日本製品は買わないし、使わない。日本への旅行もしないーー。
韓国では2019年の夏から、そんな「NOジャパン運動」の嵐が吹き荒れ、全国的に日本製品のボイコットが行われるようになった。
知人の韓国人女性はこの影響をモロに受けた。
「NOジャパン」が始まったとき、彼女は夏休みに日本旅行を計画していて、すでにチケットも購入済みだった。
でも、社会全体が反日ムードに包まれると、彼女のワクワク感も吹っ飛んだ。
日本旅行を楽しんでいた韓国人が、観光スポットで笑顔の写真をSNSに投稿すると、「売国奴は帰ってくるな!」といったコメントがきたという話を聞いて、彼女はウツな気分なる。
「親日」のレッテル貼りが気になって、知人はSNSに、日本食やユニクロの服が写っている写真を投稿しなくなったり、公開範囲を制限したりするようになった。
当時、知人のアメリカ人がソウルに住んでいて、「NOジャパン運動」ののぼりを見てビックリしたらしい。
でも、トキが経つにつれて、だんだんとその険悪な雰囲気が消えていき、日本製品の売れ行きも伸びてきた。
社会の空気は、「NOジャパン」から「YESジャパン」へと変わっていく。
これはそのころの中央日報の記事。(2021.12.03)
今はもう「YES JAPAN」? ユニクロ完全復活…884億ウォン赤字→529億ウォン黒字=韓国
そして去年、対日強硬派の文大統領から、日本に友好的な尹(ユン)大統領へ変わると、「YES ジャパン」は「?」から「!」へと変わる。
コロナ規制が緩和されると、日本へ旅行する韓国人が爆増。
ことし上半期を見ると、訪日外国人の数は1071万人で、そのうち韓国人は311万人と約30%を占めている。
さて、韓国で8月は「愛国月間」だ。
14日に「慰安婦の日」(日本軍慰安婦被害者をたたえる日)があり、15日には、日本統治が終わって自由を取り戻したことを祝う「光復節」がある。
8月15日は日本にとっては終戦記念日でも、韓国では重要な独立記念日となっている。
2023年の今年、1年の中で特に抗日精神が高くなるその期間を、多くの韓国人は日本で過ごしたという。
というのは、このところ韓国では、若者を中心に「NOジャパン運動」に背を向ける人たちが増えているから。
NEWSIS/朝鮮日報の記事で、そんな20代の若者の意見が紹介されている。(2023/08/16)
「日本の過去の悪行に対して、歴史問題上の怒りを抱くことには同意するが、それが私の生き方の限界を規定するのは正しくないと思う」
光復節連休に日本旅行…韓国若年層「NOジャパンより人生のほうが大事」
光復節の連休中に日本旅行をすることについて、韓国の人たちはどう考えているのか?
アンケート調査を行ったところ、以下の結果が分かった。
・日本へ旅行に行ってもいいが、できるだけ避けるべきだと思う。(50.6%)
・いつ、どこへ行こうと個人の自由だ。(29.5%)
・両国の歴史的な関係を考えると、光復節の連休に日本へ行くことには反対。(19.9%)
30代以下では、61.7%の人が「個人の自由」と答えていて、日本旅行を楽しむことを問題視していない。
「NOジャパンより私の人生の方がもっと大事」という傾向が浮き彫りになったという。
歴史問題については、韓国政府が日本に抗議することは正しいという意見が一般的だ。
でも、3年前、その政治問題が日常生活に持ち込まれたことで多くの人が疲れ、「もう『NOジャパン』運動には加わらない」という人が若者を中心に増えているという。
先ほど登場した知人がまさにその一人だ。
彼女は、楽しみにしていた日本旅行をキャンセルせざるを得なくなり、そのことに腹が立った。そして、長く間続いた反日モードに疲れ果てた。
でも、いまは違う。
スラムダンクの映画を観たりラーメンを食べたりして、その感想をSNSへ投稿できるいまは本当に自由で良いと感じている。
日本旅行の写真をアップすると、「売国奴め!」という反応がくる状況が異常だったのだ。
自分の人生が大事だから、それを優先し、国民が「NOジャパン」にノーを突き付ける。
3年前、こんな未来を予測していた韓国人はいなかっただろう。
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