今日の一言
「世界の花の中でも、サクラの花、日本の桜ほど愛され、褒められ、崇(あが)められている花は他にありません。それはたんなる国の花ではなく、清廉(せいれん)と騎士道と名誉の象徴であり、少なくても二000年の間、はためく情熱をもって尊重されてきた春の祭典の紋章(シンボル)なのです
(シドモア 明治時代)」
今回の旅行の日程を確認しておこう。
一日目は、セントレア空港を出発して、ソウルで乗り換えをして中国の大連へ行く。
そして、大連の市内観光をする。
大連や瀋陽など、その昔、「満州」と呼ばれていた地方は、他の中国の都市とは違う。
戦前、多くの日本人が満州に渡り、多くの日本人が住んでいた。
そのときの日本人移民たちが建てた建物が多く残っていて、現在もそれらが大連市民に使われているという。
愛知県にある明治村には、明治時代の建物がたくさんあって自由に見学することができる。
明治時代の刑務所やホテルなどの建物を自由に歩き回ることはできるけれど、それらの建物はもう、役割を終えて明治村で老後を過ごしているようなものだ。
大連では、その時代のものが今も現役で活躍している。
言ってみれば、「生きてる明治村」のような都市だ(きっと)。
そもそも、都市の名前である「大連」という漢字、は日本人が考えてこの地につけた名前でもある。
大連へは、明治時代にタイムトリップしたい。
二日目は、瀋陽(しんよう)へ行く。
中国には、二つの故宮がある。
故宮というのは、中国の皇帝が住んでいた宮殿のこと。
一つは、北京にある故宮(紫禁城)で、日本人が「中国の故宮」と聞けば、ここを思い浮かべると思う。
これとは別に、瀋陽にももう一つの故宮がある。
ここは、中国最後の王朝となる清が誕生した場所で、その時代の皇帝が住んでいた故宮がある。
中国好きな旅人に、「瀋陽の故宮はあんまり知られていないけど、おススメですよ!」ということだったので、これを見に行きたい。
ということで、瀋陽では、「じゃない方の故宮」に行って、清の原点やその時代のことを知りたい。
ところで、韓国のソウルにも、かつて国王が住んでいた景福宮という宮殿がある。そして、こちらも、故宮と呼ばれている。
それで、前に疑問に思ったことがある。
何で「古宮」ではなくて、「故宮」なのか?
もう、皇帝が住んでいない宮殿なのだから、「古宮」でも良さそうなものだけれど。あえて「故宮」にしているわけがあるのだろうか?
そんなことを疑問に思っていたけど、ちゃんとその理由があるらしい。
もとの宮殿という意味で『故宮』と呼ばれるようになった。当時の記録をみると、『故』の字は、故郷や故国のように思慕の対象のイメージがある
「雨過天青 (陳 舜臣)」
思慕(しぼ)とは、「思いしたうこと。恋しく思うこと(デジタル大辞泉)」のことで、「亡き母を思慕する」という例文がある。
中国は、1911年に起きた辛亥革命によって皇帝がなくなり、韓国(朝鮮王朝)は、1910年の日韓併合によって、皇帝がなくなった。
中国人や韓国人は、今はない皇帝や国王のことを思い浮かべながら故宮を回るのだろうか。
そして、それとは別で、瀋陽では、浜松市民としてやらなくてはいけないことがある。
浜松と宇都宮といえば、「餃子の聖地」として有名だ。
その餃子は、満州に行った日本人が戦後日本に戻ってきてから、広めたものらしい。
満州は、日本の餃子の「ふるさと」にあたり、その中でも、瀋陽が餃子どころとして有名だ。
そう聞いたら、ここでは餃子を食べるということは、浜松市民としての「義務」だ。
三日目は、大連に戻って、一日目に回り切れなかった場所の観光だ。
どこに行くかは、まだ分からない。
予定は未定、未定が予定なのだ。
四日目は、韓国のソウルへ行く。
ソウルへ行くはいいけど、もう3回以上は行っていて、有名どころの観光地は、もう「済」の状態だ。
ソウルには観光というよりも、韓国人の友人に会いに行く。
東京に一年間住んでいた韓国人とその友人の韓国人と久々の再開を果たして、ソウルを案内してもらうことになっている。
彼女は、日本には一年しかいなかったけれど、日本語の上達ぶりはかなりのもので、あともう1年日本にいたら、ボクを追い越していた可能性が割と高い。
「日本にいたときは、いろいろお世話になりました」という言葉が、社交辞令になっていないほどお世話をしたのだから、今度は彼らの番だ。
しっかり、たっぷり案内してもらおうか?
五日目は、別の韓国人の友人と博物館に行って、その後、「チメク」を味わう。「チメクって何?」という方も多いのでは?
チメクってこんなもの。
「皆さんは韓国では子供から大人までチキン(フライドチキン)が大好きなのをご存知ですか?お店はもちろんのこと、お家でデリバリーを取ったり、お花見やピクニックで公園などにもチキンの出前が気軽に取れるほど、もはや韓国人にとっては生活に密着しているといっても過言ではないチキン!
日本のみなさんも旅行に来た際にお店でチキン&ビール(メクチュ)を楽しんだ方や、チキンとメクチュを略したチメクと言う言葉を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
(ソウルナビ)」
「ソウルに行ったら。チメクを食べなさいよ!絶対に!」と、ボクにおススメというより脅迫してきたのが、ニューヨーク出身のアメリカ人の友人だ。
彼女は、1年半韓国で住んでいて、韓国のことは詳しい。
「日本の食べ物は好きだけど、フライドチキンだけは韓国にかなわない。日本のフライドチキンとはまったく別物なの。ビールと一緒に食べると最高。でも、ビールは日本の方がおいしい」
フライドチキンを生んだアメリカ人にそこまで言わせるのか。
では、それもいただかないと。
韓国人の友人もいるから、言葉の心配もない。韓国人一押しの店で「チメク」を堪能(たんのう)してくるか。
ただ、言葉以外で心配がある。
この子がまた、「うっかり屋(死語?)」で、ミスが多いのだ。
この子が「日本にいる間に沖縄に行きたい」と思っていたところ、運よく、奇跡のように安い沖縄までのチケットを見つけて、迷わず購入するも、当日、まさかの寝坊。
お気に入りのカフェで、「るるぶ沖縄」を見ながらバーチャル・トリップをしていたらしい。
また、札幌に行ったときは、食事を安くすませようと、コンビニでおにぎりとお茶を買って、公園で食べるも、5万円が入った財布をベンチに置き忘れてしまう。
「でも、交番に行ったら、あったんですよ!私の財布が!さすが日本、と思いました」
という、日本に来る外国人にありがちな奇跡は彼女には起こらず、失意のうちに北の大地を後にすることになった。
うっかり屋で、さらに運が悪いという人と行動を共にするというのは、不安だ。
こいつが、また何かをやらかさないだろうか?
メールでは、「まかせてください!」
と断言するけれど、本当に全部任せて大丈夫かな?
大船に乗ったと思って安心していたら、実はタイタニック号で沈んでしまうとか、シャレにならないんだけど。
そして5日目は、現実(日本・職場)へ戻ってくる。
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