インドネシア人から見た日本の自然「これがちょうどいい!」。

 

去年の1月、タイを旅行していたフランス人の旅行者に、とんでもないことが起きた。

「カオヤイ国立公園」で、ワニにかみつかれてしまったのだ。

「カオヤイ国立公園」はバンコクの近くにあって、日本人旅行者にも人気のスポット。
ここは世界遺産にもなっていて、タイの情報サイト「バンコクナビ」ではこんなふうに紹介されている。

周辺の国立公園などとともに2005年に世界自然遺産に指定。園内のトレッキングコースは所要時間ごとに複数あるので、ビジターセンターで地図を入手しましょう。

カオヤイ国立公園

 

ボクは「カオヤイ国立公園」には行っていないけれど、そこに行った日本人から話を聞いたことはある。
「日本にはない大自然を味わえるから、オススメですよ」ということだったから、行ってみたいとは思っていた。

 

バンコクの近くにあって、たくさんの外国人が訪れている。
しっかり整備や管理がされている観光地だと思っていたから、こんなところでワニに襲われたと知って驚いた。

でも、これはフランス人旅行者に責任があるようだ。
この女性はワニと一緒に自撮り(セルフィー)をしようして、ワニに近づいたところ、脚をかまれてしまった。

AFPの記事(2017年1月3日)から。

匿名を条件にAFPの取材に応じた公園職員によると、被害者の女性は「小川のほとりに横たわっていたワニと一緒にセルフィーを撮ろうとした」ところ「ワニが驚き、脚にかみついた」という。

ワニとセルフィー試みた観光客、脚かまれる タイ国立公園

 

このフランス人の傷は回復するようだけど、ワニにかまれた傷跡とトラウマは一生残るだろう。

 

さて、2年前にインドネシア人とハイキングをした。
そこは愛知県にあるこんなところ。

 

 

 

そのインドネシア人は20代の女の子で、カリマンタン島で生まれ育っている。

カリマンタン島はスケールがでかい。
ひとつの島だけど、面積は日本の約2倍もある。

ちなみに「カリマンタン」はインドネシア語で、英語だと「ボルネオ」と言う。
だから「カリマンタン島=ボルネオ島」と考えておk。

 

 

「カリマンタン島に比べたら、愛知の自然なんて物足りないだろうなあ」と思って感想を聞いてみたところ、そのインドネシア人は意外とよろこんでいた。

彼女は「カリマンタン島の森はコワいから、あんまり入りたくないんです」と言う。
とくに川にはワニがいる。
だから、時期と場所によっては絶対に近づかない。

 

カリマンタン島には大自然が広がっているけれど、そのインドネシア人はそんなところには行かない。

「ジャングルなんて近づきたくありません。家やカフェでよくネットをしていますから、カリマンタン島での生活は、いまの日本での生活とそんなに変わりません」

ということらしい。

「カリマンタン島に住んでいる」と聞いたから、勝手に「ジャングルと友だち」みたいなイメージを持っていたけど、ぜんぜん違った。
ふつうにシティライフをエンジョイしている。

だから日本の森のように、安全に入っていけるところがちょうどいいらしい。
カリマンタン島では、自然は恐ろしいところで、日本のように「楽しいところ」ではないようだ。

 

カリマンタン島(ボルネオ島)にはオランウータンがいる。
「オラン(人) +ウータン(森)」で「 森の人」という意味。

 

そんなインドネシア人の話を思い出したのは、最近こんなニュースを見たから。

カリマンタン島で体長6mの巨大なワニが射殺された。
そのワニの胃袋の中から、人間の手と脚が発見される。

その少し前に、36歳の男性がオートバイとサンダルを残して行方不明になる事件があった。
そして、腕と脚のないこの男性の遺体が川に浮かんでいた。

地元の警察署はこの巨大なワニが男性を襲って殺したとみている。

AFPの記事(2018年3月2日)にはこんな妻の言葉がある。

被害者の妻によると、男性は食用の貝を採りに行くと言って自宅を出たという。「夫がこんなひどい状況に陥るとは想像もしなかった」と話した。

巨大ワニの体内から人の脚と腕、行方不明だった男性か インドネシア

 

久しぶりに先ほどのインドネシア人にメールしたら、こんな返事が返ってきた。
*日本語は修正している。

「そのワニだね。カリマンタンは今梅雨だからね、ワニがいっぱい出て来るんだよ。すごくコワイ。ダンナがジャワ島にいたときは、よくつりに行っていた。でも、カリマンタン島に引っ越しした後は、あまりつりには行かないよ。ワニがコワいからね」

やっぱり、日本の自然がちょうどいい。

 

ちなみにそのインドネシア人の話だと、カリマンタン島のワニには2種類ある。

1つは、日本の動物園にいるふつうのワニ。
もうひとつは、「お化けのワニ」。

カリマンタン島では、人が死ぬとワニになることがあるらしい。
それが「お化けのワニ」で、姿は見えたり見えなかったりする。
だから、突然ワニが出て来ることがある。

そのインドネシア人の子も、お化けのワニを見たことがあるという。
普通の木だと思って近くに行ったら、その木が突然大きいワニに変わってしまった。

 

ちょっと信じられないけれど、カリマンタン島には本当に「お化けのワニ」がいて、みんな信じているらしい。

その子は大学を卒業していて、英語と日本語を話すことができる。
パソコンやネットにもくわしい。
インドネシア社会ではエリート層にいる人間がこんな話をするとは思わなかった。

やっぱり、日本の自然がちょうどいい。

 

おまけ

人がワニに追いかけられる恐怖。

Cocodrilo persigue a turista en Boca Paila – Por Manuel Carrera」の動画。

 

 

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4 件のコメント

  • 周りの自然の危険度が日本とは違うからこそですね。このようなコラムが好きです。
    少し話は変わるのですが外人は差別用語であるというのは本当でしょうか?外国人とするべきだと聞きました。短縮しただけとも受け取れる外人という言葉ですが、これはジャパンとジャップのような関係なのでしょうか?
    丁寧ではない言葉なのは確かです。外国人の方々はどのように思われているのかなとふと思いまして、たずねさせていただきました。

  • フィリピン人も「毒蛇がコワいから森には入らない」なんて言ってました。
    日本の自然は人にやさしいですよ。

    「差別用語」まではいかないと思いますが、「ガイジン」と呼ばれることを嫌がる外国人はボクのまわりにいます。
    でも、「ガイジンさん」だといいらしいです。
    「ジャップ」はダメですけど。
    でも、仲が良くなったら気にしません。
    ボクはメールでよく「gaijin」と書きます。

  • ガイジンさんが大丈夫という事は差別用語というよりも自分に敬意を払っているのかどうかが問題視されているのですね。
    丁寧な回答ありがとうございました。

  • いえいえ。
    外国人はそんな一言だけで、その人間を判断しないと思います。
    言葉より、ふだんから相手のことを考えて行動する方が大事です。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。