今回の記事は、10月27日(土)から公開される映画「ガンジスに還る」の紹介です。
©Red Carpet Moving Pictures
「インドを旅する人が観るべき映画」とタイトルに書いたのは、インド旅行の経験があれば、この映画を身近に感じられて2倍3倍に面白くなるから。
例えば、インドをバスで長距離移動していると、こんなダバと呼ばれる安食堂を見ると思う。
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ボクがインド旅行で寄ったダバも、まさにこんな感じ。
なつかしさで、「おっ」と声が出そうになった。
でも最近はこんな古い建物ではなくて、モダンできれいなダバが増えている。
また、道に迷ってインド人に尋ねると、もっと分からなくなることがある。
1人のインド人に聞くと、別のインド人も寄って来る。
そして、あるインド人が「そのホテルはこの先だ」と言えば、別のインド人は「違う。それは向こうだ」と別の方向を指さす。
こんなように。
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答えはひとつなのに、人によって言うことがまるで違う。
”インド旅あるある”ですね。
インドを旅行するなら、ほとんどの人がヒンドゥー教の聖地「ヴァラナシ」に行くと思う。
「ガンジス河に還る」の舞台はそのヴァラナシだ。
映画では、ヴァラナシ名物のバング入りラッシーが出てくるし、細い石畳の道を牛がゆうゆう歩いている。
そして、ノーヘルでバイクにまたがったインド人が強引に走ってくる。
この映画には、旅で見たインドがある。
「お、ここ見たぞ」という場面がいくつも出てくるから、インド未経験の人とは違う楽しみ方がある。
これからインドを旅する人が見てもいい。
映画で見たところを実際に訪れると、実物のすごさが分かる。
ヴァラナシのカオスは、スクリーンを見ただけでは伝わらない。
聖地ヴァラナシ
映画では、ガンジス川に花や炎を流すプージャ(儀式)やイケメンのインド人が踊り(これもプージャ)をするシーンが出てくる。
ヴァラナシに行けば、きっとこれも見る。
この背景はマニカルニカーガート。
ヴァラナシに来て、ここに行かない人はいないだろう。
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インドを旅してヴァラナシを訪れたら、ガンジス川の雄大な流れや川岸での火葬を見ることができる。
おススメはしないけど、沐浴やバタフライをすることもできる。
でも、旅には限界がある。
ガンジス川や火葬を外から見ることはできるけど、インド人の心までは分からない。
インド人の話を聞けばある程度は見えてくるけど、外国人旅行者の知ることができる範囲は少ない。
ボクは「ガンジスに還る」を見て初めて、死期を悟ったインド人がどんな気持ちになり、どのようにそれを迎えるのかが分かった気がした。
ヒンドゥー教徒がガンジス川に何を思って、願っているのかも。
映画では、70代後半のおじいさんが「死期の訪れを感じておる」と言って、ヴァラナシで最期を迎えたい旨を家族に伝える。
そのインド人は、どうやって死の気配を感じたのか?
息子や孫は、「ヴァラナシで死にたい」という思いをどう受け止めるのか?
こうした様々な心の動きは、インドを旅しただけでは見えてこない。
すごく重いテーマだけど、ところどころにユーモアを交えているから、気楽に観ることができる。
でも扱うテーマは死だから、やっぱり考えさせられる。
映画「ガンジスに還る」では、インドを旅した人が目にする光景が映っているし、旅だけでは手の届かないところにも触れることができる。
インド旅の経験があれば、この映画はさらに面白くなる。
インドに行く前にこの映画を観れば、旅はさらに深いものになる。
だからこの映画はインド旅行者におススメですよ。
くり返しになりますが、10月27日(土)より岩波ホールほか全国で順次公開ですよ。
©Red Carpet Moving Pictures
おまけ
ガンジス川で沐浴するヒンドゥー教徒
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