルを撃ち込んで22人が死亡する惨事があった。サッカー観戦でなんでその8倍以上の人が死ぬのか?
日本のネット民のツッコミどころもそこ。
・そんな命かける程の試合やったんか
・警察っぽいのが持ってる武器が殺傷力高すぎ
・昭和のプロ野球でもこんな暴動あったんかな?
・阪神ファンやレッズサポもまだまだってことやな
・人間同士下敷きになって圧死?野蛮ね
警察が暴徒を鎮圧するために発射した催涙ガスで窒息したり、パニックになった人たちが出口へ殺到し、多くの人が踏みつけられてこんな死者が出たという。
でもこれは、3万人の観客を収容できる会場に、4万人以上を入れたという運営側のミスも分かっている。
日本のサッカースタジアムでこんな事件は考えられない。
でも、2001年に明石市で花火大会が行われた際、圧死などで11人が亡くなる「明石花火大会歩道橋事故」はあった。
「野蛮ね」というコメントもあったけど、花火大会の移動で、21世紀の日本でここまでの死者を出す事件は起きている。
まえに日本に住んでいたインドネシア人から、日本人との「怒りの違い」について話を聞いた。
彼の見方だと、インドネシアの人たちは基本的に穏やかな性格で、怒ることは本当に少ない。
でもその感情を外に出す場合、静かに怒りを表す日本人と違って、インドネシア人は直接的で攻撃的な言動をすることが多い。
特にスポーツでそのスイッチが入りやすいから、トラブルは日常茶飯事。
国民的スポーツのサッカーには熱狂的なファンが多いから、試合に負けるとサポーターが怒りを爆発させて、死傷者が出るような暴動騒ぎは何度も起きている。
だから規模は違うとしても、今回のような事件はこれまでにも発生していたのだ。
武装した警官が何十人(百人以上?)もスタジアムに待機していたのは、それを想定していたはず。
でも、そんな「ヒヤリハット」を放置して抜本的な改革をしてこなかったから、170人以上が死亡する世界的な大事件になってしまった。
サッカー観戦をしていた日本人を見て、知人のインドネシア人が驚がくしたことがある。
オリンピックやサッカーW杯で競技や試合が終わった後、日本人の観客が会場のゴミを拾う様子をネットで見て、「日本人は別の惑星の人間では?」と思うほど彼はビックリした。
でも、静岡県内で行われたJリーグの試合を見にいった時、応援していたチームが負けたにもかかわらず試合終了とともに、サポーターが会場に落ちているゴミを拾って青いビニール袋に入れ始めた。
インドネシアとは世界が逆転している。
持ってたペットボトルを投げつけるのは穏やかなほうで、怒って暴れ出す人がいてもインドネシアならおかしくない。
でも、日本人の観客は整然と列に並んで、何の混乱もなく静かに出口へ進んでいく。
そのころには日本での生活にすっかり慣れていて、もう驚くことも無くなった彼でも、この光景は試合よりも衝撃的だったと言う。
サッカー観戦ではそれがフツウの日本人からすると、「試合後に174人死亡」というニュースは別の星の出来事かと思うほど衝撃的だ。
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