知り合いのインド人カップルから夕食に招待されて、彼らのアパートに行ったらこんなものを見つけた。
KAKIPIー!
柿ピー(柿の種)じゃないですか。
100年近い歴史を持つ日本の定番スナック。
話を聞いたら、このインド人カップルは日本に来て柿の種にハマってしまったという。
「インド人も好きなのか!これは意外」とは思わなかった。
というのは、インド人の間で柿の種が流行っているという話は、浜松にいるインド人から聞いていたから。
「なんだこのお菓子?」と思って口に入れると、インド人はオセロのコマのように柿ピーファンに変わってしまうという。
だからこのアパートで発見した時も、「この夫婦もかやられたか」と思っただけでおどろきはなかった。
それにしても、なんで柿の種はここまでインド人に人気があるのか?
それには興味があったから、インド人カップルに柿ピーがインド人に愛される理由を聞いてみた。
1、食べることができる
当たり前といえばこの上なく当たり前なのだけど、インド人にとって「誰でも食べられる」ということは大事。
ヒンドゥー教やイスラーム教の教えによって、牛や豚をはじめ全ての肉、さらに卵も食べられないインド人もいる。
インドは人口の約30%がヴェジタリアンという国だから、「宗教的タブーのない食」でないと国民的な食べ物にはならない。
その点、柿の種は問題ナッシング。
ヒンドゥー教徒もイスラーム教徒も仏教徒もジャイナ教徒もシク教徒もキリスト教徒もOKだ。
2、味がいい
インド人は基本、辛くて刺激のあるものが好きだから、柿の種はうってつけ。インドのスナックというと、サモサが代表例で辛い物が多い。
まあ日本人に比べたら、インド人の辛さ耐性は超人レベルだけど。
柿ピーについていえば、しょうゆ味は珍しいという。
3、食感がいい
インド人はポテトチップスをよく食べるから、柿の種の「パリっと感」は好き。
別のインド人が「あの食感はどうしてもダメ」と言っていた物に「とろろ」があった。
柿ピーの食感はあの対極にあるから、インド人には親しみが持てるのだろう。
「ピリッと辛くて、パリっと香ばしい」というキャッチコピーそのままだ。
それに彼らからすると「せんべい」も珍しい。
柿の種は米どころの新潟で生まれたお菓子だけど、米から作られたスナックはあまり食べた記憶がないという。
インドの米どころは南部で、この2人は北部出身だからよけい少ないかもしれない。
パーパドという、せんべいのようなクラッカーのようなスナックはインド人に人気。
南インドでは料理の付け合わせとして、北インドでは食後に食べる。海外のインド料理店では席に案内されてから注文をする間によく前菜として供される。
4、絶妙な組み合わせ
インド人はもともとアーモンドやピーナッツなどのナッツ類が大好きという。
このときご夫婦が出してくれたスナックにも、上の写真のようにアーモンドと何かのナッツがあった。
スナック菓子もナッツも好きだから、この組み合わせがインド人の好みに合わないわけがない。
といっても、好きな物を組み合わせたら何でもいい、というわけでもないのだ。
これはボクの経験だけど、アメリカ人やイギリス人はソフトクリームもコーンフレークも好きだけど、その組み合わせには「ノーサンキュー」と言う。
ピザにコーンという組み合わせにもおどろいていた。
とくにイタリア系アメリカ人に言わせると、あれはピザに対する冒とくだ。
5、酒のつまみにいい
これは日本人もわかるはず。
日本で柿の種が人気になった理由もこれだから。
1980年代後半にドライビールの販売合戦「ドライ戦争」がはじまって、そのおつまみとして柿ピーの人気が急上昇した。
酒好きのインド人にも、おつまみとして柿ピーはちょうどいいという。
6、お土産に最適
柿の種は安くて日持ちがよくて、さらに小分けになっている。
だからこれをお土産で買っていくインド人や日本人がいて、現地でばらまくと、「これはおいしいな。柿ピーというのか…」となって勝手に宣伝してくれる。
インド人は好奇心旺盛で新しいものが好き。
以上、こうした理由でインド人をとりこにした柿の種は、今月からインドの工場で生産がはじまる予定だ。
日本経済新聞の記事(2019/3/28)
亀田製菓、インドで柿の種生産 6月に工場稼働
いままでは中国で生産した柿の種をインドに輸入して販売していたけど、これからは現地で生産を開始するという。
インド人にかなりの人気があったのだろう。
柿の種はすでにアメリカやタイでも販売されている。
ゴールデンウイークにベトナム人とピクニックに行ったとき、彼らもこれを持ってきていた。
ワサビ味の柿ピーはベトナム人の間で人気があるという。
もはや柿の種は国際食だった。
と思ったらすでに地球を超えて、JAXAの宇宙日本食に認定されていた。
グローバルフードというよりコスモフードだ。
おまけ
インドのヴァラナシ
よかったらこちらもどうぞ。
たんぱく加水分解物として豚が入ってたり、醤油の防腐剤代わりにアルコールが添加されてたりするけど、そこは知られてないのだろうか。それともイスラム圏では豚は入れずに、醤油もハラール醤油に変えてるのかな。
彼らはヒンドゥー教徒だからいいですけど、イスラーム教徒だとそれはまずいですね。
中国へのお土産にも鉄板です。上海のオフィスで働いていましたが、日本と往復する度にそこの給湯コーナーに置いておくとすぐになくなったものです。亀田のだったか、何故か富士山とか暴れん坊将軍とかがパッケージに印刷されたのがあったので、日本土産っぽさも十分なんですよね。
中国人にもあの味は受けるんですね!