「かわいいは正義」を体現したのがピカチュウ。
ピカチュウは世界中で愛されているけれど、それを「禁止」している国もある。
以前、インドネシア人のイスラーム教徒と話をしていて、こんな話を聞いた。
「インドネシアではポケモンは問題ありません。大人気ですよ。でも、サウジアラビアは違います。サウジアラビアでは、ピカチュウはイスラーム教の考え方に反しているということで、ポケモンが禁止されているんです」
なるほど。いや、どういうことなのか分からない。
でも調べてみると、確かにそうだった。サウジアラビアやカタールでは、ポケモンは「進化論」を理由に全面禁止になっていた。
サウジアラビアの法学者がポケモンをハラームとし、保守派ムスリムがそれに賛同している理由としては、「ポケモンの後天的形態変化は生物学では『変態』と呼ばれるものであるが、ポケモンではこれを『進化』と呼んでいる。進化論は保守派イスラームからはコーランの無謬性を汚すとしてハラーム扱いを受けている
「ハラーム」とはイスラーム教で禁止されているもので、たとえば豚肉や酒がハラームになる。逆に、イスラーム教徒が食べていいものは「ハラル(許可)フード」とよばれている。
ポケモンを禁止しているはサウジアラビアだけではなかった。
四月にはカタールでも、フォトワが出された。
その理由は、ポケモンが偶像崇拝を禁じる教えに反するということだけでなく、人気のポケモン・カードを交換する行為がギャンブルの一種と考えられること、登場するキャラクターが進化する、つまりイスラームで禁じられている進化論にもとづくものとだということだ。「常識の世界地図 (文春新書)」
「islamreligion」というサイトでは、イスラーム教の聖書クルアーン(コーラン)の中でギャンブル(賭け事)を禁止している部分を紹介している。
“サタンの望むところは、酒と賭矢によってあなたがたの間に、敵意と憎悪を起こさせ、あなたがたが神を念じ礼拝を捧げるのを妨げようとすることである。それでもあなたがたは慎しまないのか。”(クルアーン5:91)
以上の情報をまとめると、これらの国では次の3つの理由で、ポケモンは禁止されている。
・ピカチュウが進化する。「進化論」はイスラーム教の考えに反している。
・ポケモンというアニメ自体が偶像にあたること。
・ポケモン・カードの交換がギャンブルにあたること。
もちろん、すべてイスラーム教の聖典「コーラン(アラビア語読みでクルアーン」にもとづいている。
イスラーム圏の国では、ピカチュウの「進化」が問題になる。
イスラーム教の教えでは人や動物は「生まれる」のではなくて、神(アッラー)によって「つくられる」ことになっている。
だから「人は猿から進化した」という進化論の考え方はイスラーム教には合わない。
ということで、それは間違った考え方とされている。
サウジアラビアでも、 モンスターが進化するという設定は進化論に該当するとして、「ポケモンGO」が問題視された。
このコーランの考えは、「人類は猿から進化して生まれた」というダーウィンの「進化論」の考え方とは完全に違っている。
どちらが正しいか?
イスラーム教徒にとっては、もちろんコーランの考え方で、比較すること自体許されない。
イスラーム教の考え方では「生物の進化」は神がおこなうこと。
人が何かを「進化させる」ということは、「反イスラーム的な考え」となってしまう。
それがアニメであっても、ハラーム(禁止)になってしまうらしい。
ただ、このへんの事情はイスラーム圏でも国によって考え方が違う。
エジプトやレバノンでは、ポケモンは「問題なし」になっている。
アメリカでも、ダーウィンの進化論は「キリスト教の教えに反している」と問題視されることが今でもある。
進化論裁判(しんかろんさいばん)とは、アメリカ合衆国で制定された、進化論を学校教育の場で教えることを制限する法律、いわゆる反進化論法に対する一連の裁判のことをいう。
特に有名な裁判として1925年のスコープス裁判、1982年のアーカンソー州の授業時間均等法裁判などがある「ウィキペディア」
「進化論は聖書の教えと矛盾しているから、学校で教えるべきではない」というのは、日本人のボクにはあまり想像できない。
日本でそんなことを裁判で争うことなんて考えれない。
アメリカには信仰の深い人がたくさんいる。
ニューヨーク出身のアメリカ人と進化論の話をしていたとき、彼女からこんな話を聞いた。
「ダーウィンの進化論を信じないどころか、地球に恐竜がいたことを信じてないアメリカ人もいるのよ。『聖書にそんなことは書いてないから』って」
日本人とは全然違う。
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