今年の5月、イギリス人の新婚さんが日本へ旅行にやって来た。
ということで、そのカップルを浜松城に案内したわけだ。
イギリス人の新妻はこの銃を見て、「プリンセス・モノノケ!」と言う。
この銃を見て、もののけ姫を連想するとは思わなかった。
これは時代劇でおなじみの高札。
江戸時代の民衆はこれを見て、上からの法令を知った。
こう‐さつ【高札】
主に江戸時代、法度(はっと)・禁令、犯罪人の罪状などを記し、一般に告示するために町辻や広場などに高く掲げた板の札。明治6年(1873)廃止。たかふだ。
「デジタル大辞泉の解説」
「これは高札ですよ」
てなことをイギリス人に説明する。
すると夫がこんなことを聞く。
「今から3、400年も前の民衆がこれ読むことができたのですか?」
全員じゃないけど、読めた人間は多かったはず。
すると夫婦で驚いた顔をする。
「そうなんですか!それはすごいですね。イギリスではその時代、文字の読み書きができる庶民は少なかったですよ」
だから数百年前のイギリスでは、上からの法令が降りてきた場合、それを読み上げて庶民に伝える人がいたらしい。
映画にも時どきそんな人が出てくるとか。
「ハリーポッターにも出てきた」と夫が言っていた気がする。
ヨーロッパで教会の彫刻や画が発達した理由の1つに、文字の読み書きができなかった庶民にイエス・キリストの物語を伝えるため、ということがある。
「日本人て、めっちゃ文字の読み書きができるじゃん!」
と、日本人の識字率に驚く外国人はむかしからたくさんいた。
チョイと、江戸時代に日本に来た外国人の声を紹介してみたい。
ヴェルナーはこう言った。
「民衆教育についてわれわれが観察したところによれば、読み書きが全然できない文盲は全体の1パーセントにすぎない。世界の他のどこの国が、自国についてこのようなことを主張できようか?(エルベ号艦長幕末記 ヴェルナー:新人物往来社)」
ゴロウニンはこうだ。
「日本人は殊の外読書を好む。平の兵卒でさえも、見張りのときもほとんど休みなしに本を読んでいる(逝ききし日の面影 平凡社)」
これはシュリーマンの感想。
「教育はヨーロッパの文明国家以上にも行き渡っている。シナをも含めてアジアの他の国では女たちが完全な無知の中に放置されているのに対して、日本では、男も女もみな仮名と漢字で読み書きができる(シュリーマン旅行記 清国・日本(講談社学術文庫)」
このシュリーマンは高校の世界史で習うあの人物のこと。
シュリーマン
ドイツの考古学者。クリミア戦争で財をなし、トロイア・ミケーネ遺跡の発掘に成功した。江戸時代末期の日本を訪れた旅行記でも知られる。
「世界史用語集 (山川出版)」
江戸時代の日本人の識字率の高さについて、作家の司馬遼太郎氏はこう書いている。
江戸日本は、(中略)読み書きする人口は、中国や朝鮮に比して圧倒的に多かったのです。
「『明治』という国家 (司馬遼太郎)」
でもでも、そんな日本語に廃止の危機がおとずれた。
それは日本が戦争に負けてアメリカの統治下にはいったときのこと。
日本を統治していたGHQが「日本語から漢字とひらがなとカタカナをなくして、全部ローマ字にしちゃう?」と考えたのだった。
続きは次回に。
徳川家康のヨロイ
おまけ
幕末の日本を訪れたシュリーマンはこんなことも言っていたらしい。
幕末の慶応元年(1865年)に日本を訪れ、「日本人が世界で最も清潔な国民だということに疑いの余地がない」と言及した。
日本人の入浴・混浴文化を知って「なんと清らかな素朴さだろう!」と初めて公衆浴場の前を通り全裸の男女を見た時に感動して叫んだ。
この国には平和、行き渡った満足感、豊かさ、完璧な秩序、そして世界のどの国にしましてよく耕された土地が見られる」と記した。
「ウィキペディア」
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