外国人を「昭和っぽいお好み焼き店」に連れて行くべき理由

 

タイ人の大学生が母国に戻るということで、「最後の晩さん」に行ってきた。
といっても昼間だったからランチだけど。

彼との相談の結果、場所はお好み焼き店に決定。
「okonomiyakiって知ってる?」と聞くと、「ジャパニーズピザですね」と即答。
彼が住んでいるバンコクにもお好み焼き店がいくつかあって、2、3回行ったことがあるという。

でも、本場の店はタイとはちょっと違う。
以前、同じように母国に戻るタイ人に最後の晩さんは何がいいかたずねたら、「お好み焼きです。自分で焼くことができる店がいいです」と答える。
タイのお好み焼き店では店員が作るから、「ぜひあれを自分でひっくり返してみたいです」とのこと。
そこまで目を輝かされたら仕方がない。
「道頓堀」に連れて行くしかない。
食べ放題をオーダーして、気のすむまでお好み焼きをひっくり返させた。
結果、そのタイ人は大満足。

ちなみに、自分で食べるものを自分で作るという経験はアメリカ人もよろこんでいた。
こういうレストランは海外では珍しいかも。

 

タイ人を連れて行ったのは、おばちゃんが一人でやってる小さなお店。
自分がオーナー兼従業員だから超自由。
タイ人を見るとすぐに、「あんた外人さん?かわいい顔してるねえ」と言ってジロジロと見る。

良く言えばフレンドリー、悪く言えばなれなしい。
でも、このおばちゃんの場合は好奇心旺盛といったところ。

彼にお好み焼きをひっくり返させてほしいというリクエストはすぐに快諾。

「いい?こうやってやるんだよ?」と、まずはボクのをひっくり返してお手本を見せる。
タイで生まれ育った彼には人生初の試みだったけど、想像以上にうまくできた。

 

外見はほぼ日本人。

 

おばちゃんも「おお~うま~い。ブラボーブラボー。」と手をたたく。
「あんた才能あるから、タイでお好み焼き屋をやりなよ」と言うのだけど、彼の専攻は情報工学だ。

自作のお好み焼きは彼の口に合っていて、座って新聞を読んでるおばちゃんに「オイシイデス」と親指を上げる。
するとサービスで甘夏をくれた。
自分用に切ったついでに、ボクたちにもくれたらしい。

 

食事を終えて会計のとき、「これは何ですか?」と柿ピーを指さす。
そう聞かれても、英語で柿ピーをうまく説明できない。
そしたらおばちゃんが、「食べたら分かるよ。持ってきな」とタイ人にプレゼントする。
「お土産って英語でなんて言うの?すぶにえーる?じゃあそれ、スブニエールよ、スブニエール」と笑顔を見せる。

あとで感想を聞いたら、彼はこの店をかなり気に入っていた。

「バンコクやプーケットの食堂みたいです。ああやっていろいろ話しかける人は、日本のレストランではいませんでした。だから、あの店は温かくてすごくよかったです。」と話す。

言われてみれば、タイの食堂ではよくおばちゃんに話しかけられた。
お土産をもらったこともある。
まあ、お釣りをごまかされそうになったこともあるけど。

そんな雰囲気のお店を日本で探すとしたら、昭和っぽいお好み焼き屋もそのひとつ。

 

 

じつは以前、イギリス人をこんなお好み焼き店に連れて行ったときにも、タイ人と同じことを聞いた。

そこにいたおばちゃんも好奇心旺盛で、「あんたどこ人?いつ日本に来たの?お箸使えるの?」と一方的に話しかける。

でも、終始笑顔だから嫌味はない。
あとで感想を聞いたら、出身地の北アイルランドにある食堂があんな雰囲気と言う。

客が食事をしている時にテレビを見たり新聞を読んだりするのは、いまの日本のサービスの概念ではあり得ないけど、それを見て「失礼だ!」と怒る外国人はまずいない。
「なんかなつかしい」と思うのでは?

海外に比べて、日本人のサービスはどこでもとても礼儀正しい。
だから逆に、「よそよそしい」とか「ちょっと冷たい」と感じる外国人もいる。
そんな外国人をこんなおばちゃんのいる店に連れて行ったら、きっとよろこぶと思う。

でも平成が終わるいま、そんなお店も街から姿を消している。
だから行くなら、迷わずすぐ。

 

以下、個人的感想

上のようなお店とファストフード店の間にあるのがスターバックス。
スタバの店員もわりと気さくに話しかけるけど、「あんた外人さん?」とまでは聞かない。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。