トランプ大統領はとても過激な発言をする。
ということは、前から知っていた。
特に移民に対して、厳しいことをよく言う。
例えば、CNNニュース(June 18, 2015)ではトランプ氏が大統領になる前、メキシコから来る人たちについて「ヤツラは麻薬や犯罪を持って来る」「強姦魔だ」なんてことを言っている。
They’re bringing drugs, they’re bringing crime. They’re rapists
トランプ大統領がこの発言を取り消した、とは聞いたことがない。
たぶんこのぐらいなら、屁とも思ってない。
日本だったら、移民に「麻薬や犯罪を持って来る」「強姦魔だ」なんて言うのはネットの世界だけ。
政治家がこんなことを言ったら、「誤解を招いた。申し訳ない」ではすまない。
トランプ氏の態度は大統領になっても変わらない。
今年1月には、ホワイトハウスで議員たちと移民問題に話し合っていたとき、中米のハイチやアフリカの国々を「屋外便所(shithole)のような国」と言った。
朝日新聞の記事(2018年1月12日)にそのことが書いてある。
「なぜハイチ人がもっと必要なのだ。追い出せ」と発言。ハイチのほか、エルサルバドル、ニカラグア、ホンジュラスの中米・カリブ諸国やアフリカ諸国を指して「屋外便所のような国」と表現したという。
トランプ氏「便所のような国」 中米カリブやアフリカに
中米やアフリカから移民を受け入れることが、トランプ大統領には不満らしい。
安倍首相が国会で、アフリカの国を「屋外便所のような国」なんて言ったら、安倍政権は崩壊するかもしれない。
さすが自由の国アメリカ。
って、これは表現の自由を超えている。
トランプ大統領が移民を嫌いだとしても、外国を「屋外便所のような国」と表現するのは明らかにマズイ。
この発言に対しては、「人種差別だ!」という批判が世界中に広がった。
でも、今のアメリカには、移民の存在を不愉快に思っている人はたくさんいる。
トランプ大統領を支持しているのは、そうした人たちだ。
移民が嫌いでも、それを言葉にすると「人種差別主義者め!」とまわりから非難される。
だから、思っていることを口にすることはできない。
そうして、移民への不満や敵意が高まっていく。
アメリカ人から聞いたことだけど、今のアメリカ社会にはこんな面があるらしい。
「屋外便所のような国」と言うのはアウトだけど、国内にいる外国人(移民)に対して「嫌なら出て行け」と言うのはセーフ。
オランダの基準なら。
ちょうど1年前、移民問題をかかえるオランダで、ルッテ首相が新聞広告で「普通に振る舞え。さもなければ出ていけ」と主張したことが世界的に話題になった。
オランダは世界でもっとも多文化共生が進んでいる国の1つ。
自由で寛容な国としても知られている。
それだからこそ、国内の外国人に対しては、いき過ぎた自由を認めない。
オランダに来た外国人が自由を乱用することで、国民が反感を強めている。
それでルッテ首相は「嫌ならオランダから出て行け」と訴えた。
多くのオランダ国民もこの姿勢を支持した。
オランダの価値観を尊重しない外国人に、「嫌なら出て行け」と主張することは、排外主義的でも右翼的でもない。
無条件で「外国人は出て行け!」というと、差別主義者になる。
多文化共生社会では、「この一線を越えたら許さない」という態度は必要だ。
政治家が国内にいる外国人に対して「嫌なら出て行け」と言ったら、日本だったらかなりたたかれると思う。
でも、オランダ国民は選挙でルッツ氏を選んだ。
BBCニュース(2017年03月16日)から。
3期続投が決まったルッテ首相は「今日は民主主義を祝う日だった」と勝利宣言し、オランダは「誤った形の大衆迎合主義に『ちょっと待って!』と言った」のだと強調。
以前、「外国人との共生社会」ということをテーマに記事を書いていた。
その時に見た日本の自治体のホームページには、「違う文化や価値観を認め合うことが大事です」「価値観や民族の違いを越えることが重要です」といった言葉がすごく多かった。
それはそうなんだけど、一方でヨーロッパの移民問題を見ると「この国の価値観を尊重しない者は、出て行け!」という厳しさも大切だと分かる。
でも、「屋外便所(shithole)のような国」はアウト。
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