ドイツ語で「1」はアイン、そして「石」はシュタインと言う。
だから、ドイツ出身の天才物理学者、アインシュタインの名前は「1つの石」という意味になる。
大正時代に来日した彼は日本人についてこんな印象を持った。
「日本人はこれまで知りあったどの国の人よりも物静かで、控えめで知的で、思いやりがあってとても感じが良い」
日本人の歓迎を受けるアインシュタインと巫女のエルフ、じゃなくて妻のエルザ
日本に住んだ経験のある知り合いのドイツ人も、「1つの石」さんと同じようなことを言う。
「日本人はいつも周囲に配慮して行動する。これはとても素晴らしいことだ。ドイツ人も日本人から、他人に敬意を示すことを学ぶべきだよ」
最近のドイツでよくあるこんな愚行を見ると、彼は心底ウンザリして、日本人をそう称賛したくなるらしい。
まず動画の最初に、スーツを着て、手にブロックを持っているような男が出てくる。
ヨーロッパ人なら「ああ、またか…」とウンザリする人が多いだろうし、一般的な日本人には意味不明だと思う。
この男性は環境団体のメンバーで、気候変動に対して適切な対策を取るようドイツ政府に求めている。
自然環境を守るために、車の排気ガスを批判することは理解できるし、日本でもそんな抗議活動があってもおかしくない。
でも、社会には、越えてはいけないラインってものがある。
この男は自分の意見を主張するために、ドイツの常識や良識の範囲を軽々と超えた。
彼は道路に入ってくると、特殊で強力な接着剤を使って自分の手のひらを道路にくっつけ、車の通行を強制的に停止させた。
警察官が彼の手を無理やりはがせば、手の皮が破れて血だらけになるから、逮捕されるのは警察官の方だろう。
だから、警官は彼の手のひらを中心に道路の一部を切り取るしかなかった。
その結果、手にアスファルトのブロックを付けた奇妙な人間が誕生したわけだ
最近のドイツでは、ただの座り込みだと簡単に排除されるから、こうした行き過ぎた抗議活動をする環境活動家が増えてきた。
そのラスボス的な集団が「ラスト・ジェネレーション」だ。
*以下、「ラスジェネ」。
彼らは環境を守るために、自分を人質にして道路を封鎖する。
するとドライバーの仕事はストップし、警察官はイラナイ仕事をしないといけなくなり、さらに公道には穴が開く。
だから、知人に言わせるとこういう活動家は「ドイツ社会の敵」だ。
「ラスジェネ」は2021年に約1250本の道路(高速道路を含む)で、「接着剤テロ」を行って道路を封鎖した。
22年にも都市の主要道路でこれを強行し、渋滞を引き起こす。
連中は他にもこんなコトをしでかした。
・油性の液体を道路にまき、自転車を転倒させて負傷者を出す。
・モネの作品にマッシュポテトを投げつける。
・ベルリンにある国際空港に侵入し、接着剤で自分の体を滑走路に貼り付けた。これによって、5便が離陸をキャンセルし、15便が別の空港への着陸を余儀なくされた。
こうした過激な行動はアクセス稼ぎの迷惑ユーチューバーと違って、活動家は正義を動機にしているから本当にやっかいだ。
「ラスジェネ」のメンバーは、自分たちの理想とする社会を実現するためなら、悪事も”正義の行動”に脳内変換されるから、他人の迷惑なんてまったく気にしない。
こういう過激な活動家は「思想良心の自由」や「表現の自由」といったドイツの素晴らしい考え方を悪用し、その理念を傷つけるから、知人は彼らを激しく嫌う。
また、コロナ禍にあるドイツで政府がマスク着用を訴えると、「政府は口を出すな! 国民の権利を侵害するな!」とノーマスクデモをする連中にも彼はウンザリした。
一方で、彼は日本に住んでいた経験から、周囲に配慮して行動する日本人が「接着剤デモ」なんて愚行をするとは思えない。
ドイツのトラム(路面電車)では床にゴミや謎の液体がたまにあるけど、日本の電車や地下鉄でそんなものを見たことは一度もない。いつもキレイだ。
そう話す知人は日本の社会や人を信頼していても、信仰はしていない。
だから、日本のいろんな短所も指摘する。
ただ、日独の事情を知っている彼の考えでは、自分の権利を大事にするドイツ人は、他人の権利を大事にする日本人に学んだ方がいい。
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