まえの記事でローマ帝国の主要な道を書きこんだ地図を紹介した。
くわしくはこちらを↓
*いまは削除されてる。でも復活するかもしれないから、載せておく。
この地図でイタリア半島の下に「Neapolis」ってのが見える。
ネアポリスというのは今のイタリアの都市・ナポリのこと。
ここで話題にしたいのは、「Neapolis」の「polis」という言葉。
このpolis(ポリス)という言葉とその影響は、今の日本でもよく見るんですわ。
ギリシア語のpolisとは、高校の世界史で学ぶ「ポリス(都市国家)」のこと。
ポリス
古代ギリシャの都市国家・共同体。
1000以上のポリスが存在したが、国政などは各々異なり、ギリシア全土が統一されることはなかった。城壁を持つ中心市と周囲の村落からなり、住民には自由人の市民と奴隷の区別があった。「世界史用語集 山川出版」
ナポリの「ポリ」もこれ。
都市国家ポリスのこと。
「Nea(新しい) polis(都市)」が、今のNapoli(ナポリ)になった。
ナポリは、英語読みではネープルズNapoles。ネアポリスNeapolis(ニュータウン)がNapoliに転訛したものである。建設されたのは前六00年頃だから、以来二千六百年間、今も「ニュータウン」を名乗り続けていることになる。
「地名の世界地図 (文春新書)」
ということで、ナポリの意味は「New town(新しい街・都市)」になる。
そもそもナポリは、ギリシア人の植民市としてつくられた。
日本の歴史でこれに近いのは満州の大連市だろう。
アメリカにはこのポリスがつく都市がいくつもある。
・ミネソタ州のミネアポリス(Minneapolis)
・インディアナ州のインディアナポリス(Indianapolis)
・メリーランド州のアナポリス(Anapolis)
この3都市は日本でもけっこう知られていると思う。
ギリシア語のポリスから生まれた言葉は他にもある。
・国際都市のコスモポリス(cosmopolis)
国際人や世界市民のことをコスモポリタンなんて呼ぶ。
コスモポリタンという雑誌やカクテルもある。
・巨帯都市のメガロポリス(megalopolis)
アメリカでは、ボストンからワシントンにいたる地域がメガロポリスと呼ばれていた。
それをパクって、日本では東京から大阪の地域を東海道メガロポリスと呼んでいる。
・高度技術集積都市のテクノポリス(technopolis)
「浜松情報Book」にはテクノポリスについてこんな説明がある。
産業・学術研究・住環境の調和のとれた技術集積都市のことであり、“テクノ=技術”“ポリス=都市”を意味している。
テクノポリスは日本人がつくった和製英語だから、外国人に通用しないと思う。
浜松市には「都田テクノポリス」なんてものがある。
前は「都田テクノは、ヤンキーのたまり場になっている」なんてウワサを聞いたけど、いまは知らない。
また、ポリスから生まれた言葉もある。
police(警察)・policy(政策)・politics(政治)といった言葉は、ギリシア語のポリスを語源にしている。
じつは東京の日暮里も「その語源はナポリだった」という話もある。
「それって何語?語源探索日記」から。
「日暮里」と「ナポリ」。なんとなく発音が似てますが、これが同じ語源の同じ意味の言葉だって知ってました?
まあ、都市伝説だろう。
高校の世界史では「世界市民主義(コスモポリタニズム)」というものも習う。
「世界市民主義(コスモポリタニズム)」
国家や民族の枠をこえ、世界全体を一つの共同体とする考え。
(世界史用語集 山川出版)
古代ギリシアには、それぞれのポリス(都市国家)の価値観から考えるのではなくて、もっと広い視野(普遍的な立場)からものごとをとらえようとする動きが広がった。
これは今の時代も同じ。
というか、今の時代こそ世界市民主義(コスモポリタニズム)だ。
インターネットに国境は関係ないし、国を越えた人の移動も増えている。
去年、日本に来た外国人は過去最高を記録したしね。
そんな時代だからこそ、それぞれの国の価値観や考え方を知って、それを尊重することが大事だと思う。
おまけ
タイにチェンマイという都市がある。
チェンマイはバンコクに次ぐタイで第2の大都市。
このチエンマイという言葉も「ニュータウン(新しい街)」という意味になる。
マンラーイ王が都を建設した際には、すでにチエンラーイ(「マンラーイの街」という意味)があり、これに対して新たに建設されたチエンマイを「新しい街」と称したのが、チエンマイの名の由来である。
「ウィキペディア」
だからイタリアのナポリも、タイのチェンマイも意味としては同じ。
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