もう2月になってしまったけれど、いまから4日前、1月27日は何の日か知ってましたか?
世界的には、この日は「国際ホロコースト記念日」だった。
くわしくはこの記事をどうぞ。
でも日本で1月27日は「求婚の日」。
明治16年1月27日、結婚願望の強かった中尾勝三郎という男性が、妻を求めて新聞に求婚広告を出した。
これが日本初の新聞求婚広告だったということで、この日が「求婚の日」となる。
当時としては画期的なアイデアが光ったせいか、この求婚に応じた女性がいて、その後中尾さんはその女性とみごとゴールイン。
いまの日本の新聞には、仕事の求人ならあるけど求婚広告はない。
ボクが知らないだけで、まだどっかの新聞にあるのかも。
でも、インドならまだありまっせ。
下の写真は列車で移動中に見つけたインド紙の求婚広告。
「TAMIL(タミル)」は南インドの地名。
左側の真ん中と横の広告に「CASTE NO BAR」と書いてある。
「CASTE」はヒンドゥー教のカーストのこと。
「BAR」は障害といった意味で、この人は「カーストは問わない」と言っている。
ちなみにカーストという言葉は、もともとポルトガル語の「カスタ(血統)」に由来する。
日本に「鎖国」という言葉がなかったように、インドにも「カースト」という言葉はなかったのだ。
さて、日本の学校で習うインドのカースト制度。
*いまはカーストではなく「ヴァルナ」と言うけど、ここではカーストと書くことにする。
ヒンドゥー教には、「バラモン」「クシャトリア」「ヴァイシャ」「シュードラ」の4つのカーストがある。
なんでこの4つが生まれたのか?
その由来のひとつに、ヒンドゥー教の聖典「マヌ法典」の記述がある。
マヌ法典ってのは、紀元前200~後200ごろにできたインドの法典。
高校の世界史用語集(山川出版)によると、「人類の始祖マヌが述べたといわれ、各ヴァルナの権利や義務が規定されている」というもので、インドだけでなく東南アジアにも大きな影響を与えた。
弥生時代に成立したマヌ法典に、カーストの由来が記されている。
*下の「ブラフマン」は、ヒンドゥー教の創造神のこと。
威光燦然たるかの者(ブラフマン)は、このいっさいの創造を守護するために(彼の)口、腕、腿および足から生まれた者たちに、それぞれ特有のカルマを配分した
(マヌ法典 中公新書)
神ブラフマンの口からは僧侶のバラモン、腕からは戦士のクシャトリヤ(ラージプート)、腿(もも)からは商人のヴァイシャ、足からは奴隷のシュードラが生まれた。
そしてブラフマンは、それぞれにカルマ(業・役割)を運命づけたのだった。
そんなストーリーを2000年ほど前に、支配階級の人間が神を利用してつくり上げる。
そしてそれを社会の統治構造に組み入れた。
これには神の威光があるから、否定したり逆らったりすることはできない。
インド人はそれをそのまま信じ続けてきて、いまのカースト制度になる。
「CASTE NO BAR」の背後には、そんな長い長い歴史があるのだ。
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