お札で処刑に?悲劇の王ルイ16世とヴァレンヌ逃亡事件とは。

 

「お札にその国の有名人が描かれている」ということは世界中の国である。

たとえば、このアメリカの1ドル札の人物はだれか分かるだろうか?

答えはジョージ・ワシントン。
アメリカの初代大統領。

 

ではこのインドの紙幣に描かれている人物は?

答えはガンディー。
「インド独立の父」と呼ばれている。
イギリスの植民地だったインドを解放するためにがんばった人。

 

世界のいろいろな国で紙幣に人物が描かれている。
その理由には、「ニセ札を防止するため」ということがある。
人の顔というのは覚えやすい。
人間の顔なら少しの違いにも気づくため、ニセ札を見ぬきやすくなるという。

 

今でもタイやイギリスなど「国王」がいる国では、自国の紙幣やコインに王の顔が描かれていることがある。

でも世界の歴史を見ると、そのために処刑されてしまったというとても不幸な王もいた。
それがフランスの国王ルイ16世。
フランス革命の時の王だった。

今回は、その不運なルイ16世についての話。

 

ちなみに個人的には、日本のお札に天皇が描かれてもいいと思うのだけど、じつはそれができない。
くわしくはこの記事を読んでほしい。

日本のお札で初めて描かれた人物・神功皇后と三韓征伐とは?

 

ルイ16世(ウィキペディア)

日本では江戸時代、松平定信が老中となって寛政の改革をしているころ、フランスで革命が起きた(1789年)。

この革命の始めのころ、ルイ16世と妻のマリーアントワネットはパリのテュイルリー宮殿で暮らしていた。
パリの市民に監視されながら。

「このままでは危ない」
そう感じたルイ16世は、マリーアントワネットのふるさとであったオーストリアに逃げ出すことを決める。

そしてパリから逃げ出したものの、ヴァレンヌというところで捕まってしまった。
それが世界史で習う「ヴァレンヌ逃亡事件」というできごと。

ヴァレンヌ逃亡事件

1791年6月、国王ルイ16世一家が王妃の故国オーストリアへの逃亡をくわだて失敗した事件。

「世界史用語集(山川出版)」

今のテュイルリー宮殿(ウィキペディアから)

 

「国王がフランスから逃げ出そうとした」

このことをフランス国民はどう考えたのか?

「フランスや国民に対する裏切り」とみて、王への信頼はなくなってしまう。

愛国者たちは、革命に対する国王の裏切りの証拠をこの事件にみた。
マラーやロベスピエールといった人々は、政治クラブを通じて大きな影響力を振っていた。彼らは国王の逃亡を利用して、国王の人格に対する不信の念を国民に植えつけるとともに、王位そのものの信用を傷つけたのである。

「ヨーロッパの歴史 東京書籍」

ヴァレンヌ逃亡事件の2年後の1793年に、ルイ16世はギロチンによって処刑されてしまう。
妻のマリーアントワネットも同じ年に処刑された。

 

「余は無実だ!」と処刑される寸前、ルイ16世は叫んだけど、すぐに首は切断されて、血がしたたり落ちるルイ16世の頭は国民に示しされた。

 

もしルイ16世がオーストリアに逃げ出さなかったら、処刑まではされずにすんだのかもしれない。

ところで、ルイ16世がヴァレンヌで捕まってしまった理由は何だったのか?

それは、お札に描かれていた自分の肖像画が原因だったといわれている。

「man@bow」のコラムから。

実は当時のフランスのお札には、ルイ16世の肖像画が使われており、国王の顔は国の隅々にまで知れ渡っていたのです。
新聞もテレビもない時代、変装していたにもかかわらず逃亡中のルイ16世が発見されたのは、このお札があったからだといわれています。

お札に肖像画が使われているのはなぜ?

 

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ヨーロッパ 「目次」

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。