こういうときに「地獄の入口」と言うのを初めて知った。
韓国紙・中央日報の記事(2018年05月01日)にその言葉がある。
「地獄の入り口」支持率30%で持ちこたえる安倍氏、誰が彼を死守しているのか
日本では、「これはヤバいぞ」という政権支持率は30%が目安になっている。
それを下回って、20%台になるとレッドゾーン。
政権崩壊が見えてくる。
それで日本のマスコミは、支持率30%以下を「危険水域」と呼んでいる。
実際、第1次安倍内閣は支持率25.3%、福田内閣は23.5%、民主党の野田内閣は23.0%になったとき、政権はつぶれてしまった。
日本での「危険水域」を、韓国では「地獄の入口」と言うらしい。
中央日報だけかもしれないけど。
「地獄の入口」というのもコワいけど、国民の3分の2の支持を失えば「これから地獄がはじまる」と思っても間違いじゃない。
支持率20%台というのは、高校世界史的にいえば「瀕死の病人」。
1877年にオスマン帝国はロシアとの戦争(露土戦争)に負けた。
それによって、ルーマニアやセルビアなどの国がオスマン帝国から独立していく。
強大だったオスマン帝国は急速に力を失って、ヨーロッパから「瀕死の病人」と呼ばれるようになった。
政権末期の状態がまさにこれ。
4月におこなわれた日本テレビの世論調査では、安倍政権の支持率は26.7%。
20%台に落ち込んでいた調査結果は他にもあった。
このころの安倍政権の支持率は30%前後で、「地獄の入口」に立っていた。
それもそのはず。
モリカケ問題に財務省による公文書書き替え問題で、一気に国民の信頼をなくしたから。
さらに、当時の財務省事務次官のセクハラ問題が追い打ちをかける。
これで支持率が落ちなかったら、世界の7不思議に数えられる。
安倍政権は「瀕死の病人」のようになってしまった。
でも倒れない。
何とか持ちこたえている。
韓国にはそれが不思議らしい。
それで「誰が彼を死守しているのか」と、記事でその理由を説明している。
中央日報は東京新聞の記事を引用して、日本の若者が安倍政権を支えていることに注目した。
18~39歳の支持率は49.3%だけど、40代を超えると32%ほどになる。
それで、「安倍首相の強力な後援者は若年層だ」と書く。
これはその通り。
若い人たちが安倍政権の価値観や考え方に共感していることは、各種調査で明らかになっている。
中央日報の記事は「ロイター企業調査」の結果にも触れている。
ロイター通信の記事(2018年4月23日)によると、「安倍首相がまた次の自民党総裁になってほしい」と考えている企業はは7割を超えた。
国民による政権への信頼は低下しているものの、企業にとっては政権安定によるアベノミクス継続が事業活動にプラスとの考えが勝っている。
ロイター企業調査:安倍首相続投「望ましい」73%、安定重視
日本の会社の多くは安倍政権を支持している。
でも「何があっても安倍首相がいい!」というわけではない。
安倍首相が退陣したら、日本は良くなるのか?
今の日本では、その可能性が感じられない。
野党に期待できないから。
ロイター通信の記事ではこんな見方を紹介している。
一方、野党への期待は極めて低い。「世の中が大きく動こうとしている時に、モリカケ問題だけに固執する野党、マスコミのあり方にも問題がある」(建設)といった見方がある
「地獄の入口」に立った安倍首相が、なんで持ちこたえられているのか?
若者と企業が支持していることのほかに、中央日報は、東京新聞から駒沢大学教授の見方を紹介している。
同紙は「若年層や経済界だけなく、本当に安倍首相を支えるグループは何が起きても野党を支持せず、ただ慣習的に自民党とそのリーダーを支持する層」という駒沢大学の山崎望教授の分析も合わせて伝えた。
そうか?
一日本国民の立場から言わせてもらえば、安倍政権を支える本当のグループが「何が起きても野党を支持しない層」とは思えない。
そうではなくて野党だろう。
「ただ慣習的に自民党とそのリーダーを支持する層」があるとしても、日本より自民党を優先する人がいったいどれだけいるのか?
圧倒的多数の国民は、自民党の利益より日本の国益を大事にしているはず。
安倍政権の支持率は30%前後になった。
国民の信頼をうしなった安倍首相の前には「地獄」が広がっている。
あとは背中を押すだけ。
野党にとっては、かつてないチャンスがめぐってきた。
ここで野党は攻勢をかけた。
「麻生財務相が辞任するまで、国会の審議には応じられない!」と安倍首相にせまる。
この審議拒否は正しいかどうか?
それは結果しだい。
これによって麻生大臣を辞任させたら、正しかったことになる。
でも、それができなかったら間違い。
その結果はどうなったか?
麻生氏は今でも財務大臣をしている。
野党は大臣辞任に追い込むことができなかった。
審議拒否は間違っていたことになる。
立憲民主党は麻生大臣のクビをあきらめた。
毎日新聞の記事(2018/5/2)では、連休明けに審議に戻ることを検討している。
連休に入り、世論の批判を懸念した野党内で「そろそろ起きた方がいい」(民進党幹部)との声も表面化。2日の報道を受け、審議復帰の検討が始まった。
立憲民主党など野党6党は2日、連休明けに国会審議に復帰する検討を始めた
野党の「国会での審議拒否」戦略は失敗に終わった。
それにしても、「そろそろ起きた方がいい」って。
寝ていて給料がもらえる仕事が日本にあったなんて、今までまったく知らなかった。
麻生大臣は辞任しないし、安倍首相の支持率は下げ止まった。
野党はあれだけの好機をまったくいかせなかったわけだ。
今では「審議拒否はだたのサボりじゃねーか」という野党への批判が多くなっている。
日経新聞の記事(2018/4/29)から。
国会審議を拒否していることについて「適切ではない」が64%を占めた。「適切だ」の25%を大幅に上回った。
野党の審議拒否「不適切」64% 内閣不支持、最高迫る
チャンスをピンチに変えてしまったでござる。
現在の安倍政首相を支えているのは「若年層や経済界」ではなく、「ただ慣習的に自民党とそのリーダーを支持する層」でもない。
野党だ。
絶好の好機をムダにし、「政権が替わったら日本は良くなる!」という期待を感じさせてくれない。
「瀕死の病人」である安倍政権を看病し、延命させているのは野党だ。
森友は国庫への背任の疑い。しかしその隣接地は民主党の時に補助金で誤魔化されているが森友以上の値引き。
家計は認可の正当性の疑い。そこで面会記録や総理案件の言葉で問題があったと報道している。しかし肝心の認可を決めた会議の議事録や出席者には総理の圧力が認められていない事は報道しない。
財務省、防衛省の公文書の扱いでは改竄は論外である。しかし文書が後から見つかった云々は文書の管理期限を過ぎていたため破棄しただろうという一般論的な答弁から起きた話である。改竄の話で不思議なのは改竄した動機にマスメディアによる歪曲報道を理由にしていた今の理財局長の国会答弁をマスメディアが報道していないこと。
あれだけのチャンスがあって麻生大臣を辞任させられなかったのは、野党の能力不足を指摘されても仕方ないです。
「安倍一強」は他がないからでしょう。
若者は一連の不祥事を麻生大臣の責と考えていないようです。地方紙でも街頭コメントを拾うと、再発防止や原因究明を求める若い層と、麻生大臣や安倍総理の辞任を求める高齢層で分断されているようにも感じました。
民主党政権誕生に一票を入れた私ですが、今の立憲やら国民党?には票を入れたいとは思いません。国難への対応に党派で違いがあっても、危機感は党派を超えて共有されなければ駄目です。残念ながら与党を経験させた割には今の野党の姿勢は以前と変わりません。
個人的な意見ですが、枝野氏や辻元女史含めて民主党時代経験者には全員政界引退を決断されるべきです。彼らが再び政権を取ったとして何が出来るか悪い想像しか湧き起こりませんから。
若い人たちはネットで情報を得る人が多いです。
同じ新聞とテレビ番組だけを見る人より、複眼的に情報に接することができます。
これはいいことです。
朝日、毎日、読売、産経、日経などのいろいろなソースに目を通すのは大事なことですから。
民主党政権時代の余波は今も続いていますね。
でもこれを払しょくするのはむずかしいでしょう。