ローマ法王の言葉。日本→尊敬と競争、韓国→生まれ変わりを望む。

 

先日、ローマ法王が日本の若者と対話したことが話題になった。

でも、そのことを書く前に、ローマ法王(教皇)について簡単に確認しておこう。

教皇(法王)

Papa〈ラテン〉、Pope〈英〉
カトリック教会の最高位の聖職者。「父」が語源。「法王」は俗称。
使徒ペテロの後継者であるローマ司教は、教会に関わる全ての事柄について絶対的な権威(首位権)を持つと位置づけられた。

「世界史用語集 (山川出版)」

日本や外国で、子どもが父親を「パパ」と呼んでいる。
ウィキペディアには、この「パパ」と「Papa(教皇)」は同じ語源だと書いてある。

パパの語源はローマ教皇を表すPope(英)と同じでありギリシャ語 παππας(pappas)→ラテン語 papa→Popeとなる。

父親

現在(2017年12月20日)のローマ法王・フランシスコ(第266代)

 

そんな絶対的な権威を持つローマ法王が日本の若者と対話した。
そのことを、読売新聞が記事(2017年12月18日)で伝えている。

「日本を尊敬…ローマ法王、映像回線で若者と対話」

 

このイベントは、東京の上智大学とローマのヴァチカンを映像回線を結んでおこなわれた。

「なんで上智大学は、こんなすごいことができるんだ?」と疑問に思った人はいませんか?

これは、上智大学とローマのカトリック教会には深い関係があるから。
上智大学はイエズス会によってつくられていて、大学のホームページにはこう書いてある。

上智大学は学校法人上智学院のもとにあり、ローマ・カトリック教会に所属する男子修道会の一つ、イエズス会が設立母体です。

イエズス会と上智大学の設立

日本にキリスト教を伝えたフランシスコ・ザビエルも、イエズス会のメンバーの1人。
上智大学は12月3日を「ザビエルの祝日」として休業にしている。

 

このときローマ法王は、日本人にこんな言葉を述べた。

「能力を持ち、勤勉で、非常に多く苦しんだ国民というイメージがある」
「過度な競争、消費をずっと続けているが日本という国を称賛、尊敬している」
「高齢者との対話を通じ、国、家族、人間としてのルーツを探してほしい」

 

ローマ法王が「絶対的な権威を持つ」というのはカトリック教会でのことで、無宗教の日本人には「過度な競争や消費」ということがイマイチ響かない人もいた。

ネット上ではこんな書き込みがある。

・ローマ法王様
日本人が消費しなくなったんで困ってるんです。
・それは30年前の話ですぞ
・あのぅー…
バブル崩壊して消費社会じゃなくなっちゃったんですが…
おかげで物が売れなくて経済が低迷してるんですが…
日本の若者は消費しなさすぎて困ってるんですが…
・ゆとりとか休暇を優先したら階段転げ落ちたんですが・・・
・日本は競争も消費もしなくなったんで困ってるんだぞ。
・国を間違えていませんか?

 

 

フランスのAFP通信が同じことを記事で伝えている。
その見出しを読売新聞と比べるとおもしろい。

「日本を尊敬…ローマ法王、映像回線で若者と対話」

これが読売新聞の記事の見出しで、AFPはこんな感じ。

ローマ法王、日本の「過度の競争」を戒め 学生とテレビ会議

 

ローマ法王は日本について、「尊敬している」と言うと同時に、過度な競争や消費を戒(いまし)めてもいる。
見出しにどんな言葉を持ってくるかで、記事の印象がかなり変わってくる。

 

 

「ローマ法王の言葉」といえば、セウォル号沈没事故が起きた後、韓国人に対して言った有名な言葉がある。

*セウォル号沈没事故とは2014年に韓国で起きた海難事故で、修学旅行中の高校生をふくめ300人以上の犠牲者を出した。

韓国では、2013年まで10代の死因1位は自殺であったが、この事故により高校生が多数亡くなったため、2014年の10代の死因1位は運輸事故となってしまった。

「ウィキペディア」

ヤフーで「ローマ法王 韓国」で検索すると、こんな画面が出てくる。

 

 

「人は生まれ変われ」「霊的」「批判」「激怒」は、同じ言葉をさしていると思う。

その言葉が中央日報の記事(2014年04月26日)にのっている。

法王は「韓国民すべてに深い哀悼を表す。若者に会いに行く訪韓を控え、多くの若い生命の犠牲を非常に残念に思う」と述べた。また「韓国民がこの事件をきっかけに倫理的・霊的に生まれ変わることを望む」と強調した。

ローマ法王「韓国民、倫理的に生まれ変わることを望む」

「ローマ法王が韓国人に、『生まれ変わることを望む』と発言した」ということが日本で反響を呼んで、今でも時どきネットでこの言葉が書き込まれる。

でも、この言葉の真意は分かっていない。
ローマ法王が韓国人を批判したのかもしれないし、「もうこんな事故を起こさないでほしい」と願っただけなのかもしれない。

日本では、韓国人をやゆするときにこの言葉が使われることがあるけれど、たぶん、ローマ法王の考えはまったくちがう。

個人的に、「生まれ変わることを望む」とまで言わないけれど、「反日はなくしてほしい」とは望んでいる。

 

 

こちらもどうですか?

宗教 「目次」 

 

6 件のコメント

  • どういう意味で生まれ変わりを望む、という発言だったのかまだよく分からない。幕末から明治にかけて、日本や朝鮮半島を訪れた宣教師が残した記録を見られた事が前提にあるなら頷けます。でも一つわかったのは、法王にまで告げ口外交を試みてるということ。

  • 「霊的」というのはカトリックの用語だと思います。
    私にも意味がよくわかりません。
    告げ口外交はホントに昔からよくやってます。
    さいきんもアメリカやWTOなんかにも。でも効果はなさそうですね。

  • 「韓国民がこの事件をきっかけに倫理的・霊的に生まれ変わることを望む」
    この言葉を素直に解釈するのであれば、事故で亡くなった人々にではなく、今生きている韓国人らに向かって
    言っている言葉であり、韓国人の倫理観のなさを嘆き、魂を入れ替えて「韓国人よ利他主義であれ、嘘をつくな
    思いやりと優しさを持つ魂になれ」といっているように思う。

  • ローマ法王がどういう意図で「生まれ変わる」を述べたものかわからないが、的を得ている。

  • アメリカだと洗礼を終えたら人は生まれ変わるみたいなカトリックの風習あるよね、トランプ氏がやってたやつ
    それに近い感じかも

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。