やっぱり日本人は変わってた!万葉集の意義とその影響

 

新元号「令和(Beautiful Harmony)」が発表されて、3週間がたとうとしている。
もう慣れましたか?

世論調査によると、日本人は令和という元号そのものより、これが初めて日本の古典(万葉集)から引用されたことに好印象を持っていた。
*それまでの元号はすべて中国の古典から採用されていたのだ。

くわしいことはこの記事をどうぞ。

新元号・令和や万葉集からの引用を日本人はどう評価した?

そんなことやあんなことがあって、いま万葉集が注目されているという。
そうか。なら乗るしかないな、このビッグウェーブに。
ということでこれから、「日本人と万葉集」ってことについて書いていこうと思う。

 

で、改めて万葉集ってなんだろう。

万葉集とは日本最古の歌集で、奈良~平安時代の約400年間にわたるぼう大な和歌が収められている。
そして万葉集は平等。
庶民から天皇・貴族までの約4500もの歌が、身分を超えて同じように載せられている。
だから令和のいまでも、万葉集によって、この時代のさまざまな日本人の感性や気持ちにふれることができるのだ。

安倍首相もこう話している。

「万葉集は防人や農民まで、幅広い階層の人々がよんだ歌が収められ、我が国の豊かな国民文化と長い伝統を象徴する国書だ」
「人々の暮らしや息づかいを感じられる」

1000年以上もこういう書が残っているという奇跡。

万葉集の登場は、日本文化に決定的な影響をあたえた。
日本文学はこのときスタートしたと言っていいのだから。

日本における文学の誕生を告知し,以後の文化の水源をなすとともに,万葉仮名による表記法が国語学上きわめて重要な資料となってもいる。

「百科事典マイペディアの解説」

 

万葉仮名をふくめ「かな」という文字の登場で、日本人は自分の感性を100%表現できるようになり(漢字だと漢詩になってしまう)、万葉集、古今和歌集、源氏物語といった今でも有名な作品を次々と生み出していった。

韓国も日本と同じように漢字を使っていたのだけど、ハングル文学の登場はかなり遅い。
まず独自の文字ハングルを創造したのが15世紀で、ハングルで書かれた書はあるけれど、ハングル文学の登場は17世紀ごろといわれている。
ハングル(訓民正音)による最古の小説「洪 吉童(こう きつどう)」は17世紀はじめに生まれた。
韓国文学に興味のある人は「春香伝」も知っとこう。韓国人なら知っててあたり前の文学作品だから。

ちなみに韓国にも、「三代記」という万葉集のような歌集があったらしいのだけど現存していない。
残ってないから、どんなものかよく分かっていない。

これはなにも、韓国を引き合いに出して「日本人スゲー」を言いたいのではない。
仮名という日本文字をつくると同時に、独自の文学をも生み出した日本人は世界でも変わり者だったのだ。

自らの文字を造ると、いきなりその文字で自らの言葉の自らの文学を創作した民族は珍しい。自らの文学を創作するにあたって、ローマ人は長い間ギリシア語を用い、ヨーロッパ人は長い間ラテン語を用いても、自国語は用いなかった。

「日本人とは何か。 (山本 七平)」

 

日本や韓国と同じ漢字文化圏のベトナム人もずっと漢字を使っていて、チュノムという独自の文字による長編韻文詩が登場したのは18世紀のころだった。

 

チュノム

 

万葉集はいまでも生きている。
万葉時代の日本人がいなかったら、令和の日本人もいない。
いまの日本人の感性や情感もその時代の延長にあるのだから、切っても切れない関係だ。
だから、万葉集から続く日本人の精神を次世代にも伝えないといけない。でもそれじゃ不十分。
それだけではなくて、さらに良くしたものを伝えないといけない。

古事記や日本書記の研究で有名な歴史学者の津田 左右吉はこう言っている。

日本精神は過去に養われたものを一層明確にしまたは発達させたところに現代の特色がある

「日本精神について (津田 左右吉)」

「来たときよりも美しく」が日本人のモットーですね。

 

では、そのためにも、「令和」の引用元となった文を味わってみよう。
九州の太宰府で、ある日本人は梅の花を見てこう感じた。

時に、初春の令月にして、気淑(よ)く風和(やはら)ぎ、梅は鏡前の粉を披(ひら)き、蘭は珮後(はいご)の香を薫(かをら)す。

時は初春の令(よ)い月であり、空気は美しく、風は和やかで、梅は鏡の前の美人が白粉(おしろい)で装うように花咲き、蘭は身を飾る衣にまとう香のように薫(かお)らせる。

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。