きのう11月10日の記念日は、「い・い・ト(十)イレ」の語呂合せで「トイレの日」だった。
いま確認されている最古のトイレは紀元前2200年ごろのもので、メソポタミア文明の遺跡にある。
ただこれは個人のもので、世界で初めての公衆トイレは約2000年前、ローマ帝国で設置されたという。
ということで今回は、この人類の長い友人について書いていこうか。
安心してください。
匂いませんよ。
ホテルやレストランではなくて、一般家庭でトイレに花を飾るセンスがあるのは日本人だけというのを前にテレビ番組で専門家が言っていたけど、日本人の発想が外国人と違うのはソレだけではないらしい。
アメリカ人、リトアニア人、インドネシア人、ベトナム人と一緒に、江戸時代には旅館だった建物を見に行ったときのこと。
一面畳敷きの屋内をテクテク歩いて、母国では数百年前のホテルなんて見たことないというインドネシア人は、「保存状態がすごく良いですね~。日本では古い建物がとてもキレイに残っています。自国の歴史を大事にしていることがよく分かります」と感心する。
いやいやそんなことを聞いたら、よろこんでしまうではないか。と日本人に思わせるリップサービスだったりして。
このときベトナム人が「コレはなんですか?」と言って指さす先には、飲食をともなう宿泊施設には必需品のアレがあった。
日本に10年以上いるアメリカ人はすぐにピンときて「これは江戸時代のトイレだろう」と言うと、ベトナム人とインドネシア人は「え?」という顔をする。
江戸時代にはスリッパなんてなかったからだろうけど、にしても、畳敷きの部屋にトイレがある絵は日本人のボクでも違和感しかない。
そして話題は日本のトイレへ突入する。
このとき外国人すべてが、日本に来てからこんなトイレを見て衝撃を受けた。
刮目といってもいい。
人類にとってトイレの目的とは排泄物の処理のはずなのに、なんで日本では、それだけのために20以上のボタンがあるのか?
しかも高級ホテルや特別な店ではなくて、そこらのカフェや駅の公衆トイレにもこんな高機能トイレがある。
こんなフツウが外国人には異常に見えるらしい。
英語が書いてないトイレでは、ボタンを押すのに勇気が必要だったとベトナム人が言えば、いろんなボタンを押して楽しめるから、日本のトイレなら30分はいられるとインドネシア人が笑う。
*もちろんこれは彼の密かな趣味で、全インドネシア人がこうではない。
このときいろんな感想が出てけど、「でもこれって、ホントに必要?」という感想は基本的にみんな同じ。
「こんなトイレは日本だけだよ。アメリカ人なら、こんな多くのボタンは必要ないね。」という意見に、ヨーロッパ人も東南アジアの人もウンウンとうなづく。
イヤならするな。(とも言えない)
こういうハイスペック・トイレはSNSに投稿するネタとしてはいい。
でもトイレは、もっとずっとシンプルなものでいいというのが彼らの意見だ。
ただリトアニア人は、「便座が温まるのはすばらしい!ぜひ母国に持って帰りたい」と話す。
外国人にとっては「ミライのトイレ」みたいな、現代の日本のトイレ。
みんなそれを当たり前と思っていたから、そんなトイレの「原点」と言うべき、江戸時代のフタと体を支える木(?)があるだけのシンプルな一品はとても印象的だったらしい。
日本人は必要性のある機能をどんどん加えていくから、その過程にいない外国人が“最終進化形態”を見て「なんだコレハ!」と思うことはよくある。
トイレとスマホはその発想の代表例だ。
でも外国人は基本的に、もっとシンプルなものを求めているということは知っておいていい。
「値段を考えたら、江戸時代のトイレの方がいい」という人もいると思う。
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トイレの神様!
> でも外国人は基本的に、もっとシンプルなものを求めているということは知っておいていい。
> 「値段を考えたら、江戸時代のトイレの方がいい」という人もいると思う。
いや、今では大部分の日本人も同じ考え方をしていると思いますよ。そのことを知らないのは、メーカー側の新商品企画開発・販売担当者だけです。まったく馬鹿げている。
おそらく今でも、「多機能化=高付加価値化=>高価格化により利益向上可能」と考えているのでしょうね。そんな安直な話が通用する時代は、とうの昔に終わったというのに。
多くの日本の家電メーカーが「ガラパゴス化」によって世界での競争力を失い、中国・韓国の海外メーカーに遅れをとってしまった大きな理由の一つがこれです。「多機能トイレ」もこれと同じ道をたどらないことを願うばかりです。
メーカーさんには、シンプルで、使いやすく、耐久性が高く、飽きの来ないデザイン、かつ価格が安い商品を開発してほしいものです。でないと、いつまで経っても海外メーカーに負け続けですよ。
すみません、先ほどの投稿の続きで。
たとえば日本の自動車は、「多機能化」という道をたどっていません。むしろ昔に比べて、色々な機能の自動化が進んで、ユーザーにとっては「高機能化はしているが、よりシンプルで使いやすく、耐久性も向上した」方向に進化していると思います。
だからこそ、日本の自動車メーカーは現在でも生き残って、世界をリードし続けているのです。