イスラームという言葉の意味は「神(アッラー)に帰依する」「身をゆだねること」ということ。
でも実際には、いろんなイスラーム教徒がいる。
「おまえ、ホントに身をゆだねてんのか?」と思ってしまうヤツもいる。
イスラーム教徒は酒を飲むことができない。
にもかかわらず、知り合いのイスラーム教徒は、仕事を終えた後のビールが人生の重要な一部になっていた。
そうかと思えば、生まれてから酒を一滴も飲んだことがない人もいる。
なかには、アルコール成分のあるウェットティッシュすら使わない超まじめなイスラーム教徒もいる。
日本にいるイスラーム教徒だけを見ても、いろいろなアッラーへの身のゆだね方がある。
でも、「どんなイスラーム教徒でも、これには怒っているだろうな」と思うことがある。
それは「イスラム国」。
これを使えないイスラーム教徒もいる。
5月12日、フランスのパリでナイフを持った男が通行人を襲う事件が起きた。
その男は20代のフランス人。
「アラー・アクバル(神は偉大なり)」と叫んで、1人を殺害し4人に重軽傷を負わせたあと、駆けつけた警察官に射殺された。
マクロン仏大統領は事件後すぐに、「警察はテロリストを制圧した」とツイッターに投稿する。
この事件を伝える読売新聞の記事(2018年05月14日)の見出しがこれ。
パリ殺傷容疑者か、「イスラム国」に忠誠の動画
これが朝日新聞の記事(2018年05月14日)
パリ中心部、刃物で殺傷 1人死亡4人負傷 ISが犯行声明
この容疑者の背後にある見られる団体を、読売新聞は「イスラム国」、朝日新聞は「IS」と書いている。
同じ組織だけど、その呼び方はメディアによって分かれる。
ちなみにニューズウィーク誌は、過激派組織「イスラム国(IS)」という表現を使っていた。
中東やヨーロッパでテロ事件を起こしているこの組織は、自分たちのことを「イスラム国」と呼んでいる。
英語では「Islamic(イスラムの) State(国)」だから、略してIS。
それをそのまま日本語にしたら、イスラム国になる。
でも、世界中のイスラーム教徒はこれを嫌う。
「オレたち普通のイスラーム教徒と卑怯なテロリストを一緒にされてしまう」と、「イスラム国」という呼び方に不快感を持つ人は多い。
記事の始めに出てきたイスラーム教徒も、「イスラム国」という言い方を嫌っていた。
酒を飲んだことのないイスラーム教徒も、ビールを愛してやまないイスラーム教徒もこんなこと言っていた。
「あいつらはイスラーム教徒ではありません。ただのテロ組織です。本当は、イスラームを名乗ってはいけないんです」
「abematimes」の記事(2018.05.11)でも、日本にいるバングラデシュ人のイスラーム教徒が同じ不満を持っていた。
日本のメディアが「イスラム国」という言葉を使うことに怒っている。
ティナさんは「アッラーの名前で人を殺していることがイスラム人として一番許せない。イスラム教はテロの宗教ではない」としたうえで、イスラム国という呼称がイスラム教徒の人々を傷つけるものだと説明。「日本のテレビを訴えたい気持ちだった」と続けた。
テロ集団のオウム真理教が仏教を名乗っていたことに、まじめな仏教徒が怒るようなものだ。
「イスラム国という呼称がイスラム教徒の人々を傷つけるものだ」
「日本のテレビを訴えたい」
日本にいるイスラーム教徒はこう言うのだけど、では、あの組織をどう呼べばいいのかが記事には書いてない。
彼らはテロリストではあるけれど、イスラーム教とまったく無関係ではなない。
だから、「イスラム」という言葉は抜かせないだろう。
でも「IS」だけだと、どんな組織なのかが分かりにくい。
だから、ニューズウィーク誌が使っていた過激派組織「イスラム国(IS)」が一番いいと思う。
おまけ
イスラーム教の国、家麺。
じゃなかった、イエメン。
アラビックな音楽が流れるタクシーの中で撮りましたよ。
ドイツを「独」、モンゴルを「蒙古」と書くと、「それは差別的だっ!」と不快になる人もいる。
そのことはこの記事をごらんください。
こちらの記事もいかがですか?
コメントを残す