中国メディアが中国と日本を比べて、こんな記事を書いている。
「なんで日本は国としては豊かなのに、金持ちが少ないのか?」
この中国メディアは「日本は豊かだ」とする理由に、1人当たりのGDP(国内総生産)をあげている。
日本のGDPは、この20年間で平均9%成長している。
でもその割には、フォーブスが発表する世界長者番付にランク入りする日本人の数は少ない。
2017年の番付では、上位500人にランクインした日本人は6人だけ。
しかも、この長者番付に入る日本人は年々減っている。
それに対して中国はどうか?
中国の場合、香港や台湾もふくめると、今年の番付では70人がランク入りしている。
昨年は66人で、日本とは逆に、中国では金持ちの人数が増えている。
日本は国としては金持ちなのに、国民に金持ちが少ないのはなぜか?
中国メディアはこんな理由をあげている。
レコードチャイナの記事(2017年8月27日)から。
つまり日本は貧富の差が大きくないので富豪も少ないが、中国は貧富の差が大きいため、富豪も多いのだとした。
日本人は比較的控えめであり、長者番付に入ることで富をひけらかすようなことはしないことなどを挙げた。
今回はこの理由、「日本は貧富の差が大きくない」ということについて書いていきたい。
外国人に日本の感想を聞くと、「すごく平等な国」という答えがよく返ってくる。
日本はリッチな国なのに金持ちは少ない。
この中国メディアの指摘に対して、日本のネットユーザーはこんなコメントをしている。
中国より進んだ社会主義国だからだよ
共産党の理想に近いのが日本。
中国は共産主義社会主義なのになんで大富豪がゴロゴロ居るのか?
日本国は最も成功した社会主義国家だからだよ
そりゃ理想的な社会主義だからだろ
日本は世界で唯一成功した社会主義国家だからな
「日本は社会主義の国だから」という言葉がとても多い。
一般的に「金持ちが少ない」ということには、社会主義のイメージがある。
一応、「社会主義」という言葉の意味を確認しときましょ。
辞書的にはこんな意味ですよ。
生産手段の社会的共有・管理によって平等な社会を実現しようとする思想・運動。空想的社会主義・共産主義・社会民主主義など。
「デジタル大辞泉」
日本に金持ちが少ない理由は、国民全体がそこそこ豊かで、社会主義のように平等がいきわたっているからだ。
「日本は社会主義の国だから」というコメントはそういうこと。
ただ、なかにはこんなコメントもある。
税金ぼったくるから
私の貯金は53万です
日本にも貧困は存在する。
もちろん、日本は社会主義の国ではなくて資本主義の国っす。
でもって中国こそが社会主義の国。
でも、日本に住んでいる外国人に日本の感想を聞くと、「社会主義みたいに平等な国!」という人がけっこういる。
知人の中国人も日本について、「日本は理想的な社会主義の国ですよ」なんてことを話していた。
日本各地を旅行したけど、中国のような貧富の差を感じなかった。
だからその中国人は、そう思ったらしい。
さらにこんなことも言う。
「この前、東京から静岡まで電車で来ましたけど、その途中で貧しい人が住む地区なんてありませんでした。どこにも同じようなビルや住宅街がありましたよ。中国ではこんなことはないですね。都市と農村の差は本当にすごいんです。見たらすぐ分かりますよ」
たしかに。
中国の貧しい地域と豊かな地域はまったく違う。
電車に乗って車窓を眺めていると、すぐに気づく。
中国旅行でお世話になったガイドはマジメな顔でこんなことを言っていた。
「中国の差は激しいですね。中国には、21世紀の生活をしている人と500年前と変わらない生活をしている人がいるんですよ」
これは大げさな表現だけど、中国社会の貧富の格差は笑いごとではない。
これは中国の歴史教科書。
上に「資本制度」と書いてある。
画像は、「中国の歴史(中学校歴史教科書) 明石書店」から
現代の中国は、この資本制度(資本主義)を”悪”と否定して、誰もが平等の社会主義の国を理想としている。
建前ではね。
でも実際には、日本以上に貧富の差が広がっていて、それが深刻な社会問題になっている。
社会主義の実現を目ざしてがんばっていたら、資本主義の悪い面がモロに吹き出しというこの不思議。
でもこれは中国だけではない。
社会主義国家の旧ソ連も同じ。
スターリンは人類史上5番目の金持ちだった。
世界の長者番付なんて目ではない。
くわしくはこの記事を↓
「金持ちも貧しい人もいない。誰もが平等の社会を実現する!」という気持ちはとてもいいことだけど、それで社会主義の国を目ざした結果、うまくいった国は一つもない。
平等な国を「実現する側・実現される側」、人民を「指導する側・指導される側」に分かれた結果生まれる格差は、資本主義以上にヒドイ。
社会主義の理想はすばらしいけど、現実の社会に平等をもたらすことはない。
それは今の北朝鮮を見ても明らかだ。
今までに、友人の外国人に日本の感想を聞いてみたことがある。
アメリカ人はこう言う。
「日本には格差がない。浜松市を見ても、どこも街並みが同じ。アメリカだと、貧しい人が住むところと金持ちが住むところがハッキリ分かれているから、すぐに気づく。でも日本では、貧しい地区も金持ちの地区もわからない。どこも同じに見える」
浜松市民なら、浜松の金持ちゾーンとその反対のゾーンがわかる。
でも、外国人にはそれが分からないらしい。
日本には、外国の都市にあるような貧富の差が目に見えてない、ということだろう。
フィリピン人はこう言う。
「日本でスラムを見たことがない。フィリピンだけではなくて、たいていの国には低所得者が住む地域があって、そこは一目でわかる。家も着ている物も、においも違うから」
タイの高速道路には巨大な看板が多い。
15年ぐらい前にタイ人から聞いた話では、あれは企業の宣伝だけが目的ではないという。
大きな看板によって、後ろにあるスラムを隠す目的もある。
あの巨大な看板には、「外国人にタイの”恥部”を見せたくない」という気持ちが込められているらしい。
イギリス人も「日本では貧しい人が住む地区が分からない」と話していた。
このアメリカ人・フィリピン人・イギリス人に、中国人の感想「日本は理想的な社会主義の国ですよ」を言うと、「本当にそう!」と同意する。
ミャンマー人の場合、「日本では農村に貧困がない!」と驚いていた。
日本の山奥にある農家では、自宅の庭に自家用車が2、3台あるし、着ている服も都市の人とほとんど変わらない。
日本の農村には、貧しさが感じられない。
そこが「ミャンマーとは全然違います」と言う。
日本は外国と比べたら、金持ちが少なく平等な国。
「社会主義かよっ!」と思ってしまう外国人がいるぐらい。
だけど、「人はみんな同じ」という考えが当たり前になると、飛び抜けた人が出てきにくくなる。
才能があって社会で目立ち始める人が出ると、それをネットでたたく人も必ず現れる。
むかしから「出る杭は打たれる」ということわざがあるように、違いをおさえて平等化してしまう傾向が日本には強い。
平等なのはいいことだ。
でも、それが持つ負の面も考えたほうがいいかもね。
でないと、才能のある日本人が日本を捨てて海外に行ってしまう。
おまけ
中国の街並み
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