10年ぐらい前のこと。
マレーシアを旅行中、サウジアラビア人の女子大生と出会った。
そして彼女と恋に落ちた。
ということはもちろんない。
でもその女子大生から、「マレーシアとサウジアラビアの違い」について話を聞くことはできた。
ということで、今回はそのことを書いていきたい。
上の地図のマレーシアの中に「ペナン」というところがある。
このペナンでの観光を終えて、首都のクアラルンプールへ移動するときのこと。
バスのチケットはすでに買ってある。
後はバス会社のオフィスで、バスの出発を待つばかり。
下の写真がそのオフィス。
従業員は中華系のマレーシア人。
見た目は中国人とほとんど変わらない。
後ろの像は中国人が好きな布袋様。
このオフィスのテーブルにカレンダーがあった。
文字は中国語だったけど、そこはジャパニーズ、日本人なら読める漢字もある。
たとえばこの烏龍茶。
中国語をまったく知らない日本人でも、意味の分かる言葉はある。
「飲料」「無糖」「健康」「自然」といった言葉なら、日本にもある漢字だから分かる。
三得利は「サントリー」のこと。
バスを待っている間はちょうヒマ。
だから、カレンダーに書いてある中国語の中から断片的に分かる漢字を拾い集めて、文全体の意味を考えていた。
その時に声をかけられた。
同じくバスの出発を待っていた女の子で、ヒマをもてあましていたらしい。
始めマレー語で話しかけられたから、何を言っているのかさっぱり分からない。
「アイ・アム・ア・ジャパニーズ」と見事な片仮名英語で言うと、その子が「ええ?」と目を丸くして驚く。
彼女はボクを見て、中華系のマレーシア人だと思いこんでいた。
カレンダーの中国語を見ていたし、肌が白かったからそう思ったらしい。
まあムリはない。
そういうその子もマレーシア人ではない。
サウジアラビアからマレーシアに来た留学生で、クアラルンプールの大学で数学を学んでいるという。
サウジアラビア人と話したのはこの時が人生で初めて。
まさかマレーシアでサウジアラビア人と話すことになるとは!
そんなこと、夢にも思わなかった。
しかも女子大生。
ここでサウジアラビア人と会ったのも、きっと前世の縁。
というのは仏教やヒンドゥー教の発想で、イスラーム教ならたぶんアッラーの意思。
せっかくの機会だから、彼女にサウジアラビアとマレーシアの違いを聞いてみた。
サウジアラビア人の女子大生の目にマレーシアはどう映ったのか?
マレーシアの国旗
月はイスラーム教のシンボル。
星と三日月 星と三日月は、実際にイスラム教で最もよく知られている シンボルです。これらはイスラム教のモスクの最上部を飾ったり、トルコやパキス タンの国旗のように、多くのイスラム圏の旗に使われる主要な要素とされています。
「モスク(イスラーム教の礼拝所)では携帯禁止!」
その女子大生は開口一番にこんなことを言う。
「サウジアラビアもマレーシアもイスラーム教の国だけど、マレーシアはとてもゆるい」
そう言うと思った。
サウジアラビアとマレーシアの違いについては前に書いた。
イスラーム教の国:マレーシアとサウジアラビアの違いを知ろう。
サウジアラビアはイスラーム教の教えをとても厳しく守っている。
入国するときに、日本人形の首を斬られてしまうぐらい。
そんなサウジアラビアから来たらマレーシアはゆるいというか、イスラーム教の教えがあまり守られていないように見えても不思議ではない。
マレーシアは他民族国家。
イスラーム教徒ではない中国系やインド系の住民もいるからそれは仕方がない。
では、どんな時にそう感じるのか?
「たとえばお酒。マレーシアにはバーがたくさんあるし、お店には当たり前のようにビールが置いてある。これがサウジアラビアとはまったく違う」
そういえば、そうだった。
イスラーム教では飲酒を禁止している。
聖書のクルアーンに、アルコールとギャンブルは「忌み嫌われる悪魔の業」と書いてあるらしい。
これはクルアーンの飲酒に関するところの抜き出し。
“サタンの望むところは、酒と賭矢によってあなたがたの間に、敵意と憎悪を起こさせ、あなたがたが神を念じ礼拝を捧げるのを妨げようとすることである。それでもあなたがたは慎しまないのか。”(クルアーン5:91)
“あなたがた信仰する者よ、誠に酒と賭矢、偶像と占い矢は、忌み嫌われるサタンの業である。これを避けなさい。恐らくあなたがたは成功するであろう。”(クルアーン5:90)
この「賭矢」がギャンブルになる。
ということでイスラーム教ではギャンブル行為も禁止されている。
前に、サウジアラビアで「ポケモン禁止令」が出されて話題になった。
ポケモンカードがギャンブル行為に当たると判断されてしまったから。
イスラム教では賭博はハラーム(非合法)として禁止されており、その理由からポケモンのカードゲームもNGとされたのです。
すべてはクルアーンの中に書いてある。
サウジアラビアでは、街中で酒を売ることなんて考えられないという。
それはそうだろう。
サウジアラビアは「世界でもっとも飲酒に厳しい国」と言われているのだから。
「tocana」にそのことが書いてある。
アルコール類は一切禁止で、違反すると非ムスリムの外国人でも鞭打ち刑に処される。
*「ムスリム」とはイスラーム教徒のこと。
サウジアラビアの下にイエメンという国がある。
サウジアラビアには行ったことはないけれど、イエメンには旅行をしたことがある。
イエメンを旅行中、一度も酒を見なかった。
イエメン人から聞いた話では、イエメンには飲酒運転を禁止する法律違反がないという。
飲酒運転が認められているのではなくて、お酒がないから飲酒運転という行為がないらしい。
だからそれを取り締まる法律なんて必要ない。
マレーシアには仏教や道教の信者もいる。
彼女のまわりでも、イスラーム教徒だけどお酒を飲むマレーシア人がいるらしい。
中には、とんでもないイスラーム教徒もいる。
「タイの方がお酒が安いから」という理由で、車でタイに行ってビールや酒を大量に買ってくるイスラーム教徒もいるとか。
「サウジアラビアではあり得ません。そんなことをしたら、とんでもないことになります」
ムチ打ち刑だけじゃすまないかも。
ちなみに、イスラーム教で飲酒を禁止しているけれど、それは現世での話。
死んで天国に行ったら、好きなだけ酒を飲むことができる。
イスラーム教では、天国にはうまい酒があってそれが飲み放題だと説明しているらしい。
“真白(な美酒は)、飲む者に心地よい甘さ。これは、頭痛を催さず、酔わせもしない。”(クルアーン 37:46−47)
イスラーム教徒が酒を飲まないということは、「天国に行くまで我慢している」という理解もできる。
それまで我慢できない人は地上で飲んでしまう。
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