【希望的観測】韓国の、日本への謝罪要求はそろそろ終わり?

 

最近の日本では、韓国のグルメやエンタメがもはや当たり前になっていて、韓流ブームはただのブームを超えて社会に定着した感がある。
でも残念ながら、それに逆行する動きがあるのも確か。
韓国の政治家やメディアが日本に対して、心からの反省や真の謝罪をくり返し求めることにはウンザリする人が多く、これが日本の対韓感情を悪化させる主原因になっている。
韓国事情に精通するジャーナリストの黒田勝弘氏は、その理由としてこんな感情を指摘した。

韓国にとって日本はいつまでも謝罪、反省、補償をしない存在であってほしいのかもしれない。
いつまでも日本を叱り、諭し、教え、導くことができるからだ。この民族的快感は捨てられない。
この民族的快感のゆえに、日本がたとえいくら謝罪、反省を表明し補償したとしても、それは終わらない、いや韓国にとっては終わらせたくないのだ。

「‘日本離れ’できない韓国 (文春新書) 黒田勝弘」

 

2006年に出版されたこの本の内容は、いまでも日本人の共感を得られるはずだ。
日韓の請求権協定や慰安婦合意を実質的に破った文前政権が、日本に何度も反省や謝罪を要求していたのだから。
ただ、こういう主張をするのは主に韓国の左派の人たちで、保守派にはこんな人もいる。

ハンギョレ新聞の記事(2023-03-09)

「日本に謝罪要求、もうやめよう」…尹大統領の友人、4年前に日本右翼と共同声明

「日本右翼」とはハンギョレ新聞とは考え方の違う、都合の悪い人たちに対するレッテル貼りだから大した意味はない。
いまの尹(ユン)大統領の「40年来の友人」であるソク氏は2019年に、1965年の日韓請求権協定の尊重を求める声明の賛同人になったことが確認されたという。
国と国との約束はしっかり守って、もう日本に反省や謝罪を要求するのはやめようーー。
そう主張する人は左派にとっては”敵”になるから、こんなふうに攻撃対象にされてしまう。

 

この友人が尹大統領に、どんな影響を与えているのかは分からない。
でも先日、尹大統領が演説で日本は過去の侵略者ではなく、協力すべきパートナーになったと述べたことを考えると、「脱・謝罪要求」の路線に進んでいることは間違いない。
徴用工問題の解決として、韓国企業が”肩代わり”するという案を発表したことからもその姿勢は明らかだ。

ちょうど昨日、ブログ読者の韓国人さんがこんなコメントをくれた。

「天皇、総理、議会、市民団体などで行った謝罪だけでも34回だそうです。」

これでもまだダメと言うのなら、もう何をやってもダメ。
日本にはもう下げる頭がなくなった。
行き過ぎた愛国主義を韓国では、国家(クッカ)と覚せい剤(ヒロポン)を合わせてクッポンと言い、これに陶酔する人がいる。
”民族的快感”もこれと同じで、経験するほど止めることがむずかしくなる。

 

韓国の特に左派の人たちにとっては、日本を叱って教え導くという「民族的快感」は捨てられないから、日本が何度も謝罪や反省を表明しても、謝罪要求は終わらない、いや終わらせたくない。
2006年にはこの部分が「韓国にとっては」となっていたが、いまでは「謝罪要求はもうやめよう」という人が増えているし、大統領の「パートナー宣言」もあったから、もうこれは韓国全体の意見とはいえない。
もちろん日本との関係を大事にする尹政権に、「屈辱的」「親日売国政権」と非難する野党の李在明(イ・ジェミョン)代表など、快感を手放したくない勢力はまだまだ多い。

中立的な立場のエマニュエル駐日アメリカ大使は韓国の左派とは反対に、「未来のチャンスをつかむことで、果敢さ、英知、勇気を示した」と尹大統領を称賛した。
尹大統領が来月、国賓訪問するとホワイトハウスが発表したように、アメリカもこのところの韓国の変化を歓迎しているのだ。

日本と韓国は過去の歴史問題の終わりを約束して、いまでは対等の立場になった。
ことし1月に日本へやってきた外国人観光客のうち、韓国人が約56万人のナンバーワンで、たくさんの日本人も韓国へ遊びに行った。
すでに交流が活発化しているいま、最適解は謝罪要求じゃなくて、未来志向の共存共栄だ。
こう言うと快感を忘れられない人は、「未来志向の関係にはまず日本の謝罪が…」と過去に戻そうとする。
謝罪要求をするよりも、しないメリットのほうが大きいという認識が広がれば、韓国でもこんな声は小さくなっていく。
…という希望的観測を持っているのだけど、はたして尹大統領は勇気を示したのか、それとも地雷を踏んだだけなのか分からないから、日韓の未来もまだ見えてこない。

 

 

国 「目次」 ①

韓国 「目次」 ②

韓国 「目次」 ③

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ①

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ②

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ③

 

コメントを残す

ABOUTこの記事をかいた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。