【2019年の日韓関係】日本人と韓国人が互いの国を嫌う理由は?

 

さいきん読売新聞社と韓国メディア(韓国日報社)がおこなった共同世論調査の結果から、「日本人の韓国離れ」が明らかになった。

日本で韓国を「信頼できない」と答えた人は74%と過去最高を記録し、日韓関係については「悪い」と答えた人が83%。
きょねんの調査とくらべて日韓関係については「悪い」が20ポイント増、「良い」が20ポイント減と1年間で40%も変化した。
韓国でも対日イメージは悪化しているけど、これほどではない。

その理由などはこの記事をどうぞ。

【急速悪化の日韓関係】日本で韓国の見方が1年間で40%も変化

この世論調査では、日韓関係が悪化していることや日本人の韓国不信が増大していることなどがわかったけれど、ひとつの世論調査だけでいまの日本と韓国を正確に把握することはむずかしい。
どこかで同じような世論調査があったらいいのだけど、そんな都合のいいことがあるわけありました。

これと近い時期に韓国の民間シンクタンク(東アジア研究院)と日本の民間非営利団体「言論NPO」が共同調査をおこなってその結果を発表したから、これからそれを紹介していこうと思う。
2つの世論調査を見ていけば、日韓関係の悪化やその原因などがよりハッキリと見えてくるはずだ。

 

まずは聯合ニュースの記事(2019/06/12)

日本人の対韓好感度が下落 韓国人の対日好感度は上昇続く=共同調査

東アジア研究院と言論NPOの調査結果もやっぱり読売新聞の記事と同じで、韓国に対する日本人の好感度は下がった反面、日本に対する韓国人の好感度は上がっている。
韓国に対する印象をたずねたところ、「良い」と答えた日本人は20%(前年の22.9%)。
日本に対する印象を「良い」と答えた韓国人は31.7%(前年28.3%)。

韓国に好印象を持つ日本人は減って、日本に好感を持つ韓国人は増えている。
これは一過性のものではない。
この傾向は2013年から続いているのだ。
「韓国好き」の日本人は6年間で11.1ポイント減少し、「日本好き」の韓国人は19.5ポイント増えた。

 

さて問題は日韓が相手の国を嫌う原因だ。

それについては中央日報の記事(2019年6月12日)にくわしく書いてある。

韓日若い世代であるほど好感度はさらに高い

「歴史問題で解決すべき課題」の問い(複数選択可)には韓国人の70.2%が「慰安婦問題」、62.1%が「侵略戦争に対する日本の認識」、60.2%「日本の戦争賠償および強制労働などに対する賠償問題などの解決」を選択。
これに対して日本では55.9%が「日本と歴史問題に対する韓国人の過度な反日行動」、54.9%が「韓国の反日教育および教科書の内容」、37.6%が「慰安婦問題」を選択した。

韓国人は日本の反省や謝罪が必要と考えている一方で、日本人は韓国の反日行動や反日教育を問題視している。
歴史認識について日韓は「一致できない」という点で一致していることが改めてわかったわけだ。

でも慰安婦問題については2015年に日韓両政府が「最終的な解決」に合意したのだから、これは実質的に終わった問題で、終わりにしないといけない。
解決済みの問題をまた問題化して、くり返し日本に反省や謝罪を求める。そんな韓国にいま日本人は本当にうんざりしている。

日韓の認識差は元徴用工訴訟問題に対する見方にもあらわれている。
この問題について韓国では「韓国大法院の判決により日本企業が賠償措置を取るべきだ」が58.1%で断トツの1位。
日本では「分からない」が28.4%、「第3国を含む仲裁委員会や国際司法裁判所(ICJ)に共同提訴してその判断に任せるべきだ」が22.2%で2位、「韓国政府が賠償措置を取るべきだ」が20.5%が3位という結果。

でもこれも、1965年の日韓請求権協定で解決済みだ。
日本はこのとき巨額の経済協力金をだして、韓国はその資金をもとに「漢江の奇跡」と呼ばれる経済成長を実現させた。
日本がこれ以上韓国側にわたす金はない。
そもそも韓国最高裁の判決は国際法違反なのだから、「日本企業が賠償措置を取るべきだ」という韓国の認識はデタラメで話にならない。
韓国の約束違反はすべて韓国の責任で対応しないといけないのだけど、そう考えている人が日本では少なくて、「分からない」が一番多いという結果には不安になる。

互いの国のトップに対する印象は最低といってよく、安倍首相に肯定的な印象を持っている韓国人は3%しかいない。
日本も似たようなもので、文大統領に肯定的なイメージを持っている人はそれ以下の2.8%だ。
文大統領は「日本は過去の行いに対する心からの謝罪が必要だ」と要求するけど、「それは断る」と安倍首相は相手にしない。
先ほどの両国民の歴史認識からすると、相手の首脳が憎らしく思うのは自然だ。

 

 

本日のまとめ

いま日韓関係は最悪の状態にある。
それはそれぞれの国で認識が大きく違うからで、日本が反省や謝罪をしないことを韓国人は嫌っていて、日本人は韓国の反日行動や反日教育を嫌っている。
日韓の歴史認識の違いは中央日報の社説(2019年01月31日)を見てもわかる。

両国の歴史問題の責任は根本的に日本にある。しかし、韓日はこれを癒やして歴史を発展させるべき義務がある。

八方塞がりの韓日関係、手を引く韓国外交

日本の認識はこれと正反対。
歴史問題の責任は根本的に韓国にあって、韓国が合意を守る義務がある。

 

日韓関係については「悪い」と考える日本人は昨年にくらべて20ポイント増、「良い」は20ポイント減と日本人の「韓国離れ」が急激に進んでいる。
慰安婦問題や元徴用工問題で一方的に約束を破ったことについて、「韓国は信頼できない」というイメージが広がった結果だろう。

原因に応じた結果が返ってくることは自業自得だから仕方がない。
でも、慰安婦問題や”侵略戦争”についての韓国人の認識が急に変わるとも思えない。
結局、日韓関係はこれからも当分は最悪状態から抜け出せそうにない。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。