前にアメリカ人の友人と、日韓の慰安婦問題についてメールでやり取りをしていた。
その時に、アメリカ人からこんなメッセージがくる。
「Koreans wouldn’t have forced their own women to be sex slaves if they didnt have to.」
「sex slave(性奴隷)」?
慰安婦を「性奴隷」というのは間違いだ。
いま日本政府は、国際社会に広がっている「慰安婦はsex slave(性奴隷)だった」という誤解を解いている。
昨年(2016年)にも、国連で人権高等弁務官がsex slaveと発言した際に、日本の大使が「性奴隷制度との用語は事実に基づかない」とその場で反論している。
韓国は「慰安婦は性奴隷だった」と主張しているけれど、未だにその根拠がない。
それで「sex slave」と書いたアメリカ人にその根拠をたずねてみた。
それからいろいろなやり取りがあった後、彼女からこんなコメントがくる。
「I think we can just agree to disagree on this.」
「わたしたちはこのことについて、同意できないということでは同意できる」とか「一致できないという点で一致している」という意味。
つまり、「互いの意見の違いを認め合いましょう」ということ。
それ以上の議論は止めてその場を丸く収める時に、アメリカ人がよくこの表現を使うという。
議論を終わらせるには便利な表現だと思う。
いまの韓国を見ていると、「we can just agree to disagree on this」と思うことがよくある。
特に慰安婦問題について。
2017年8月9日のレコードチャイナにこんな記事があった。
内容はタイトルのとおりで、韓国の高校生のグループが路線バスに慰安婦問題の解決をうったえる広告を出した。
高校生たちはバスの座席の背もたれにこの広告をつけたという。
その広告には、「私たちが無関心では正義もない!」というキャッチコピーと慰安婦像の写真があるらしい。
つまり、バスの席に座って前を向けば、自然と慰安婦像が目に飛びこんでくることになる。
この広告には日本政府に対して、「“強制慰安婦”問題に対する公式的な認定と誠意ある謝罪を求めます」というメッセージが書かれているとか。
でも、慰安婦問題は2015年に日韓両政府が解決を確認している。
日本では首相が心からのお詫びを表明しているし、日韓でこれ以上話し合うこともない。
だから、こんな広告に実質的な意味はないのだ。
「agree to disagree on this(一致できないという点では一致している)」と思うしかない。
韓国メディアは高校生のこの活動にどう反応したか?
そりゃ、ほめますよ。高評価ですよ。
複数のメディアが「バスの中の意義深い広告」、「バス乗客やネットユーザーらを感動させた広告」などと報じている。
この高校生をほめたたえるのはメディアだけではない。
一般の市民も「よくやった」「誇らしい」という賛辞の言葉を高校生におくっている。
でも、国民すべてが手放しで高校生をほめているわけでもない。
数は少ないながらも、批判的なコメントもある。
「趣旨はいいけど、自分たちの正義を押し付けないでほしい」
「やはり洗脳教育は恐ろしい」
「わざわざ反日感情をあおるのはどうなんだ?」
韓国の中にもこうした冷静な声はある。
2017年6月26日のレコードチャイナにも慰安婦問題についてこんな記事があった。
今度は大学生だ。
「米国に慰安婦問題を広めたい」韓国の大学生が米大陸横断の旅を開始
韓国の2人の大学生が慰安婦問題の”真実”をアメリカ人に知らせるため、自転車でアメリカ大陸を横断するという。
今回の大陸横断は「共に歩むのは、日本が過去の過ちを認めて謝罪した後でなければならない」との主張を訴えるために米国を横断するプロジェクト「トリプルエープロジェクト」の一環で行われている。
発想は先ほどの高校生と同じ。
でも少し違う点がある。
彼らがアメリカを横断しているときに日本の公館があったら、その前でデモをおこなうつもりだという。
この大学生に対する韓国人の反応も先ほどと同様。
「誇らしい」「立派な若者だ。韓国の未来が明るくなった」「行動する若者に感動!」という大多数の賞賛の声の中に、「いつまで過去に縛られるつもり?世界はどんどん進化し、変化しているのに」といった批判が少しある。
これも「we can just agree to disagree on this」としか思えない。
これまで韓国の高校生と大学生の行動を見てきた。
では、韓国の政治家はどうか?
つい最近(8月7日)、日本の河野太郎外相と韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相が会談をおこなった。
このとき、たがいに慰安婦問題について触れている。
河野外相は2015年の日韓合意の「着実な実施が重要だ」と語る。
これに対して康京和(カン・ギョンファ)外相は、「国民の大多数が(合意を)受け入れられないのが現実だ」と述べている。
慰安婦問題についての議論は平行線に終わる。
これなんかもまさに「agree to disagree on this(おたがい、同意できないという点では同意した)」という感じだ。
これに対して読売新聞は社説で韓国を批判している。
康氏の主張は、韓国の国内事情に過ぎず、韓国政府が合意を履行しない正当な理由にはならない。日本は、慰安婦問題の「不可逆的な解決」をうたった合意の順守をあくまで求め続けるべきだ。
対中韓外交 河野氏は原則踏まえて改善を
たしかに「国民の情緒が許さない」というのは韓国の国内問題。
韓国政府が解決することだ。
慰安婦問題についての日韓両国の意見はまったく違う。
「約束は守ることが大事」と考える日本と「国民の感情(情緒)が大事」という韓国。
「一致できない!」という点で、たがいの認識が見事に一致している。
でも先ほどの外相会談では「未来志向の日韓関係を築こう」という点では日韓が一致していた。
これにはボクも同意。
ようやく、we can agree on thisが出てきた。
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