韓国人と現地の日本人に聞いた韓国での注意「酒と3月1日」

 

前に、韓国の治安について記事を書いた。

韓国の治安:殺人が2.5倍、強盗は1.2倍。平昌五輪では注意して。

 

この数字は「個人の感想」ではなくて、外務省が出した注意喚起情報によるものだから、正確で信頼できる。

だから、「韓国の治安は日本と変わらない」なんてことは思わないようにしよう。
そう言う自分も、まわりの人に「韓国の治安は日本とそんなに変わらないから、そんなに心配しなくてもいい」と、テキトーなことを言っていたから、反省はしている。

今回はこの記事の続きのようなもの。
韓国人と韓国に住んでいる日本人から、「韓国での安全」について話を聞いたことがあるから、今回はそれを紹介しますぜ。

 

韓国で食べた「チメッ」。
「チキン」と「メクチュ(ビール)」の造語。
フライドチキンとビールを組み合わせたものを「チメッ」と言う。

 

ソウルに「鍾路(チョンノ)」という繁華街がある。

韓国の旅行情報サイト「ソウルナビ」によると、鍾路はこんなところ。

鍾路(チョンノ)は李氏朝鮮が漢陽(現在のソウル)を首都としてから400年の間、現在まで変わることのにないソウルの中心地。仁寺洞からも近く、同じく繁華街である明洞とはちょっと違い、まさしくジモティのための繁華街。

鍾路

ここは有名な観光スポットで、日本人観光客がよく行くところだ。

でも、ここではチョイと気をつけた方がいい。

 

あるとき、午後8時ごろ鍾路(チョンノ)を歩いていたら、大声で言い争っている集団を見かけた。
1人が激高して相手につかみかかろうとしていて、まわりの仲間がそれを止めている。

それを横目に「こええなあ、おい」なんて思って歩いていると、今度は、20代の女性が泣きながら男をビンタしていた。

鍾路は同じくソウル繁華街「明洞(ミョンドン)」とは、どうも雰囲気が違う。

でも、「朝までハシゴの旅 in 鍾路」をやったら、けっこういい数字が取れると思う。

 

韓国人の友人にその話をしたら、「鍾路は他のところと比べたら、ちょっと危ないと思います」と言う。

ソウルナビには、鍾路は「明洞とはちょっと違い、まさしくジモティのための繁華街」と書いてある。
7,8年前に韓国人から聞いた話でも、明洞は恋人と行くようなおしゃれなところで、鍾路は男同士で飲みに行くような”下町”っぽいところだという。

 

「韓国の治安」と一口に言っても、場所と時間によってトラブルにあう確率は大きく変わってくる。

友人が指摘した韓国での危険要因は、お酒だ。

韓国での危険度は、「相手が酒を飲んでいるかどうか?」によって大きく変動するという。
彼も、酔っ払いにからまれないように注意するし、何か言われてムカッときても、酔っぱらいなら相手にしない。
韓国人の酔っぱらいは、韓国人から見ても危ないらしい。

 

その韓国人とソウルで飲んでいたとき、隣のテーブルで酔いつぶれた女性がテーブルのお皿を落として割ってしまった。
それを見た友人がこう口を開く。

「韓国人が4人で飲んでいると、1人はあんな”破壊神”になります」

 

「韓国人の大酒飲み」は、昔から知られている。
1890年代の朝鮮を旅行したイギリス人女性は、紀行文にこう書いている。

酔っぱらいは朝鮮の大きな特徴であるといわざるをえない。そしてまた、酔っぱらっても恥ではない。正気を失うまで酒を飲んだとしても、粗野だとは見なされない

「朝鮮紀行 イザベラバード (講談社学術文庫)」

それでも最近の韓国では、酒の飲み過ぎでトラブルや死亡事故が起きていることから、飲酒をひかえる動きもある。
けれど、「正気を失うまで酒を飲んだとしても、粗野だとは見なされない」という見方は、今でも残っていると思う。

日本でも、イギリス人の友人が「この前、スーツを着た人が酔っぱらって吐いているのを見ました。イギリスではあり得ませんね」とあきれていた。
日本も似たようなものかも。

 

韓国人の夫と結婚して、ソウルに住んでいる日本人からはこんな話を聞いた。

「韓国は基本的に大丈夫だと思います。あえて言えば、3月1日にはちょっと気をつけた方がいいかもしれません」

この日を知ってますか?
3月1日には、韓国人の反日感情がいつもより高まるという。

 

今からほぼ100年前、1919年3月1日に日本統治下にあった朝鮮半島で、全国的な反日独立運動がおこなわれた。
これが「3・1独立運動」で、韓国では日本の支配に反旗をひるがえした記念すべき日になっている。

1919年のこの日、ソウルにあるパゴダ公園に人びとが集まって「朝鮮独立万歳」を叫んだ。
韓国人にとっては、独立運動が始まった「特別な日」になる。

そのことは韓国憲法にも書いてある。

悠久の歴史と伝統に輝く我が大韓国民は、三・一運動により建立された大韓民国臨時政府の法統及び

大韓民国憲法

だからこの日は、ふだんより反日の気運が高まる。

でも韓国に住んでいるその日本人は、3月1日でも外出をひかえることはなく、自由に出歩いている。
ただ、「この日はいつもとは違う」ということは意識しているという。

 

ということで、韓国人と現地の日本人から聞いた話を総合すると、日本人にってもっとも注意するときは「3月1日の夜、鍾路で酔っ払いがいるところ」になる。
来年は「3・1独立運動」の100周年だから、どうなるんだろう?

 

 

おまけ

韓国と世界史に興味がある人は、韓国憲法に書いてあった「大韓民国臨時政府」を知っておこう。

高校の世界史ではこう習う。

大韓民国臨時政府 1919

三・一独立運動後、上海で設立された政府。初代首班は李承晩。弱体ながらも第二次世界大戦後まで存続したが、進駐したアメリカ軍により事実上解体された。

「世界史用語集 (山川出版)」

憲法に「大韓民国臨時政府」が書いてあることから、韓国では建国の年がハッキリ決まっていない。

朝鮮日報のコラム「大韓民国建国は1919年なのか、1948年なのか(2015年12月20日)」でも、「19年建国論」と「48年建国論」の2つを紹介している。

くわしいことはこの記事をどうぞ。

韓国の建国は何年だ?1948年or1919年?日本は知っている。

 

おまけのおまけ

ソウルのバスターミナル

 

 

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韓国 「目次」 ①

韓国 「目次」 ②

韓国 「目次」 ③

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。