祝150年!外国人(アメリカ人と中国人)がみた大政奉還とは?

 

今年は2017年。

今から150年前、1867年になにが起きたか知ってますか?

 

 

答えは大政奉還。

1867年に大政奉還がおこなわれて、将軍徳川慶喜が政治の権利を天皇に返した。
これが10月のことで、その年の12月に王政復古の大号令が出され、江戸幕府は滅亡する。
鎌倉時代から、約700年続いた幕府(侍による政治)もこれにて終了、閉店ガラガラ~。

 

大政奉還の舞台となった京都の二条城

 

今年はそれから150周年という記念の年になる。
だから、京都市は「大政奉還150周年記念プロジェクト」をおこなっている。

いろいろとおもしろそうなイベントがあるから、歴史に興味がある人はこのページを見てみるといい。
京都旅行の参考にもなる。

 

そういうことで、今回は大政奉還について書いていこうと思う。

「日本の歴史にとって、大政奉還はどんな意義があったのか?」というについては、ネットや本を見てほしい。

ここではアメリカ人と中国人の外国人が、大政奉還、将軍が政権を天皇に返したという出来事をどうみたのか書いていきたい。

 

明治時代、シドモアというアメリカ人女性が日本を旅していた。

彼女は幕末から明治への日本の移り変わりを見て、旅行記にこう書いている。

政治的にも社会的にも、日本人は西洋世界を手本にし、その結果による王政復古は、今世紀最大の驚異的政治問題を提示しました。

古い秩序の突然の放棄、そして近代的秩序の出で立ちで武装する国民皆兵が、直面する危機解決の最も現実的永続的手段としてただちに導入された事は、少なくても欧州の間ではたいへんな驚きでした

「シドモア日本紀行 (講談社学術文庫)」

「古い秩序の突然の放棄」というのが大政奉還にあたる。

世界の歴史をみても、政権をこんなに平和的に手放すことは、たしかに「驚異的」だ。

 

この時代の中国人も同じように驚いていた。

黄遵憲(こう じゅんけん)という清の外交官は、中国と日本を比べて「3つの違い」をあげている。
その1つに「大政奉還」とそれにともなう「王政復古」があった。

二、三の豪傑が、時に乗じて立ち上がり、幕府を覆し、王室を尊び、諸侯封建の権を上に返し、王政復古の功を成した。国の維新の治が、泉にめぐみ花が咲くように、勃然として復興し、これはまた奇なり

「文人外交官の明治日本 (張偉雄)」

「二、三の豪傑が、時に乗じて立ち上がり~」という表現が中国の知識人らしくていい。

この2人だけではなく、当時の外国人にしてみたら、日本の大政奉還と王政復古は驚き以外の何ものでもなかっただろう。

 

 

司馬遼太郎は勝海舟をとても高く評価してこう言った。

「‘日本国’に、一発の銃声もとどろかせることなく、座をゆずったしまった人なのです。」
(「明治」という国家」)

1868年に江戸城が攻撃される寸前、勝海舟と西郷隆盛が話し合って、徳川幕府は江戸城を明け渡すことになった。この「江戸城の無血開城」を司馬遼太郎は称賛する。

もしこのとき、幕府側が江戸城に立てこもって、薩長土肥の新政府軍と徹底的に戦っていたら、江戸はメチャクチャになって多くの死傷者が出たことは間違いない。
幕府も新政府側も大ダメージを負って、日本は「ヨーロッパの半植民地」という状態になっていたかも。

 

勝海舟が大政奉還や無血開城を支持したのは、「幕府より国(日本)が大事」と考えていたからだ。

おれが政権を奉還して、江戸城を引き払うように主張したのは、いわゆる国家主義から割り出したものさ。三百年来の根底があるからといったところで、時勢が許さなかったらどうなるものか。

かつまた都府(首都)というものは、天下の共有物であって、けっして一個人の私有物ではない。

江戸城引き払いのことについては、おれにこの論拠があるものだから、だれがなんといったって少しもかまわなかったさ

「氷川清話 (講談社学術文庫)」

 

大政奉還を決めた徳川慶喜も勝海舟と同じ思いだっただろう。
日本というものは、「天下の共有物であって、けっして一個人の私有物ではない」と考えていた。
だから政権を天皇に返した。

キリスト教の聖書でいえば、「カエサルのものはカエサルに」(ものごとは本来の所有者に戻すべき)といったところ。

中国の皇帝にはこの考え方がなかった。
中国という国を「天下の共有物」とは考えず、皇帝の私有物としていた。

だから大政奉還ではなく辛亥革命が起こり、多くの血が流された。

 

 

おまけ

大政奉還の次の年、1868年が明治元年となって明治時代がはじまった。

ということで、2018年は明治が生まれて150周年になる。

来年は国をあげて「明治に学ぼう」というイベントがおこなわれる。

この「明治150年」をきっかけとして、明治以降の歩みを次世代に遺すことや、明治の精神に学び、日本の強みを再認識することは、大変重要なことです。このため、政府においては、こうした基本的な考え方を踏まえ、「明治150年」に関連する施策に積極的に取り組んでいます。

「明治150年」に向けた取組み

 

 

よかったら、こちらもどうぞ。

日本という「アジアの光」② アジアの歴史教科書から見た日露戦争

日本を知ろう! 「日本」カテゴリー 目次②

イギリス人が見た日本・日本が世界の歴史で初めてした誇っていいこと

日本はどんな国? 在日外国人から見たいろんな日本 「目次」

日本の特徴 民族宗教(神道)が世界宗教(仏教)と仲良し!

 

コメントを残す

ABOUTこの記事をかいた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。