「それは文化盗用だ!差別だ!」で進む、外国人の”日本離れ”

 

日本文化が大好きなアリアナ・グランデさんは、日本への移住まで考えていた(下のツイート)。
でも最近、楽しかった日本語学習をやめてしまった。

 

アリアナさんは日本語の間違いを指摘され、歌詞やグッズに日本語を取り入れたことなどを「(cultural) appropriation(文化盗用)」と非難されて心を痛めていた。
それでとうとう日本や日本語から距離をおくことにしたという。

でも日本人には、「日本文化を盗んだ」という考え方がよく分からない。
さらにこんな理由で、アリアナさんが日本から離れてしまったことを残念に思っている。
ネットを見ると、そんな声でいっぱいだ。

・「文化の盗用」って新しい概念なんだろうな。ほとんどの例で当事者置いてきぼりの議論が盛んにされてるんだろう。頭痛い。
・彼女が傷ついて日本を嫌いになったりしないといいなぁと思う。自分の好きなものを仕事や生活・ファッションに取り入れて何が悪いんだろう。
・今日本人に出来るのは#JapanLovesArianaタグなんかで話して応援する事やね。

世界のスーパースターが日本文化を気に入って日本語を勉強していたら、日本人としてはうれしいだろう。
そう思う日本人がほんとだから、「appropriation(文化盗用)」とアリアナさんを非難する人間の気持ちが分からない。
それでネットではいま、「犯人捜し」がおこなわれている。

 

「日本文化の盗用」といえば、2015年にアメリカのニューヨークであったことを思い出す。

huffingtonpostの記事(2015年07月11日)

ボストン美術館の「キモノ試着イベント」が中止に 理由は人種差別、白人至上主義?

世界的に有名なボストン美術館で行われていた着物の試着イベントが、「それは人種差別だ!」「文化盗用だ!」と批判されて中止になってしまった。

 

クロード・モネの作品「ラ・ジャポネーズ」

 

ボストン美術館は上の「ラ・ジャポネーズ」の前で、着物を着て記念撮影ができるというイベントをしていた。
日本人としてはむしろウェルカムだと思うのだけど、これを「人種差別」「文化盗用」と言い出す人があらわれた。

huffingtonpostの記事を見ると、「ラ・ジャポネーズ」の前で、「人種差別」「帝国主義」と書かれたプラカードを持って抗議する人たちがいる。

でもこれ、日本人が見たらどう思うだろう?
外国人が着物を着て記念写真を撮ることを、「日本人への差別」とか「日本文化を盗んだ」と怒る人がいるだろうか?
そもそもアメリカ人が着物を着ることが「軍国主義」になる理由がわからない。
関係ないものを軍国主義に結びつけて非難するのは、日本人の発想とは思えない。
それに博物館の中まで入って、「人種差別」「文化盗用」と抗議するというのも日本人の行動にしては異質な感じがする。

ニューヨークにいる日本人は移民ではなくて、仕事や勉強などで数年いるだけの人が多い。
つまり、価値観や考え方は本国の日本人とそれほど変わらない。

huffingtonpostの記事を見てほしいのだけど、プラカードを持って来場者をにらんでいる人たちは、アジア人だけど日本人には見えない。
でもアメリカ人からしたら、これが日本人に見えてしまう。

 

4年前、日本に住んでいるアメリカ人から、「あなたはこれをどう思う?」ときかれてこの出来事を知った。
外国人が着物や浴衣を着ると日本人はよろこぶから、着物の試着イベントで日本人が抗議するのはおかしいと思ったという。

日本人としてその意見に同意。
外国人が着物のそでに腕を通したら、「日本文化を盗んだ!」ではなくて「日本文化に触れた」とふつうの日本人なら考えるだろう。
こんなことが文化盗用になるのなら、抹茶体験も空手体験もできなくなってしまう。
これは日本人の発想ではない。

ということで、アリアナ・グランデさんやボストン美術館に文句を言った人のほとんどは、日本人ではないと思っている。
外国人が日本文化に親しんでいることを気に入らない人たち。
つまり、「appropriation(文化盗用)」ではなくてただのジェラシーだ。

日本人以外の人間が、「それは日本文化の盗用だ!」「日本人への人種差別だ!」と抗議して、外国人が日本文化に触れる機会が失われてしまうのは本当に残念。

でも世界のニュースを見ていると、ときどきそういうことが起きている。
もし日本人以外の人間が悪意を持って、外国人から日本文化を引き離そうとしているのなら腹が立つ。

 

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2 件のコメント

  • ボストン美術館の着物イベントで文化盗用です、やめてくださいといったプラカード持ってる人の写真見たとき、全く反対する気持ちが理解できずにいましたけど、ここ数年色々調べて、やっと日本文化が誉められること、日本が好きな人がいること自体が大嫌いなひとたちの嫌がらせなんだとしりました。嫌いな相手が万人に嫌われる努力をわざわざすること自体理解不能なんですが…残念なことです。
    日本人てしては、着物をきてくれたり日本語を学んでくれたり日本文化に触れてもらうことがとても嬉しいのに、こんなことで日本を好きでいてくれるアーティストが誤解して嫌いになってくのを、日本人は何もしないで見てるだけでいいのでしょうか…
    美術館のことも、アリアナや他の日本が好きといってくれてるアーティストも、日本的にわかる人だけわかってもらえればいいって放っておいたら、誤解が定着して取り返しつかないことになると思うのです…。
    日本を好きになってくれてありがとうって伝えたいです。

  • 私もあの抗議が分かりませんでした。
    普通の日本人の発想ではないですね。

    この記事には書きませんでしたが、あれは韓国系の人たちでしょう。
    韓国では日本をライバル視していて、日本が世界から褒められると不快に思う人が多くいます。
    例えば去年のサッカーW杯で日本人の観客がスタジアムを掃除して世界中のメディアで取り上げられたとき、韓国では落ち込む人がたくさんいました。
    それで、韓国のマスコミは「日本と比較した「自虐ムード」を警戒する声も出ているという」と報じています。

    日本人が褒められても韓国とは関係ありません。
    それで不快になったり自虐的になったりする必要はないんですけどね。
    韓国サポーターの応援リーダーは「海外メディアが日本だけに注目したからといって国を卑下するのではなく」と韓国サポーターを鼓舞しています。

    このとき日本人を称賛する海外のSNSには、「日本人はスタジアムの掃除をしたが、まだ過去の歴史を清算していない」「軍国主義を反省していない」といった書き込みを大量に見ました。
    ボストン美術館で抗議した人たちに通じる価値観だと思います。

    「日本を好きになってくれてありがとうって伝えたいです」おいう思いにはまったく同感です。
    それでいま、日本にいる外国人に日本の歴史や文化を紹介してます。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。