在日ベトナム僧から聞いた話①日本仏教との同じと違い

 

2019年5月19日。
その日はおシャカさまの誕生日ということで、浜松にあるベトナムのお寺に行ってみた。
今回は、そこにいた在日ベトナム人のお坊さんから聞いた話を書いていこうと思う。

 

東大寺の誕生仏

 

これがそのお寺。
「精進寺」をベトナム語で書いたのが下の文字。

 

お寺の中に入ると、ご本尊の阿弥陀仏(中央)とお地蔵さま(左奥)が安置されていた。

 

案内してくれたベトナム人(この人は僧ではない)の話だと、阿弥陀仏とお地蔵さまはそれぞれ「役割」がちがう。
阿弥陀仏には自分の死後の幸せ、よりよい来世に行けることを願う。
それに対してお地蔵さまには、すでに亡くなった親や祖父母などの幸せを願うという。
自分以外の人の幸福を祈るという意味では、日本のお地蔵さまも同じ。

 

 

親より先に死んだ子供は地獄(賽の河原)に行って、際限なく石を積み続ける苦しみがあたえられる。
日本では、そんなかわいそうな子供を救ってくれるのが地蔵と考えられている。
お地蔵さんに赤いよだれかけをかけるのは、親が地蔵に、よだれのにおいで自分の子供を見つけてもらうためという説がある。

 

お寺のおもてには観音菩薩像があった。
この「役割」はなんだろう。
そんな疑問より指がじゃま。

 

日本でもベトナムでもお釈迦さまの誕生日を祝う。
でもベトナムでは旧暦だから、日本とは一カ月ほどのズレがある。

東大寺の誕生仏と同じく、右手で天を指している。

 

ところで、さっきの写真の女性は一般の信者ではなくて、このお寺ではたらいている人。
そういう人はこんな作業着を着ている。

 

お坊さんもなにか作業をするときにはこんな服を着る。
ベトナム僧は日本と違ってラフな格好はNG。
このとき話を聞いたお坊さんも袈裟か作業着しか着ない。
日本の仏教僧は「仕事」が終わると、Tシャツやジーンズに着替えると聞いておどろいたという。
スリランカ人の日本語ガイドも同じことを言っていた。
日本のお坊さんには「営業時間」があって、それ以外では普通の人と同じ生活をしている。
カジュアルな服を着て肉も酒も飲む。人生をエンジョイする。
それを知ったときは、おどろきよりも怒りをおぼえたという。
まあ、それがジャパニーズ・プリースト。

 

このお坊さんに、「大先輩」のことをきいてみた。
奈良時代にベトナムの僧「仏哲(ぶってつ)」が日本にやって来て、東大寺でおこなわれた大仏開眼の儀式のときに大きな役割を果たした。
仏哲は聖武天皇からもあつい信頼を受けていた。
くわしいことはここをどうぞ。

仏哲

でも目の前のベトナム僧はこの僧を知らなかった。
「そんなベトナム人がいるんですね。あとで調べます」と言ったけど、たぶん絶対忘れてる。

 

 

義理堅い日本人はこのときの恩をいまも忘れていなかった。
2017年に東大寺側はベトナムのお寺に観音菩薩像をプレゼント(奉納)している。
1200年以上という時空を超えた「恩返し」だ。

産経新聞の記事(2016.10.30)

東大寺とベトナムは、奈良時代に来日したベトナム僧、仏哲が、752年の大仏開眼供養会で舞楽を奉納したとされる縁がある。

ベトナム寺院に日本仏像奉納 「恩返し」東大寺住職ら

 

ちなみに日本人で初めてベトナムに行ったのは、ボクの知ってる限りでは平群広成。
「おい、読み方わかんねえぞ」とつっこんでほしい。
平群広成は「へぐりひろなり」と読む。
この人は8世紀の遣唐使でベトナムに行ったというより、「行っちゃった」というかわいそうな人。
それはこの記事をどうぞ。

歴史上、初めてベトナムに行った日本人「平群広成」・遣唐使の苦労

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。