ミャンマー旅行④首長族に会って話して考えた。「文化」とは。

 

はじめの一言

「子供たちは、学校でも家庭でも、長上に対する礼儀と尊敬を第一の絶対条件として躾けられる。若い人たちの上品な挙止には全く驚かされる
(クラーク 明治時代)」

「日本絶賛語録 小学館」

クラークは、「Boys, be ambitious(少年よ、大志を抱け)」という言葉で有名な人。

 

 

今回の内容

・首長族が首に輪っかをつけている理由
・理由は分からないけどやっているのが文化

 

・首長族が首に輪っかをつけている理由

ミャンマー旅行で首長族に会って、いろいろ話を聞いた。
なかでも一番聞きたかったことがこれ。

なんで、首を長くしようとしているのですか?

これは、「長い首は美しく見えるから」というパダワン族(首長族)の美意識によるものだった。
彼らの考えでは首が長い人ほど美人で、良い条件の結婚相手も見つかりやすいという。

 

ただこれは彼女たちが今首輪をしている理由で、もともとの理由は違う。

首に固い真鍮(しんちゅう)製の輪っかをつけ始めたのは、虎に襲われたときに首や手首を守るためだったのだろう。

それが前回までのお話。

 

まったね~。

 

首長族の人に手をふって、そのお土産店を離れる。
それが上の写真だけど、何というか無邪気な笑顔を見せる。

この後、ガイドから話を聞いた。
このガイドは首長族のパダワン族とは違う「シャン族」という少数民族の人。
大学で英語を学んで観光ガイドになったという。

「外国人の観光客は、かならず『なんで彼女たちは首を長くするんだ?』と聞きます」

だろうね。
あの姿を見て、不思議に思わなかったらそれが不思議だよ。

「でも本当は、彼女たちも深くは分からないと思います。さっきの人は、パダワン族が首輪をつけるようになったのは、『虎から身を守るため』って言ってましたけど、私はそれを初めて聞きました」

え?
ガイドさんにとっても初耳だったの?

「初めてですよ。首輪をつけているのは『美しく見せるため』ということは知っていました。でも、『何で首輪をつけるようになったのか?』という由来までは知りませんでした。パダワン族の人でも、そこまで知っている人はあんまりいないんじゃないですか?」

このガイドはパダワン族が首輪をつけている理由は知っていたけど、「首輪の歴史」までは考えたことがなったという。

 

なにか意外な気がした。
ボクが日本で首長族の写真を見たときに、すぐに感じた疑問は「なんでこの人たちは、首を長くするようにしたんだろう?」というものだったから。

でもガイドは、そんなことを疑問に思ったことも考えたこともなかったらしい。
あの姿を見て何の疑問もわかないということが、ボクには不思議なわけだが。

「彼女たちも首輪の由来まではよく分からないんじゃないですか?子どものころに親から首輪をつけられて、今まで育ってきただけですし。村の他の女性も首輪をしていて、パダワン族にとってはそれが自然なことです。首輪をつけることを疑問に感じたことがなかったと思いますよ。『なんで首輪をつけるようになったのか?』なんてことを知らなくて、困ることはありませんから」

ガイドの話を聞いていて、「これが文化というものなんだろなあ」と感じた。
外部の人から見たら不思議に感じるけれど、それをしている本人に当然のことで、まったく疑問には思わないようなこと。

 

ミャンマーでも人気の「味の素」

 

・分からないけどやっているのが文化

アメリカ人と一緒に京都に行ったときは、彼女は日本人が自分の好きなお守りを買っているのを見て「こんなことはアメリカではありえない」驚いていた。

でも日本人にしてみたら、京都に行って好きなお守りを買うのは当然のこと。
それが「不思議なこと」なんて、気がつきもしない。

ボクもお守りを買うことに疑問を思ったことがなかったから、アメリカ人にこう聞かれても答えられなかった。

「なんで日本人は、好きなお守りを買うの?」

そんなことを不思議に思ったことがない。
だから、質問の意味が分からなかった。
お守りは、そのときに自分が必要なものを神社やお寺で買っていただけで、その理由を深く考えたことがない。

考えるとすれば、こんなことぐらい。
どこにどんなお守りがあるか?
「縁結び」はどの神社やお寺が有名か?
お守りの処分は、どうやればいいのか?

こうしたことは知っていた。
けど、「なんで好きなお守りを買うのか?」なんて考えたことがない。

「さあ、なんでだろう?それが日本の文化ってヤツだよ」

「それが日本の文化だから」としか言えなかった。
分からないことは分からないのだから仕方がない。

文化というものには、そういう性質があると思う。

理由や由来は分からないけど、そうすることが当たり前だしみんなも同じようにやっていること。

まあお守りを買うことについては、調べたらそれなりの理由はあったけどね。

 

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首長族の人にとってみたら、それと同じようなことだと思う。

外国人のボクからしたら、「なんで首を長くするようになったのか?」ということが不思議だった。
けれど本人たちには、あまりに当たり前のことで疑問に感じたことすらない。

「なんで日本人は、好きなお守りを買うことができるの?」

と、アメリカ人に聞かれて答えられる日本人なんてほとんどいないはず。
そんなことが分からなくても困ることがないし、その理由を考えたこともないだろうし。

前の記事で、文化について書いた。

「文化」は民族や社会の風習・伝統・思考方法・価値観などの総称で、世代を通じて伝承されていくものを意味する

(デジタル大辞泉)

 

パダワン族が首に輪っかをつけて首を長く見せることも日本人が好きなお守りを買うことも、外部の人間からは不思議に見えるけど、それをしている人間にとってはあたり前のこと。
それが不思議だなんて気がつかつきもしない。

文化にはそういう面があると思う。

 

おまけ

ミャンマーへ旅行に行くなら、カックー遺跡がおススメですよ。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。