日韓の歴史問題:友好関係や子どもたちのために、大人がすることは?

 

ちょっと前に国連の「クマラスワミ報告」というものについて書いた。

国連と慰安婦問題:クマラスワミ報告に「週刊実話」があったとは。

 

まずはじめに、少しこの記事の内容を簡単に書かせてほしい。
1994年に国連人権委員会の特別報道官であったクマラスワミ氏が日本の慰安婦問題についてまとめて、委員会へ提出したのが「クマラスワミ報告」になる。

ただ2017年の今では、この報告の内容は間違っていたことが判明している。
強制連行や性奴隷という事実は確認されていない。
産経新聞の【用語解説】から。

日本や韓国で聞き取り調査などを行い、まとめた報告書。朝鮮半島で女性を強制連行したとする吉田清治氏の虚偽の証言を引用しながら慰安婦を「性奴隷」と定義し、日本政府に法的責任の受け入れや元慰安婦への補償などを勧告している。

クマラスワミ報告書

 

それでも国連という権威の力はすごい。
「国連の報告だから」と、今でもこの内容を事実だと信じている人もいる。

たとえば、前にこんなコメントが来たことがある。

・国連の人権委員会で、著しい人権侵害として、日本の従軍慰安婦が報告されているのですから、あなたがどう考えていようと、日本は世界から蔑まれている。

 

このクマラスワミ報告の根拠となった資料をたどっていくと、なんと週刊大衆や週刊実話などの官能小説、漫画などがあった。

それを知ったジャーナリストの櫻井よしこ氏も驚いている。
週刊新潮の7月13日号のコラム「日本ルネサンス」にこう書いている。

「週刊大衆」や「週刊実話」などに掲載された官能小説、漫画、さらには猟奇小説に依拠していることも突き止めた。国連特別報告者という権威の衣をまとってまとめた慰安婦の報告書が、世間ではおよそ通用しない週刊誌記事に依拠していたこと自体、驚きだ。

「軍艦島を第二の慰安婦問題にするな」

なんで週刊大衆や週刊実話の記事が国連で提出された報告の根拠になってしまったのか?
くわしくは、櫻井よしこ氏のコラムを読んでほしい。

 

でも、もう遅い。

「週刊大衆や週刊実話の記事が根拠だった!」とわかったところで、今さら過去を変えることはできない。
日本政府がクマラスワミ氏に報告の修正を求めたけど、氏に拒否されている。

過去を変えることはでいないけれど、未来なら今から築くことができる。
今するべきことは、明るい未来をつくっていくこと。
日本についての間違いや誤解が広がらないように、取り組むことならできる。

 

先ほどの櫻井よしこ氏のコラムのタイトルは、「軍艦島を第二の慰安婦問題にするな」というものだった。
櫻井氏は、もうすぐ公開される反日映画の「軍艦島」のことを心配している。

この映画の内容も史実ではない。
具体的に何が違うのかは、この記事を読んでほしい。

ウソ情報にだまされない!①韓国映画「軍艦島」と日本人の怒り

 

こぼ映画が公開されたらどうなるか?
映画の内容はつくり話であるにもかかわらず、事実だと思いこんでしまう人がきっと増えてしまう。
櫻井氏はそれが日本と韓国に悪影響が出ることを危惧している。

たしかに、日本に対する誤解が広がって日韓関係にメリットはない。
たくさんの観客を動員できたら、映画の関係者はよろこぶというだけのこと。

この映画では軍艦島で働いていた朝鮮の人たちも、慰安婦と同じく「日本によって強制連行された」となっている。
実際にはそんな事実なんてない。
でも、「それは間違っている」と声を上げないと事実として定着してしまう。
その犠牲者は一般の日本人と韓国人だ。

 

反ナチ運動家だった「マルティン・ニーメラー」という人を知っているだろうか?
彼の言葉からこんな詩が生まれている。

ナチスが最初共産主義を攻撃したとき
私は声を上げなかった
私は共産主義者ではなかったから

ナチスがユダヤ人を連行して行ったとき
私は声を上げなかった
私はユダヤ人ではなかったから

そしてナチスが私を攻撃したとき
私のために声を上げる者は誰一人残っていなかった

「自分には直接関係ないから」と思って何も言わないでいると、気づいたときにはもう手遅れになってしまう。

クマラスワミ報告の内容が間違っていることは、今では多くの人が知っている。
週刊大衆や週刊実話の官能小説が根拠だったとしても、クマラスワミ報告を撤回させることはもうできない。
この報告のために、性奴隷や強制連行といったデマが事実として世界に広がってしまった。

その時の日本人がもっと声をあげていたら、今とは違っていたとはず。
「自分には関係ないから」と思って黙っていると、事態はより悪化する。

これはいろいろな政治問題や社会問題についても当てはまる。
「始めは無関心でいたけど、気づいたときにはもう手遅だった」ということは、個人の生活でも起こり得る。

 

事実を知ったら、自分のできる範囲で声を上げるべきだ。
「韓国が間違ったことを言っていても、日本は何も言うべきではない」ということが、日本と韓国のためになるわけがない。
「そういう日韓の歴史問題には関わりたくない」と思っていると、また同じ失敗をしてしまうかもしれない。
今の大人が日韓の歴史問題から目を背けていると、未来の日本人が困ることになる。
今の大人たちが何も言わなかったら、今の子どもたちに迷惑をかけてしまう。

 

問題は軍艦島だけではない。
徴用工でも、間違ったことが事実であるかのように伝えられている。

日本の国益からすれば、対北朝鮮のことを考えても韓国とは協力していったほうが絶対に良い。
韓国との信頼関係を築くためにも、事実誤認に対しては声を上げる必要はある。

もう、日韓の歴史問題について無関心ではすまされない。

 

「NHK 新・映像の世紀第3集」のキャプチャー
先ほどの詩もこの番組から。

 

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日本 「目次」

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ウソにだまされない②韓国で間違った歴史が事実となる背景

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。