インドにはこれまで、7回ぐらい行ったことがある。
インドは不思議な魅力のある国で、「一度行くと、また行きたくなる人と二度と行きたくないと思う人に分かれる」という話を韓国人から聞いた。
でも、この元ネタは日本じゃないかと思っている。
インドの感想は両極端に分かれるというのは、昔から日本で言われてきたことだから。
ボクがインドを好きになった理由に「カレー好き」がある。
これはたぶん絶対条件で、「カレーは嫌いだけどインドは好き」という人に会ったことがない。
でも、インドに行けば分かるけど、日本とインドのカレーはかなり違うのだ。
これは浜松にあるカレー屋のものだけど、日本のカレーは全国だいたいこんな感じだと思う。
でも本場インドでは、こんなにでかいナンをほとんど見なかった。
インド人がよく食べるのは下の「チャパティ」で、逆にこれは、日本のカレー屋で見た記憶がない。
ナンのように発酵させないから、チャパティの生地はとても薄い。(左上の薄いパン)
チャパティは安く簡単に作れるから、インド人やパキスタン人はこっちをよく食べる。
インド人を日本のカレー屋に連れて行くと、こういう「どでかいナン」を日本のカレーの特徴と言う人もいる。
チェンナイやケララなど南インドから来た人は南インドの主食は米だから、こういうスタイルのカレーは北インド風と言う。
一方、デリーやパンジャーブなど北インド出身の人は、「こんなに大きいナンは珍しい。これが普通になっているところがインドのカレーとは違う」と言っていた。
なかには、日本に来て初めてナンを食べたというインド人もいるらしい。
日本で初めてライオンを見たというケニア人の話を聞いたことがあるから、そういうこともあるのだろう。
インドに比べると日本のカレーは甘い。
でもその理由はすぐ分かる。
ココイチで「10辛」のカレーを食べて、「もう少し辛くてもいいですね」と言うインド人の味覚に日本人が合わせるのは不可能だから。
でもナンのほうは分からなかった。
なんで日本では、ナンの巨大化が進んだのか?
そんな疑問を持っていたとき、出会ったのがこの東洋経済の記事(2019/05/06)です。
インド人が驚く日本の「ナン」独自すぎる進化 ホッピーもある「インネパ料理店」ってなんだ
イギリスがインドを植民地支配していた時代、インド駐在員がカレーをイギリスに伝えた。
そして1947年の独立後、インド人やバングラデシュ人らがロンドンにやって来てカレー屋をオープンする。
ヨーロッパ人向けにアレンジしたカレーだから、パンに近いナンが主流となった。
そして1970年代から90年代にかけて、日本のカレー屋が「ロンドンスタイル」のカレーを提供して大人気となる。
それでこれが日本カレーの定番スタイルとして定着したという。
さらなる進化をもたらしたのが日本の「インネパ料理店(ネパール人が経営するインド料理店)」だ。
日本のインド料理店にはインド人経営ではなくて、このインネパ料理店が多いのだ。
ネパール料理の「モモ」を出す店はインネパ料理店だと思う。
彼らが日本人の好みを追及していった結果、「ナンはどんどん大きく、甘く、ふかふかになっていきました」と記事にある。
「ネパール人」というのがここでのポイントで、インド料理にくわしい日本人がこう話している。
ネパール人にとってのインド料理は、決して子どもの頃から食べてきたものではありません。だからこそ固定概念にとらわれず、柔軟にアレンジしていけるのだと思います
いまの日本には、チョコレートナンやハニーチーズナンといったナンがあるけど、こういうデザートのようなナンの提供を始めたのはインド人ではなくてネパール人らしい。
彼らの手によって、日本カレーの独自化はさらに進む。
スタッフのネパール人が居酒屋で働いていたことから、日本人が好む梅きゅうりやひざ軟骨揚げといった居酒屋メニューを出すインネパ料理店もあるし、ホッピーやレモンサワーを出す「飲めるカレー屋」もあるという。
ここまで日本化すると、もうインド人はそこをカレー屋と認めないかもしれない。
というか、カレーにモモに梅きゅうりもあるとなると、日本人のボクでも何の店だかよく分からない。
でも、令和時代にはもっと進化するはず。
カレーもパンも海外のものなのに、カレーパンは日本で生まれた。
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