中国の金と技術 米国の半導体制裁でパワーアップする可能性

 

天気予報によると、今週の土曜日は晴れるらしい。
なら外国人の友人に富士山を見せてやろうと思って声をかけて、その日はハイキングをしてキレイな富士山と駿河湾の絶景を見て過ごす。
そんな週末が終わってまたいつもの日常生活がはじまったころ、中国人からこんなメッセージが届く。

「返事が遅くなって申し訳ありません。LINEはあまり見ませんので。その日は用事があってハイキングには行けません。」

これを見て、この人も誘ったことを思い出した。
終わったイベントの欠席連絡に意味はないけれど、この中国人が律義なのはわかった。

中国では政府のインターネット規制によって、ラインやフェイスブックといったSNSを使うことができないから、国民はその代わりに、中国版ツイッターと言われる「Weibo(ウェイボー)」や「WeChat(ウィチャット)」なんかを使っている。
上の中国人によく利用するSNSを聞くと「WeChat」で、これなら高速で返事ができると言う。
「上に政策あれば、下に対策あり」で、知り合いの中国人は国内の家族や友人とはウェイボーやウィチャットで連絡をとっていて、日本ではツイッターやラインで日本人とやり取りをしている。
ネット規制があるから中国人・外国人向けに、2種類のアプリを同時に使うことは中国人にとっては常識になっているはずだ。
でも、一応アカウントはあるけど、日本人とあまり交流のない中国人だと、地震と同じで忘れたころに返事がやってくる。

だから、外国人が中国へ行くと、ラインもフェイスブックもツイッターも、グーグルもユーチューブ使えないという天地がひっくり返った状況になる。
でもこれも「上に政策あれば、下に対策あり」で規制を突破する方法もあるらしい。

個人的な連絡なら、中国が国内向けのSNSアプリを開発すれば解決できるとしても、アメリカを敵に回して、制裁をくらった場合はそう簡単にはいかない。
いまアメリカの対中規制のせいで中国企業が海外から半導体を調達することや、海外企業に半導体を生産してもらうことが困難になり、華為(ファーウェイ)はこの影響をモロに受けている。
アメリカの制裁がさらにつづいたことで、中国の半導体業界はこうなった。

朝鮮日報のコラム(2022/12/11)

中国に進出した米半導体企業は一夜にして中国を離れ、中国企業が雇用した米国の半導体技術者も全員が撤収した。砲声が聞こえない半導体の戦場で「21世紀版のダンケルク大脱出」が繰り広げられ、中国半導体メーカー全てが華為と同じ境遇になったのだ。

中国の半導体自力更生、韓国にとって対岸の火事ではない

 

でも状況を一変させるピンチは、チャンスになるかもしれない。
アメリカの技術や設備に頼ることができなくなったから、中国の大手企業は国内の半導体メーカーに注目し、これを活用するためにばく大な投資をする。
これまで中国政府が23兆円以上つぎこんでも成功しなかったのに、大手企業がホンキになったことで、中国での半導体生産が本格的にはじまったという。
仕事が爆増した中国メーカーにとっては、アメリカは救世主だった。
といってもこれは独自生産に向けた第一歩ぐらいのもので、道のりは遠く険しい。
でも、アメリカによる中国企業への制裁によって、「中国政府がこれまでいくら努力しても不可能だったことを可能にしている」と朝鮮日報は分析している。
とはいえ、いま中国が世界貿易機関(WTO)に提訴したというニュースを見たから、やっぱりアメリカの制裁は激痛らしい。

 

主要ターゲットを国内限定にしても、13~14億人いれば十分かせぐことができるし、それなりの技術力もあったから、中国は独自のSNSを開発し軌道に乗せることに成功した。
日本と違ってここまで巨大なら、「ガラパゴス状態」でも生きていくことはできる。
でも、先端半導体の独自生産はむずかしいだろうし、グローバルサプライチェーンと一切無縁ではいられないはずだ。
アメリカの制裁は中国にとって破壊神になれば、逆神になる可能性もある。
このところ中国がメキメキと力をつけてきたから、日本も「砲声が聞こえない半導体の戦場」の争いを対岸の火事として眺めてはいられない。
流れに乗るのではなくて、つくり出す存在になるといいのだけど、いまの日本にそんなパワーはなさそう。
半導体大国だったニッポンはどうやったら復活できるのか。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。