知り合いで、日本語ペラペラの中国人がいる。
最近、彼と話してるときに「中国共産党による一党独裁ってどう思う?」なんてことは聞けるわけはなく、「日本語ってどう思う?」と聞いてみた。
彼いわく、
「韓国は漢字をなくしてしまいましたけど、日本語にはあります。それで親しみを感じますね。漢字と仮名を残して、一緒に使うのはすごいです。とくにカタカナが便利だと思いました。カタカナの言葉を見たら、すぐに外来語と分かりますから」
とのこと。
中国は漢字の国だから、外来語も漢字にしないといけない。
でも、その言葉にふさわしい漢字を探すのはなかなかむずかしく、新しくできた言葉も分かりづらい。
その点、カタカナは英語の音をそのまま表すだけでいいから楽ちん。
カタカナの言葉を見れば、それが外来語というのはすぐ分かる。
たとえば「McDonald’s」。
日本語だと「マクドナルド」で終わりだけど、中国語だと「McDonald’s」にふさわしい漢字を作らないといけない。その際、漢字の音や意味を考える必要があるから、「魔苦怒」みたいな暴走族のような言葉はあり得ない。
それで「麦当労」になった。
でも、それぞれの漢字には意味があるから、初めてこの文字を見る人はとまどうらしい。
ちなみにケンタッキーは「肯徳基」で、サントリーは「三得利」だ。
良い意味の漢字が使われているのは、日本人でも分かる。
最近は外来語を漢字にしないで、そのまま使うことも増えているらしい。
でも、「カタカナ=外来語(英語)」と覚えていると、逆に混乱することもある。
たとえば「サッパリ分からない」の「サッパリ」を英語とかん違いして、もとの言葉を探してしまうこともあるとか。
中国のマクドナルド
台湾だと「麥當勞」になる。
ストローは「吸う管」。
これは納得。
普通の若い韓国人なら、この漢字を見ても意味が分からない。
彼が言うように、日本語には漢字がある。
だからアメリカ人やタイ人に比べれば、中国人は日本語を学ぶのがめちゃ有利。
トリニダード・トバゴ人は「kanji is killing me(漢字は死ぬほど大変)!」なんて言っていたし。
中国人や台湾人は逆に、「新聞は漢字が多いから読みやすい」と言う。
でも、同じだからこそ、違いに気をつけないといけない。
日本語と中国語には同じ漢字でも、意味がまったく違うものがある。
だから中国人や台湾人が日本語を学ぶ場合、「違いがわかる男(女)」になることが大切。
たとえば「手紙」だ。
手紙は中国だと「トイレットペーパー」の意味になってしまう。
中国語で手紙は「信」と書く。
日本でも「着信」や「返信」というように使っている。
彼は「切手」についても、「この漢字はおかしいですよ~」と笑う。
これだと文字通り「手を切る」という意味で、初めて見たときはかなりビビったらしい。
いま辞書を見たら、切手は中国語で「邮票」になっている。
「奨学金」については、「この漢字はおかしいですよ!」と怒る。
この漢字だと「返す必要のない金」という意味になるらしい。
でも日本だと、返済が必要なものも奨学金と言う。
「これはおかしいです。だったら『奨学金』じゃなくて『支援金』ですよ」
いろいろとデタラメな中国のパクリ商品
ここからは、彼が話してなかった漢字の話。
中国語の「愛人」は妻や夫のことで、日本とは正反対。
「娘」という漢字は「母」という意味だから、もうワケワカメ。
前回の記事で書いた「猪」もそう。
ブタはもともとイノシシだった。
イノシシが人間に飼いならされて、いまのブタになった。
日本語で猪は「イノシシ」だけど、中国語では「ブタ」になる。
「白水社 中国語辞典」には「猪(豚)」について、こんな例文がのっている。
•这头猪真大。=この豚は本当に大きい.
•妈妈特别爱吃猪肝。=母は豚のレバーが特に好きである.
•公猪=雄豚.
•母猪=雌豚.
じゃあ、イノシシは中国語でどう書くか?
というと「野猪」になる。
「野猪」はイノシシで、「野」が取れた「猪」はブタになる。
この漢字からも、人間がイノシシを飼いならしてブタにした歴史が見えてくる。
ちなみに、ブタを英語で言うと「pig」。
で、「wild pig」だと「イノシシ」になる。
ここにも「猪=ブタ」、「野猪=イノシシ」の考え方がある。
中国旅行では筆談がおもしろいですよ。
英語が話せなくても、漢字で何とか地元との人と話ができる。
こんなことは、漢字を捨てたベトナム人や韓国人にはムリ。
日本人の「特権」。
2018年は日中平和友好条約を結んで40周年になる。
ということで、今年は中国に行っちゃいな。
おまけ
桂林の絶景
こちらの記事もどうぞ。
中国の漢字は台湾・香港や日本と違いすぎて旅行の時苦労しました
でも、筆談する時は日本の字体を中国人が理解してくれて難なくいけましたね
たしかに台湾・香港の漢字は違いますね。
台湾人や香港人を愛知の明治村に連れて行ったとき、「台湾(香港)の漢字と同じ!」とよろこんでました。
昔は日本も使ってましたからね。
筆談は中国旅行の大きな楽しみです。